レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『夫に出会わないためのTo Do リスト』等

2017-01-11 10:29:06 | 
ヤーン・エクストレム『誕生パーティーの17人』 創元推理文庫 1987

 大金持ちの老嬢の誕生パーティー、姪とその夫・子等が集まっている。放蕩で借金持ちの青年が父に金をせびり拒絶され、ある手紙をタネに強請りをかける。その後父子は遺体で発見される。
 しばらく北欧ミステリといえば社会問題云々のものに多く接していたので、こういういかにもの設定が逆に新鮮に見えた。
「スウェーデンのカー」と呼ばれる本格推理作家だそうだけど、どうやら邦訳はこれしか出ていない。


ケルスティン・ギア『夫に出会わないためのTo Do リスト』  東京創元社 2014
 まえに買った創元推理文庫のはさみ込みチラシで気になっていた本。
 カティ(35)は夫フェリクスとの仲はいいけど、出会ってしまったマティアスも素敵で心が揺れてたまらない。うっかり地下鉄事故にあい、気がついたら5年前、フェリクスと出会う前の時間にさかのぼっていた。
 現代ドイツの「ラブコメの女王」と呼ばれる作家だそうで、まえにファンタジー三部作の1作目を読んだことがある。
 ドイツのラブコメというジャンルはいまのところ紹介される機会が乏しそうだし、またあってもらいたい。


『アルジャーノンに花束を』
 知恵遅れのチャーリイの「かしこくなりたい」願いがいじらしい。 手術・研究に関与する人々の、悪意まではないけど人間扱いではなさそうな態度は、『カスパー・ハウザーの謎』を連想した。


『約束』  Fr.デュレンマット  同学社
 20世紀のスイス(ドイツ語圏)を代表する劇作家・小説家のフリードリヒ・デュレンマットにはミステリーに分類されうる小説がいくつかあって、それらは最近同学社から出ている。『約束』は既訳があって私も大昔読んでいる。相良 守峯『ドイツ文学史』(かなり古い本)にはこれを結末まで書いてあって、まがりなりにも「ハヤカワミステリ」なのにいいのかい、と思ったものである。副題が「推理小説に捧げる鎮魂歌」となっていて、作中で刑事が作家に、すべてが論理的に進むなんて嘘だ、偶然や運に左右されるものだ、という不満を申し立てている。
 小さい女の子が殺害される事件が相次ぎ、警部マテーイは遺族に犯人逮捕を約束する。容疑者があがったが自殺。マテーイはそれに納得できずに独自に捜査を続けた。






 犯人の母最悪、こいつ安らかな眠りなんて要らない、犯罪の共犯者扱いでいい! 
 囮に使われて傷ついた少女がその後の人生転落したというのもやりきれんけど。
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