5月4日に通過したスターリンク衛星(G5-6)の観望、撮影記録です。
観望したのは5月4日の19時15分頃、この時刻はスターリンク衛星のリフトオフから約2時間45分後(地球2周後)なので、目撃できればそれほどバラけていない銀河鉄道が見られるはずです。
しか~し、いかんせん条件が悪すぎます。19時15分は航海薄明中(日没45分後、太陽高度-9°)なので、それだけで十分明るいのですが南東の空には満月に近い十三夜が輝いています。
しかも、今回の通過は最大仰角がわずかに34°で最大光度が3.2等級です。この明るさでは眼視観望はまず無理なので待ち伏せ作戦にしたいところですが、通過コースは暗い星が連なるうみへび座です。
しかたないので、南西の空低いところで尻尾を振っているおおいぬ座を待ち伏せポイントとしたのですが、その付近での光度は5等級です。双眼鏡を使ったとしてもはたして見えるのかどうか…
…おっと、時間です。双眼鏡でおおいぬの尻尾付近を捜索したのですが…う~む、移動光点はまったく見えません。時刻は19時15分を過ぎました。スターリンクはすでにおおいぬ座を過ぎてうみへび座の方に移動しているはずです。
その付近を双眼鏡で探すもまったく発見できず…ダメかと思って双眼鏡から目を離すと… ほひょ? なんじゃありゃ!? 肉眼で移動光点が見えます。え!? スターリンク? 眼視で見えるの…!?
これは驚きです! 南西方向にある庭木の上を移動光点が、いや、光点ではなく光る棒です。短い光る棒が、ほぼ真横に移動しています!
すぐ双眼鏡で確認すると… おー、スターリンク衛星です。眼視では光る棒に見えましたが、双眼鏡では小さな光点が連なっている様子がはっきり見えます。双眼鏡から目を離してもう一度眼視で確認すると、おー、はっきり見えます。
ちょうど真南を通過中で、ほほう、銀河鉄道というよりは一両編成で田んぼの中を走る栗原電鉄のようですね。(ローカルな話でスミマセン…)
まもなく月明かりの中に入りますが、まだ見えているので撮影にチャレンジしてみましょう。今回の撮影は通過記録としてはいつものATOMCam2ですが、動画撮影用としてはD810Aに150mm-600mmズームレンズを付けて準備していました。
D810Aのファインダー越しには捉えることができましたが、はたして写っているでしょうか。では撮影した動画を見てみましょう。
こちらはATOMCam2で撮影した通過の全行程です。3倍速にしてあります。
スターリンク衛星(G5-6)通過の様子(5月4日19時15分~撮影)
で、これが望遠レンズで捉えたスターリンク衛星ですがYouTubeではかすかにしか見えないようです。オリジナル動画では確認できるのですが…ざんねん~。
こちらは動画から静止画キャプチャーした画像です。これなら分かるかな?
さて、今回のスターリンク衛星ですが、月明かりの中で3.2等級の衛星通過が肉眼で見えたということはとても興味深い現象です。この現象はどう理解すれば良いのでしょうか。
ATOMCam2の画像ではいくつかの恒星が写っていますが、それぞれの明るさは、プロキオンが0.4等、アルファルドが1.99等、レグルスは1.36等、アルクトゥールスが-0.05等、デネボラが2.14等なので3等級の星はひとつも写っていません。
本来、人工衛星のように移動する光点は同じ明るさの恒星とくらべてカメラに写りにくいもの…とこれまでの経験則から思っていましたが、今回はその逆転現象が起こっています。
なぜ、高感度のATOMCam2が3等級の星を捉えることのできない空で3.2等級のスターリンク衛星が眼視で見えて動画にも写ったのでしょう? 謎が深まります。
その理由をいろいろと考えて見たのですが、この現象はスターリンク衛星ならではの「天の川効果による増光現象」ではないかと思います。
〈本来なら天の川は肉眼では見えない!?〉
夏の夜空、街明かりのない場所で空を見上げるとうっすらと天の川が見えます。天の川を構成する星々はどれも6等級以下の暗い星なので本来なら肉眼では見えないはずです。では、なぜ夜空を横切る天の川を肉眼で見ることができるのでしょう?
〈見えないはずの星が見える天の川効果〉
その理由としては、6等星以下の微光星が密集することで、肉眼で光を感じることのできる星と同等の明るさになるから…だと思われます。例えるなら、1個ではそれほど明るくないLEDを数十個密集させればかなり遠くからでも認識できるようになることと同じだと思われます。
なので、今回のスターリンク衛星はリフトオフ直後でほぼ連続して見えたため天の川効果で実等級より明るく見えた…というのが晴れスタ的考察です。(あくまでも晴れスタ的考察なので的確かどうかは分かりませんが…)
今回のスターリンク衛星は銀河鉄道には見えないローカル一両編成でしたが、そのおかげで思わぬ発見がありました~。次回、スターリンク衛星を観望できるのはいつになるか分かりませんが、次の通過を楽しみに待つことにしましょう。
〈スターリンク衛星 通過およびイベントデータ〉
観望したのは5月4日の19時15分頃、この時刻はスターリンク衛星のリフトオフから約2時間45分後(地球2周後)なので、目撃できればそれほどバラけていない銀河鉄道が見られるはずです。
しか~し、いかんせん条件が悪すぎます。19時15分は航海薄明中(日没45分後、太陽高度-9°)なので、それだけで十分明るいのですが南東の空には満月に近い十三夜が輝いています。
しかも、今回の通過は最大仰角がわずかに34°で最大光度が3.2等級です。この明るさでは眼視観望はまず無理なので待ち伏せ作戦にしたいところですが、通過コースは暗い星が連なるうみへび座です。
しかたないので、南西の空低いところで尻尾を振っているおおいぬ座を待ち伏せポイントとしたのですが、その付近での光度は5等級です。双眼鏡を使ったとしてもはたして見えるのかどうか…
…おっと、時間です。双眼鏡でおおいぬの尻尾付近を捜索したのですが…う~む、移動光点はまったく見えません。時刻は19時15分を過ぎました。スターリンクはすでにおおいぬ座を過ぎてうみへび座の方に移動しているはずです。
その付近を双眼鏡で探すもまったく発見できず…ダメかと思って双眼鏡から目を離すと… ほひょ? なんじゃありゃ!? 肉眼で移動光点が見えます。え!? スターリンク? 眼視で見えるの…!?
これは驚きです! 南西方向にある庭木の上を移動光点が、いや、光点ではなく光る棒です。短い光る棒が、ほぼ真横に移動しています!
すぐ双眼鏡で確認すると… おー、スターリンク衛星です。眼視では光る棒に見えましたが、双眼鏡では小さな光点が連なっている様子がはっきり見えます。双眼鏡から目を離してもう一度眼視で確認すると、おー、はっきり見えます。
ちょうど真南を通過中で、ほほう、銀河鉄道というよりは一両編成で田んぼの中を走る栗原電鉄のようですね。(ローカルな話でスミマセン…)
まもなく月明かりの中に入りますが、まだ見えているので撮影にチャレンジしてみましょう。今回の撮影は通過記録としてはいつものATOMCam2ですが、動画撮影用としてはD810Aに150mm-600mmズームレンズを付けて準備していました。
D810Aのファインダー越しには捉えることができましたが、はたして写っているでしょうか。では撮影した動画を見てみましょう。
こちらはATOMCam2で撮影した通過の全行程です。3倍速にしてあります。
スターリンク衛星(G5-6)通過の様子(5月4日19時15分~撮影)
で、これが望遠レンズで捉えたスターリンク衛星ですがYouTubeではかすかにしか見えないようです。オリジナル動画では確認できるのですが…ざんねん~。
こちらは動画から静止画キャプチャーした画像です。これなら分かるかな?
さて、今回のスターリンク衛星ですが、月明かりの中で3.2等級の衛星通過が肉眼で見えたということはとても興味深い現象です。この現象はどう理解すれば良いのでしょうか。
ATOMCam2の画像ではいくつかの恒星が写っていますが、それぞれの明るさは、プロキオンが0.4等、アルファルドが1.99等、レグルスは1.36等、アルクトゥールスが-0.05等、デネボラが2.14等なので3等級の星はひとつも写っていません。
本来、人工衛星のように移動する光点は同じ明るさの恒星とくらべてカメラに写りにくいもの…とこれまでの経験則から思っていましたが、今回はその逆転現象が起こっています。
なぜ、高感度のATOMCam2が3等級の星を捉えることのできない空で3.2等級のスターリンク衛星が眼視で見えて動画にも写ったのでしょう? 謎が深まります。
その理由をいろいろと考えて見たのですが、この現象はスターリンク衛星ならではの「天の川効果による増光現象」ではないかと思います。
〈本来なら天の川は肉眼では見えない!?〉
夏の夜空、街明かりのない場所で空を見上げるとうっすらと天の川が見えます。天の川を構成する星々はどれも6等級以下の暗い星なので本来なら肉眼では見えないはずです。では、なぜ夜空を横切る天の川を肉眼で見ることができるのでしょう?
〈見えないはずの星が見える天の川効果〉
その理由としては、6等星以下の微光星が密集することで、肉眼で光を感じることのできる星と同等の明るさになるから…だと思われます。例えるなら、1個ではそれほど明るくないLEDを数十個密集させればかなり遠くからでも認識できるようになることと同じだと思われます。
なので、今回のスターリンク衛星はリフトオフ直後でほぼ連続して見えたため天の川効果で実等級より明るく見えた…というのが晴れスタ的考察です。(あくまでも晴れスタ的考察なので的確かどうかは分かりませんが…)
今回のスターリンク衛星は銀河鉄道には見えないローカル一両編成でしたが、そのおかげで思わぬ発見がありました~。次回、スターリンク衛星を観望できるのはいつになるか分かりませんが、次の通過を楽しみに待つことにしましょう。
〈スターリンク衛星 通過およびイベントデータ〉