レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『カルバニア物語』

2011-03-06 06:36:12 | マンガ
良作としてお勧めしまくっていても、所持し続けることは難しく、どんどん手放している本は多い。TONO『カルバニア物語』もそれに属するが、とある事情により、また入手して再読する機会を得た。
 始まったのは93年、1巻は95年、2巻は96年に出ている。私は「ぱふ」の広告で、「男装の公爵令嬢」という設定に気乗りして買ったことがきっかけだった。そのとき2巻まで出ていたということは、96年か97年だった。隔月雑誌なので、だいたい年に1巻出るペース。
 マンガの外部時間(読者や作者にとっての時間。単に私の造語)と内部時間(物語の中での時間)にはズレがあるものだとはいえ、読み始めて10年以上経っているので、作中でもその半分くらいは過ぎているものとなんとなく思っていた。しかし、タニアが12歳のときに父王が急死して、その4年後に女王として即位した。6巻所収のキャンディ屋のコスプレ話で、「5,6年前までは父も一緒に」と言われてるところを見ると、タニアはこの時点で、16~18ということになる。単行本6巻の間に2年ほどしかたってないのか。では、タニアとエキューはまだ二十歳前後ってくらい? エキューはタニアよりひとつ下で、国王の死の際に留学から一時帰国していたということは、ライアンとの出会いのころに10、11歳。そんなんで結婚の申し込みなんてきいたエキューパパはさぞかし驚いたことだろう。
 ところで、タニアとエキューは「乳きょうだい」、「同じ女の乳くわえた仲」。タニアの過去話に出てきた乳母のアガサと、エキューの回想(一緒に温泉に行ったときにタニアがいつのまに胸が成長していてエキューが衝撃を受ける)に出てきた「乳母」は同じ人には見えない。乳母が一人とは限らないので、アガサはもっと広い意味で教育係も兼ねており、狭い意味での乳母がもう一人のほう、エキューはこちらで世話になったーーということなのか(教育係はハットン夫人で)。この乳母に当然実子がいるはずで、だから彼女たちにはまだ一人は乳きょうだいが存在してるのだな。

 1巻が、95年に出て08年に8刷。2巻、96年に出て09年に8刷。3巻、97年に出て09年に6刷。--約2年ごとに増刷されている計算になる。きちんと売れ続けていてめでたいことである。

 唐突に違う話題になるようだけど、『大奥』の6巻は将軍が代替わりして、7代にまでなっている。まだ子供の将軍よりも注目される事件はやはり「絵島生島」。ここでの絵島は、太っ腹のゴツいブ男。数か月まえにメロディを立ち読みできたときに、この事件が片付いていた。役者の生島(このマンガなのでこちらが美女)との密通の自白を強いられて絵島が裸でバシバシと・・・。
 --ここで思い出すのは、『カル物』の『無敵のシェリル』。可憐な幼女シェリルに邪行為をしかけたことのあるロリコン男が、シェリルの親父をバシバシする、ここで「見苦しいものをお見せしております」と背景にいちいち浮かんでいる。
 ほとんどなんの関連もないけど、意外なところで類似の、しかし文脈はかなり違うシーンがあっておかしかった。

 『カル物』の掲載誌「Chara」もめったに読む機会はないけど、ナタリーの出産はどうなっているのだろう。
 13巻の時点でいちばんの問題は、王族の不良青年ナジャルの「愛人」(?)アナベルとタニアのトラブルであるけど。
 あちこちにキャラが広がり、でもそれが散漫には見えずにそれぞれ興味をひいているのは偉いことである。

 こういうマンガこそ翻訳紹介されてほしいものだ。

コメント (4)
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