レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ジャンル分けのあいまいさ

2010-07-18 05:12:59 | 
 雑誌や書籍のアンケートに「好きなジャンルは?」という質問がある。「ダリアエッセイコミックス」での選択肢は、エッセイ、ティーンズ系、BL、ファンタジー、ホラー、SF、探偵もの、切ない系、職業もの。 プリンセスGOLDの場合、歴史とかミステリーとかは確実にあって、「ハートウォーミング」なんてこれは「ジャンル」でなくて作風だろう、とつっこみたかった。ダリアの「切ない系」もすごくヘン!
 両方とも、「ホラー」と「ファンタジー」を別にしている点が気になった。
 私の記憶する限り、かつて(70年代くらいでは)、怖い話は「スリラー」と称していた。しかし、フォーサイスの本でだったか、「スパイスリラー」という表記を見て意外に思ったのは80年代前半だと思う(私がそういうの読むようになったのは『エロイカ』にはまってからなので)。確かに、スリルのある話なのでスリラーか。そしていつのまにか、怖い話を指すには「ホラー」が使われるようになっていた。しかし実際のところ、たいして怖くなくても、幽霊やオバケの出てくる世界ならばホラーの名を冠することも多いようである。
 で、FTとホラーはどう区別しているのだろうか? 詳しい人ならばそれぞれ一家言あると思うが、一般には、共に超現実、人外の要素があり、オバケや幽霊や妖怪ならばホラーで、妖精や天使ならばFT、ブキミかキレイかでなんとなく分けているのではなかろうか。
 (私は実のところ、こういうジャンルはあまり好きではない、神話や伝承に基づいているとか、すでに古典と化しているならば手を出すことがあるのは権威主義かもしれない。) さらに、宇宙や未来が舞台だとSF? 

 まんが情報誌「ぱふ」から独立した「活字倶楽部」という季刊の雑誌がある。次の号がじきに出るのだけど、先日本屋で手にしたら、「海外翻訳小説」のジャンルに、お世話になった先生の訳書(小説ではないんだけどね)が入っていたので、コピーして送ってさしあげようと久々に購入した。メイン特集は三浦しをんだから買うのにやぶさかではない。
 この雑誌でのジャンル分けを見ると、その1 SF FT 伝奇小説 その2 ミステリー ホラー サスペンス 幻想小説  となっている。「ホラー」と「幻想小説」は「その1」に入れるほうがしっくりこないか? ミステリーとサスペンスは線引きがあいまいであるけど、「冒険小説」なんてのもここに入れるのだろう。このてのジャンルは、理屈にのっとって合理的に話が進むもので、魔法や超能力が介入するのは邪道なものではないのだろうか。(『警視庁幽霊係』by天野頌子 みたいなシリーズもあるけど) どうもこの分類は抵抗を感じるぞ。 
 
 ジャンル分けにはあいまいさがつきものなので、すっきりしないことはあって当然。
 それでも、塩野七生『愛の年代記』が「伝記」の棚にあることは明らかに間違ってると思う。
コメント
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