チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

「ありの実」は「梨」の「忌みことば」

2009-09-15 21:16:52 | ことば・あれこれ
9月15日(火)

 前の記事の最後に「あった、あった、さすが『ありの実』」と記しましたが、若い人の中には「なに?」と思う方もいるようなので、今回は「忌みことば」について。

 葛飾の亀有。「こち亀」で一気に有名になりました。
    
 「亀有」という地名は、元々は「カメナシ」と言って、「亀無」「亀梨」と表記していたものを、江戸時代に「ナシ」は縁起が悪いということで「亀有」になったと言われています。テレビでも時々取り上げられたりするので、聞いたことのある人も多いかもしれません。

 こういうことばを「忌みことば」と言います。

 子どもの頃、周囲の大人が「梨」のことを「アリノミ」と言うのを聞いて、甘くておいしいので「アリンコが好きなんだろうな」と思っていましたが、上のような事情で生まれたことばなので、表記は「有りの実」です。

 以下、「忌みことば」の例を思いつくままに挙げてみます。

○ 「キネマ旬報」という映画雑誌があります。「死ぬ」を忌み嫌って「シネマ」という音を避けたもよう。
      

 「シ」を避けるといえば、数字の「4」を嫌うのも同じ発想でしょう。

 そういえば、私は42才の時1年9組の担任だったのです。厄年でもあるし、「死に行く」という語呂がふと頭に浮かんで、周囲に、笑いながら「今日はどうなるかな」と口走っていました。でも9組はいい子ばかりで、とても楽しい一年間だったのを覚えています。
 昔、本屋で立ち読みしていたら、陸運局では「4219」という車のナンバーを希望のない限り出さないそうで、さもありなんと思っていたら、そのあとに「始終荷が行く」と読んで、運送業者から希望があるということも書いてあって感心しきり。
 要するにものは考えようということですが、それではこの話題が面白くなくなってしまいますね。

○「刺身」の「刺す」、「切り身」の「切る」を嫌って「お造り」と

○「猿」が「去る」に通じるので「得手公(エテコウ)」に

○「するめ」の「スル」が賭け事に負ける意味があるので「当たりめ」に
 (「すり鉢」を「あたり鉢」って言うんだと言っても、若い人には通じないのでしょうか)
                 等々。 

 話を「亀有」に戻します。人気タレントに亀梨クンがいますが、彼は本名で活躍しているそうで、「亀梨」という苗字もあるのです。
 「カメナシ」の語源についてはいろいろな説があるようですが、一説に、大昔に朝鮮半島から移住して来た人に「金(キム)」という姓が多く、漢字で「亀無」と音読みで表記したものを訓読したというのがありました。地名と姓の両方ということになると、この説は説得力があるように思います。今の亀有の辺りに「金(キム)」さんたちが住みついたのかもしれません。

 「亀梨」の二文字を眺めていると、小学生の頃口ずさんだ「山があっても山ナシ県」という語呂が思い出されます。「山梨」の語源も諸説ありそうですが、漢字表記を「山無」と置き換えると、「音無川」や「音無の滝」の「音無」の意味、さらに話が「神無月」・「水無月」の表記にも広がって、今回の「忌みことば」からどんどん離れてしまうので、今日はこのへんにして、「お開き」といたします。

 おっと、そうです。「鏡開き」というのも「割る」を嫌った表現だと思います。
それでは「お開き」に。


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