チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

まほろばの大和-三輪山-

2010-05-23 19:23:27 | お出かけ・散策
5月23日(日)

 「平城遷都1300年」ということで盛り上がっている奈良。人混みを避けて、今回は「山辺の道」の南のほうにある三輪山です。

 JR桜井線は、最近「万葉まほろば線」という愛称で三種類のラッピング電車が走っています。でも、とにかくローカル線ということで運行本数が少なく、今回は写真が撮れませんでした。

 桜井からレンタサイクルで10分弱、JRの三輪駅から路地のような小さく細い商店街を抜けると、大神(おおみわ)神社の参道に出ます。

  新緑の中の参道
  

  彼方に光っている社殿はなかなか神秘的
  



    あをによしまほろばの道風涼し  弁人


  最後の石段を上がって拝殿へ
 
    

 「三輪山伝説」で有名な神社です。この伝説は民間に流布している「蛇婿入り」という昔話と重なっています。
 話は端午の節句の菖蒲の由来を説くものが多く、娘のところに夜な夜な通ってくる男が、母親の機転で実は蛇であったことがわかり、娘を菖蒲湯に入れて身を清めたという筋立てで、大神神社の祭神の大物主神は、龍神・蛇神として三輪山を住み処としているいうことになっています。

 ということて、ここは三輪山そのものが御神体なのです。それを建物ですっぽりと覆うことができないので、大神神社には本殿がありません。拝殿から後方の山を拝めばよいのです。
 つまり、山全体がお社(やしろ)というわけです。一説によると、「やしろ」の語源は「屋の代わり」からきているという話もあります。山を本殿に見立てるということで、この形が日本の神社の原型ではないかという考えです。

  御神体の三輪山
  

 「山を社殿に見立てる」と言いましたが、もともと日本人は、「見えなくても在るものとしたり、見えていても無いものととらえる」という感覚に長けていると言われています。
 例えば、ことば数の少ない短詩型の表現でさまざまな感情や情景を描く和歌。能や浄瑠璃の世界で、無表情の面や人形からあらゆる感情を読みとる感性。生きている花を切り取って永遠の美を追求する「生け花」など枚挙にいとまがありません。歌舞伎を観ていて「黒い衣の人は誰なのか、キャストに入っていない」と不思議に思う外国人が多いという話を聞いたことがあります。リアリティを重視する人から見ると、なかなか理解の難しい世界なのかもしれません。

  拝殿から横に10分ほど歩いた所にある「狭井(さい)神社」
  

 太い注連縄が鳥居になっていました。ここは薬・健康の神様なのですが、御神体のお山への登り口にもなっています。
 三輪山へ入山するには、ここで入山料を払って、白い襷をいただいて肩に掛け、御幣で身を清めなければなりません。山道を往復するのに2時間ほどかかるそうで、その間は飲食禁止、もちろんトイレも行けません。入り口にロッカーがあって、弁当も水筒もカメラも置いて行くことになります。16時が最終下山時刻なので、14時頃には受け付けが終わってしまうようです。行ってみたい気もしましたが、今回はやめておきました。

 山に入らなくても、山辺の道沿いに見晴台があります。

  大和三山の眺め
  

 右の一の鳥居の左の向こうに「耳成山」、真ん中にうっすらと見えるのが「畝傍山」、左の丘陵のように見える山が「天の香久山」です。


   夏草の香に包まれり三つの山   弁人



コメント (1)
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