レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『風と雲と砦』

2007-09-21 15:41:17 | 
 井上靖の戦国ものは、単独で1冊になる程度に長い作品は4本あり、そのうち『風林火山』がいちばん短い。先日、角川文庫から『風と雲と砦』が復刊された。「もうひとつの『風林火山』なんてアオリつきで。ファンの私がこう言ってしまうのはナンだが、直接関係があるわけでもない。信玄の死の直前から始まって、長篠の戦いあたりで終わる(そのはず)から、時期も明らかにズレている。
 武田に敗れた側の雑兵左近八郎は、武田の陣で出会った美女安良里(あらり)姫の言葉に従って武田の陣に加えられる。しかし彼女は実は武田に滅ぼされた豪族の生き残りであった。
 この二人を加えて男女3人ずつが主な登場人物。しかしやはり上記の二人が印象が強い。美男美女にはやはり悲劇が似合う。
 タカビシャで謎めいた安良里姫は、『風林火山』の由布姫と共通したキャラの持ち主。でも最期がうんと健気だ。
 『風林火山』との縁は薄くても、読み物として面白いので売れてほしい。
 この際だからあと2つ、『戦国無頼』『戦国城砦群』も出てくれ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 不正と誤謬 | トップ | 「美女と悪女」でのローマの扱い »

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事