チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

初夏の香りは紫の花から

2010-05-14 10:12:24 | 身辺雑記
5月14日(金)

 明石駅そばの交差点で信号待ちをしていた時のこと。ふと目を横にやると、明石公園東入口の石垣の上に薄紫の花が。

  桐の木でした
  

  石垣の下から
  

 桐と言えば、花札の中では唯一「カス札」が三枚ある花です。そのうちの一枚は買ったばかりのケースのいちばん上にあって「登録商標」などと書かれています。でも20点札の「桐に鳳凰」の絵は花と鳳凰の羽が鮮やかな紫色で、なかなか重厚で品があります。
    

 桐から浮かんでくるものと言えば、やはり「源氏物語」冒頭の「桐壺の巻」。「桐壺」は光源氏の母親の宮中でのお部屋の名前で、薄紫色のイメージを哀しげに醸し出しています。
 光源氏と不倫の恋に落ち、物語り中で最も美しい女性と言われるのが、藤の花の、これも薄紫色の世界から登場してくる「藤壺女御」。そして、光源氏に最も愛され正妻として生涯を終えた「紫上」。この女性が幼い時に光源氏に見出された様子を描いたのが「若紫の巻」。さらに、この大作を書き上げた作家のペンネームが「紫式部」。まさに「源氏物語」は紫色の世界と言ってもいいのでしょう。
  
         (石山寺・紫式部源氏物語執筆の間)


 ところで、KAZU君が住んでいるのは明石市ですが、マンションは前の道をはさんで神戸市の垂水区と接しています。
 時々買い物に行く垂水区のスーパーマーケットのそばに多聞寺というお寺があります。以前、スーパーの前で道を訪ねられたことがありますが、このお寺が花の名所であることを知ったのは最近のことでした。

  スーパーから2、3分歩くと山門が
  

  門をくぐると「カキツバタ」の花がご覧のとおり
  



    燕飛ぶ路地を曲がりて花の寺   弁人



 「カキツバタ」の漢字がなぜ「杜若」なのか、歳時記には「燕子花」の文字で出ています。両方とも表記の由来はよくわかりませんが、いずれにしても「伊勢物語」にも出てくる花ですから、花にしても名前にしても興味がそそられます。

 その「伊勢物語」、ご存知「かきつはた」の五文字を句の上に据えた有名な「折句」の歌ですが、思わず口ずさんでしまいました。

 -唐衣着つつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ-


  それにしても、こんな近くに花の名所があったとは
  

 いつだったか、図書館で「アヤメ」と「ハナショウブ」との三つの花の違いを勉強したことがあったのですが、やはり、まずは実物をひとつずつじっくりと観察することでしょう。

  そこで、今日の観察対象の「カキツバタ」
  

  花冷えの日でしたが、それだけにいっそう趣の増した境内
  



    おのおのがすっくと咲ける杜若   弁人

コメント
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