毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
その土曜日、7時58分
見逃していたタイトルのなかでも、特に後悔の大きい1本だったので、
今回の再上映はかなりうれしく、もう、絶対に見に行くぞ!と燃えてました。
で、観てきて ・・・ 呆れてものも言えないくらい! の凄まじさ!!
エンターテイメント映画の極北、といえる、極上の1本でした。
実はお金にうんと困っている兄弟 ( フィリップ・シーモア・ホフマン: 兄、
イーサン・ホーク: 弟 ) が、ニューヨークにおりました。
一見成功者、ステキ生活をおくっている様子の兄ですが、実は薬物中毒で、
会社のお金を使い込んでしまっています。
だめだめな感じの弟は、実生活も破綻、離婚後の慰謝料やら養育費やら
家のローンやらの支払いで借金がどんどん膨れています。
あああーー、どうしよう、どうしよう ・・・・・。
いよいよ困って、兄が思いついたとんでもない打開策、それは、
両親が経営する宝石店を襲撃する、というもの。
学生時代に店を手伝っていたから、勝手は分かっているので、殺生することもな
く、店には保険が掛けられているから親は損失ゼロ、
略奪品を換金して、山分けすれば、週明けには問題はきれいさっぱりと解決だ!!
という、大犯罪だが、確かに 「 なるほどっ! 兄さんさすがっ 」のアイディア。
がしかし、頭いいのは兄だけで、マヌケな弟の大失策によりこの完全犯罪の計画
は、あれよあれよという間に地獄の底まで転落します。
見事な脚本、見事な演出、見事な演技。
監督シドニー・ルメット、84歳、まったくもって唸らされます。
この作品には、何一つのメッセージも込められていず、絶望も希望も愛も憎しみ
も、一切伝えようとしていない。
したがって、1ミリの説教くささ、老いの悲しみも ない。
ただただ、物語があるだけ、なのです。
クールだよね、とんでもなく。 84歳。 そこに感動。
役者は全員素晴らしかったのですが、私は特に、イーサン・ホーク、彼が特に
良かったなあ。ふらふらと頼りなく、小心者のどうしようもない弟役を、それは
巧みになり切ってお見事でした。
楽々 ★★★★ の、めったにお目にかかれない上等品!! と思います。
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