チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

「戦争はしたくともできない時代」という自覚を

2017-08-27 22:43:25 | つぶやき
8月27日(日)

 東日本は涼しい夏休みという感じでしたが、8月の下旬に入って残暑に見舞われる日が何日かありました。

 さて、お盆休みに一週間ほどオランダで過ごしたKAZU君、帰国した後しばらく逗子の家に逗留していました。
 初めは時差ボケもあって家の中でぐだぐだしていましたが、少し元気が出てきた暑い日に「船に乗ってみたい」というご要望もあって、海水浴もできるかもしれないと横須賀の無人島「猿島」へ渡ってみました。

 実は、7月に逗子に来た時、テレビに「猿島」の案内が流れていて、「海岸バーベキュー」「猿島わかめラーメン」「無人島ビール」となかなか魅力的な中身。それを見ていたKAZU君もちょっと興味を持っていたのです。

 戦艦「三笠」のある公園の
  桟橋から出航
  

 船に乗る前に「三笠記念艦」を覗いてみようかと誘ってみましたが、
「おじいちゃん、戦争は嫌いでしょ、だからカーくんも行かん」
ということで猿島に直行。

 船を下りた桟橋の目の前が
  海水浴場でしたが、
  

 こじんまりとした砂浜。数歩で深くなる水深。外海の相模湾に比べると水もあまりきれいには見えません。
「水浴びはいいや、おじいちゃん。ラーメン食べようか」
「まだ11時前、お昼は島の中を歩いてからやな」
と島内散策へ。

 島の裏の
  岩場にも下りましたが、
  

 もともと猿島は戦時用の要塞。砲台跡や軍事用施設が残っているのです。

 「これは?」
  「弾薬庫かもね」
  

 戦争嫌いの祖父と孫には向いていない場所かもしれませんが、こういうものに興味を持つのも子どもの本領。平和学習というか、戦争の無意味さを感じさせるのも大事かと、太平洋戦争や日露戦争の話を少しだけ伝えることができました。
 帰りの船の中で「戦艦三笠には本当に行かなくていいの?」と聞くと、「やっぱり行ってみようかな」という返事。

 「じゃあ、
  入って行くよ」
  

 大砲の大きさに
  びっくりした後
  

 展示室も回って、バルチック艦隊に勝利した「東郷ターン」の逸話などに触れ、ちょっぴり軍隊や日本の歴史を勉強。

 戦争の恐ろしさを感じてくれたかどうか、ゆくゆく「ヒロシマやナガサキに原爆が落ちたこと」とか「核戦争が起きたらどうなるのか」とか、あまり考えたくないことにも目を向けられるようになってもらいたいと願いながら家路に就きました。


   西日浴ぶ子等の行く末守らばや   弁人


 ところで、今回の記事をカテゴリー「KAZU君」ではなく「つぶやき」に分類したのには理由があります。

 実は、8月の初めにKAZU君と会った時、どこで耳にしたのか、誰と一緒に歌ったのか、北朝鮮のミサイル攻撃を揶揄する歌詞を口ずさんだのです。
「そういう歌を口にしちゃだめだよ」と強く言い含めたので、その時以来一度も耳にしませんでしたが、できれば「人間にはいろいろな人、国にもいろいろな国があるけれども、みんな仲良くして戦争なんかしちゃいけないのだ」ということを教えたいという気持ちになっていたのです。

 そんな中、テレビをつければ、今にもミサイルやロケットが飛来してきそうな情報が次々と流れてきます。
 それが核開発も進めている北朝鮮ということで、アメリカとの核戦争も予断を許さないという雰囲気も充満。いくつかの地域からは、頭に手をやってしゃがみ込む訓練をしている様子も流れて新聞にも載っていました。これは、どうも政府が各自治体に実施の指示を出しているとかで、何をがんばるのか、「国もがんばる。国民も用意怠りなく」という背筋の寒くなるようなお上の姿勢が見え隠れしています。
 そんなふうに、国を挙げて国民に不安を煽っているかのような中、子どもが「北朝鮮って怖いね」と思っても全く不思議ではなく、そんな状況下で「みんな仲良く」と言ってもなかなか説得力が生まれません。

 さて、KAZU君が「すごく大きいね」とびっくりした戦艦三笠の主砲。日露戦争は一世紀も前の出来事とはいっても、当時の大砲の威力は相当なものだったでしょう。なにせバルチック艦隊の多くの船と何千人というロシア兵士を海に沈めたのですから。

 それから100年以上経った今、人類は核弾頭という大量殺戮兵器を手にしてしまっています。仮に核兵器を装着しなくとも、今我々の頭上にミサイル弾やロケット弾が落ちてきたとして、はたして、床に伏せて頭を手で覆っていれば助かるとでも言うのでしょうか。ましてや核を搭載していたとすれば、細長い日本列島ですから何発かで木っ端みじんでしょう。荒廃した国土が残っても、まさに巨大な不沈空母がその脱け殻をさらすのが関の山というところでしょうか。

 時代は変わりました。人類が核兵器を持ってしまったのですから。もしかしたら、もう「戦争はしたくてもできない時代になった」という認識を持たなければいけなくなったのかもしれません。
 核を保有している国が「お前の国は持つな」と言ったり、持っていない国が「いやうちも持ちたい」と言い争ってみても虚しい話で、大事なのは「核兵器は絶対に使えない爆弾。使った時点で人類全体が破滅する」という自覚の共有です。
 我々は与えられた情報に接するだけなので、北朝鮮にしてもアメリカにしてもトップに立つ人にそういう自覚が欠けているのではないかと、つい不安になってしまいますが、この二人がどのくらい信用できるかできないかは別として、「地球上に生を受けた人類の一員」だという、それくらいの自覚も持てない人が一国のトップに立つなんてことはあり得ないと信じたいものです。

 とにもかくにも、まずは核兵器を「使えない爆弾」という共通認識を確認すること。その上で、恒久平和を願う多くの国家や国連が取り組むことは、さらなる開発の愚弄さを啓発すること。そして、そんな兵器を持たない勇気の喚起と削減の推進だと思うのですが、日本政府の姿勢や如何、悲しい限りです。


 もう一枚。
  猿島の砲台跡です
  

 KAZU君と休んでいると、ある大人が子どもたちに向かって、
「東京湾に来た軍艦を、ここからドカァーンと大砲で撃ったんだよ」
と言っていましたが、さてさていかがなものでしょう。横須賀空襲時にB29を迎え撃ったという噂は聞いたことがありますが、この海に軍艦が現れたのは大砲が設置される前の幕末だけだったような気がします。まあ、私だって戦争を知らない世代とはいえ、それよりずっと若い人があたかも知っているかのように言うのには思わず失笑。

 宇宙の話題や戦争とか国家間の話となると、つい話が誇張気味になってしまいますが、今世界で起きていることを子どもに正しく伝えるためにも、大人は噂や憶測に振り回されないように気をつけなければなりません。


   物騒な憶測ありし夏果つる   弁人


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする