チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

〈続編〉初秋の飛鳥路、室生、吉野紀行

2010-10-06 16:19:25 | 旅行
10月6日(水)

 今回の飛鳥路紀行の目的は彼岸花(前回の記事)。でも爽やかな初秋、もちろん旅の味わいも満載でした。そこで、先週末の奈良紀行の続編です。

 飛鳥の橘寺は、聖徳太子がお生まれになった所で、その像が安置されている太子堂にまずお参りすることになります。

  太子堂の横にある「二面石」
  
 人の心の善悪二相を表した飛鳥時代の石造物。ユーモラスな表情の中に人間のありようが込められて、それを包みこむかのように咲く百日紅もなかなかの風情。

  お寺には芙蓉の花がよく似合います
  

  芙蓉の花の下に白い彼岸花
  

  でも、いちばんマッチしていたのは紫苑(しおん)の花
  
 歌人に「紫苑」という方がいますが、名前が実に美しい。宝塚のスターとか少女漫画の主人公に出てきそうです。見た目は小菊そのもので、とにかく薄紫の色合いが上品。

  山門を出て参道を下ると、正面に三輪山を遠望
  
 右の巻向山、左の龍王山の稜線と一体になって、大鳥が両翼を広げたように見えます。これを「羽易(はがい)の山」と言い、万葉集巻二の210番の歌、人麻呂が亡き妻を悼んで詠んだ長歌の中で「・・・嘆けども 為むすべ知らに 恋ふれども 逢ふ由を無み 大鳥の 羽がひの山に 我が恋ふる 妹はいますと 人の言へば・・・」と詠まれています。

 秋晴れ、万才!

    大鳥の翼の上や空高し    弁人


 次は室生寺です。榛原の仏隆寺(前記事の中)で彼岸花を堪能したあと、車で30分ほどとわかり訪ねました。

 高野山と同じ真言宗のお寺ですが、厳しく女人禁制を貫いてきた高野山に対して、古くから女性の参詣を認めてきたことから「女人高野」と称しているお寺です。
 室生寺と言えば、なんと言っても五重の塔です。中学生の時の教科書の写真を今でも覚えていて、一度訪れたいと長年思ってきました。しかし、なにしろ交通が不便。去年も逗子に帰る時に、長谷寺と室生寺の紅葉を見ながらと計画したものの、効率的なプランが立てられずに断念。

  さて、その本堂と、斜め後方に立つ五重の塔
  
   


    端然と秋麗のなか室生の塔   弁人


 参道にはお店が賑やかに並んでいましたが、境内に入ると静けさに包まれます。お堂も塔もみな檜皮葺きのしっとりとした佇まい。
 そして、憧れの五重の塔。何年か前の台風の時、すぐ傍らの杉が落雷で倒木。その大木がまともに倒れかかって大損傷を受けました。その時のニュースの映像も今なお焼きついています。したがって、目の前にあるのは復元修理されたもので、昔のイメージどおりではありませんが、檜皮葺きの大きな屋根が風格を漂わせていました。


 ところで、妻君が車がある時にどうしても行っておきたい所があるというので、室生から1時間弱、千本桜で有名な吉野山の東にある「宮滝遺跡」に向かいました。

  原っぱにぽつんと白い看板
  
 ここは、飛鳥時代の吉野宮の遺跡で、壬申の乱の時に大海人皇子が挙兵した所です。後には聖武天皇の建てた離宮もありました。

  原っぱの脇、ここにも紫苑の花が
  


      幻の吉野の宮の紫苑かな   弁人


  遺跡の向こうの谷間には吉野川の清流
  

  歩いて数分くらいの所にある立派な建物
  
 歴史資料館です。展示もわかりやすく、たった一人の学芸員らしき職員の対応も丁寧で好印象。しかし、なにしろ交通が不便で、近鉄上市駅からのバスも日に数本。妻君がトライした時もバスがなくて断念したそうで、観光客の影を想像することもできない雰囲気です。まあ、地元の小学生が遠足で来るのにはいいかもしれませんが、それにしても立派な建物で、思わずため息が出てしまいました。

 なにはともあれ、秋を満喫した上に妻君の満足げな表情もあり、良しとしておきましょう。


      妻君もいにしへ人と秋日和   弁人

コメント
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