1月29日(金)
師走に入って、明石公園にユリカモメがやってくると、「いよいよ冬になったな」という感じです。
去年の冬は、KAZU君に「なんて言う鳥だかわかんないだけど、お掘に白い渡り鳥がいっぱい来ているんだよ」と話しかけていた程度でしたが、この冬は年末に逗子に帰る前に車で通ると、欄干に一列に並んでいる光景が壮観だったので、ちょっと気になっていました。
まさに「冬告鳥」の称号がふさわしい
冬鳥がふるさと思ふ寒さかな 弁人
帰省した正月に、隅田川の河畔を歩いていると、いるわいるわ、同じ鳥がわんさかと橋の欄干や街灯の上で羽を休めていました。やっぱり、ユリカモメだ。
「伊勢物語-東下り-」の隅田川の川岸での場面の
-さる折しも、白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を喰ふ-
という箇所が思い浮かんできます。
明石に戻ってから、買い物がてらさっそくお掘端に様子を見に行ってみました。
この日も鳩を追いやって、欄干の上を独占
色といい形といい表情といい、なんとも上品で愛くるしい
ざっと数えると、百羽近くでしょうか、1メートルほどに近づいても動じません。たしかに白い鳥でくちばしと足が赤い。でもよく見ると、向こうの鳥のくちばしと足はちょっと黄色っぽい感じです。
そこで、ユリカモメの足に環でマーキングをして飛来の状況などを調べている「大阪市立自然史科学博物館」にある「日本鳥類標識協会」に問い合わせてみました。
お話によると、日本各地にやってくるユリカモメはロシアのカムチャッカ半島が生息地だそうです。そして、くちばしと足の色がオレンジ色の鳥は生れて1年目の幼鳥で、2年以上の成鳥になると本来の赤になるということでした。
ところで、「伊勢物語」では
-京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。渡守に問ひければ、「これなむ都鳥」といふを聞き-
と続きます。
「ミヤコドリ」という学名の鳥も存在するそうですが、この鳥はくちばしと足は赤いものの、腹部以外は頭も体も黒い鳥なのです。したがって、「伊勢物語」に登場する「都鳥」は「ミヤコドリ」ではなく、実は「ユリカモメ」だったとするのが妥当なのだそうです。
もう一つ、京都の鴨川に「ユリカモメ」がたくさん飛来して来るという情報がありましたが、上の文では
-京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず-
とあり、これはいったいどういうことなのだろうと、これもお聞きしたところ、実は1970年代の半ばまで、京都には本当にほとんど飛来していなかったということです。たまたま鴨川に下りてきたユリカモメに熱心に餌付けをした人がいて、その効果で次第に多くなり、今では冬の風物詩になったということでした。
日本の各地に飛来するのに、どうして京都には来なかったのか、たまたまだったのかもしれませんが、不思議ですよね。
ともかく、東下りの一行の人たちにとって「見知らぬ鳥」であったことは確かなようで、その鳥の名前を「都鳥」と告げられたのですから感慨も深かったに違いありません。そんなことを思いながら
-名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしや-
という歌を口ずさんでみるのも、興趣が増して「いとをかし」というところでしょうか。
先日、京都へ出向いた時に鴨川へ行ってみましたが、ところどころに数羽ずつしか目に入ってきませんでした。
やっと、四条大橋の南に30羽ほどの群れが
天気があまりよくなかったこともあるのでしょうか、水の上にいて間近でなかったからでしょうか、やっぱり、明石公園のユリカモメが可愛いなと思って帰って来ました。
言問ふもまじろぎもせぬ百合鷗 弁人
師走に入って、明石公園にユリカモメがやってくると、「いよいよ冬になったな」という感じです。
去年の冬は、KAZU君に「なんて言う鳥だかわかんないだけど、お掘に白い渡り鳥がいっぱい来ているんだよ」と話しかけていた程度でしたが、この冬は年末に逗子に帰る前に車で通ると、欄干に一列に並んでいる光景が壮観だったので、ちょっと気になっていました。
まさに「冬告鳥」の称号がふさわしい
冬鳥がふるさと思ふ寒さかな 弁人
帰省した正月に、隅田川の河畔を歩いていると、いるわいるわ、同じ鳥がわんさかと橋の欄干や街灯の上で羽を休めていました。やっぱり、ユリカモメだ。
「伊勢物語-東下り-」の隅田川の川岸での場面の
-さる折しも、白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を喰ふ-
という箇所が思い浮かんできます。
明石に戻ってから、買い物がてらさっそくお掘端に様子を見に行ってみました。
この日も鳩を追いやって、欄干の上を独占
色といい形といい表情といい、なんとも上品で愛くるしい
ざっと数えると、百羽近くでしょうか、1メートルほどに近づいても動じません。たしかに白い鳥でくちばしと足が赤い。でもよく見ると、向こうの鳥のくちばしと足はちょっと黄色っぽい感じです。
そこで、ユリカモメの足に環でマーキングをして飛来の状況などを調べている「大阪市立自然史科学博物館」にある「日本鳥類標識協会」に問い合わせてみました。
お話によると、日本各地にやってくるユリカモメはロシアのカムチャッカ半島が生息地だそうです。そして、くちばしと足の色がオレンジ色の鳥は生れて1年目の幼鳥で、2年以上の成鳥になると本来の赤になるということでした。
ところで、「伊勢物語」では
-京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。渡守に問ひければ、「これなむ都鳥」といふを聞き-
と続きます。
「ミヤコドリ」という学名の鳥も存在するそうですが、この鳥はくちばしと足は赤いものの、腹部以外は頭も体も黒い鳥なのです。したがって、「伊勢物語」に登場する「都鳥」は「ミヤコドリ」ではなく、実は「ユリカモメ」だったとするのが妥当なのだそうです。
もう一つ、京都の鴨川に「ユリカモメ」がたくさん飛来して来るという情報がありましたが、上の文では
-京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず-
とあり、これはいったいどういうことなのだろうと、これもお聞きしたところ、実は1970年代の半ばまで、京都には本当にほとんど飛来していなかったということです。たまたま鴨川に下りてきたユリカモメに熱心に餌付けをした人がいて、その効果で次第に多くなり、今では冬の風物詩になったということでした。
日本の各地に飛来するのに、どうして京都には来なかったのか、たまたまだったのかもしれませんが、不思議ですよね。
ともかく、東下りの一行の人たちにとって「見知らぬ鳥」であったことは確かなようで、その鳥の名前を「都鳥」と告げられたのですから感慨も深かったに違いありません。そんなことを思いながら
-名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしや-
という歌を口ずさんでみるのも、興趣が増して「いとをかし」というところでしょうか。
先日、京都へ出向いた時に鴨川へ行ってみましたが、ところどころに数羽ずつしか目に入ってきませんでした。
やっと、四条大橋の南に30羽ほどの群れが
天気があまりよくなかったこともあるのでしょうか、水の上にいて間近でなかったからでしょうか、やっぱり、明石公園のユリカモメが可愛いなと思って帰って来ました。
言問ふもまじろぎもせぬ百合鷗 弁人