goo blog サービス終了のお知らせ 

晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ROSAT(X線観測衛星)大気圏突入情報

2011年10月16日 | 宇宙開発
SpaceWeather.comにROSATの最新情報がアップデートされていました。

SATELLITE RE-ENTRY:(SpaceWeather.com Sunday, Oct. 16, 2011)
1990年に打上げられたX線観測衛星(managed by DLR:ドイツ航空宇宙センター)
は2週間以内に大気圏に再突入して母なる地球に戻ってきます。

最新の分析では10月22日から24日の間に大気圏に突入すると予測されています。

落下場所については不明です。ROSATは9月24日に再突入したUARSより小型軽量の
衛星ですが、耐熱性の高い素材で構成されているため、地表に到達する確率は
UARSよりはるかに高いと考えられています。

DLRの分析によると燃え尽きずに落ちてくる部品は30個以上と考えられています。
その中で最も大きいと思われるパーツは、耐熱性が高い望遠鏡の反射鏡(ミラー)
です。その重さは1.7トンもあります。

太陽活動の活発化がROSATの落下を早めています。事実、数か月前の予測では
ROSATの落下は12月頃と考えられていました。その時は、これほどまでに太陽黒点数が
増加するとは予測していませんでした。太陽黒点からの極紫外線は地球大気を加熱して
膨張させます。そのことが衛星の大気抵抗を大きくしてしまうため、軌道速度が遅くなり
結果的に落下時期が早まることになります。多くの観測チームがROSATは10月中に落下する
と予測しています。

<補足説明>
ROSATの落下時期がほぼ特定されたようです。当初の予想よりかなり早まっています。
運用時の軌道高度は585km-565kmでしたが現在は230kmです。現時点では予想される
落下時期の幅が3日もありますが、落下の1日前になるとプラス・マイナス5時間の精度で予測
できるそうです。ROSATの現在位置、目視情報などの詳しい情報は Heavens-above.com に
あります。22日から24日の間にROSATが日本上空を通過するのは5回あります。

22日16時


23日10時


23日16時


24日09時


24日15時


軌道は刻一刻と変わりますので今後の情報を待つことにしましょう。

UARS落下地点情報

2011年09月29日 | 宇宙開発
SpaceWeather.comにUARSの正確な落下地点がアップデートされていました。

UARS RE-ENTRY ZONE(Tuesday, Sep. 27, 2011)
NASAは9月24日に大気圏に再突入したUARSの正確な大気圏突入地点を
発表しました。バンデンバーグ空軍基地のジョイント・スペース・オペレーションセンターは
南緯14.1°東経189.8°の太平洋上を大気圏突入地点と特定しました。

この地点は広大な洋上で大きな島もない場所です。衛星の残骸はこの地点
から北東300マイルから800マイルの間に落下しているものと思われます。
「今のところ目撃情報は全く無い」とNASAは発表しています。


〈補足〉
NASAの発表によるとUARSは9月23日午後12時(東部標準時間)に大気圏に
突入し地球に戻ってきたそうです。日本時間では9月24日の午後12時になります。

突入地点は南緯14.1°東経189.8°(西経170,2°)です。地球儀で見ると
サモア諸島付近となります。現地の時間は午後3時ごろなので、よほど
気を付けて空を見ていない限り、落下に気付く人はいなかったと思われます。

NASAデブリ担当チーフのニック・ジョンソンも会見で今のところ付近の住民からの目撃情報は
全くないと言っています。さらに付近を飛行中の航空機の乗客・乗務員からの報告も
無いと発表しています。→NASAWeb

アメリカでは「消えた人工衛星?」とか「ミステリアスな衛星落下、NASAも特定できず?」
などと報道されてましたが、結果的に人的被害が出る心配のない最も安全な場所に落下した
と言えます。UARS騒動はこれにて一件落着、と言ったところでしょう。ROSATも同じような
場所に落下するといいのですが…、ROSATの情報については続報を待つことにしましょう。

UARS大気圏突入地点情報

2011年09月25日 | 宇宙開発
SpaceWeather.com にUARSの落下情報がアップデートされていました。

UARS UPDATE(Saturday, Sep. 24, 2011)
バスサイズ程の大きさがあるUARSは東部標準時間、9月23日午後11時23分から
24日午前1時09分の間に大気圏に突入したとみられます。現在のところ信頼できる
火球目撃報告はまだありません。NASAは大気圏突入時の軌道マップを公表しました。
UARSはこのグリーンラインのどこかに落下しています。多くは海洋に落下したと考えられて
いますが、正確な落下地点はまだ不明です。


〈補足〉
UARSは日本時間の24日午後0時23分から午後2時9分の間に大気圏に突入
したことになります。大気圏突入地点は上記マップのマークが付いているところ、
北太平洋上空と考えられています。


JAXAのISS軌道マップを見ると落下地点はサンライズの時間帯です。薄明の中
で落下の様子がきれいに見えたはずですが、位置的にみてカナダの西海岸沿い
の人がかろうじて見えたかどうかと言ったところでしょうか。

しか~し、これだけ話題になっている落下騒動ですので、目撃情報は
(撮影記録も?)必ずあるはずです。続報を待つことにしましょう。

ROSAT(X線観測衛星)

2011年09月24日 | 宇宙開発
人工衛星の落下が続きます。次はROSAT(X線観測衛星)です。

大気圏再突入時期は10月下旬から11月上旬だそうです。しかも、
人的被害の確率はUARSより高い、1/2000だそうです。わお!

ROSATは1990年1月1日、ケープ・カナベラル基地からDelta-IIで打上げられました。

運用は1999年2月12日で終了しています。

この衛星の大きさは2,38 × 2,13 × 4,50 m、重さは2426 kg

それほど大きな衛星ではありません。

しか~し、1.6トンのデブリが30個の破片となって落下すると予測されています。
UARSが26個の破片、重さが500kg程度だったので、かなりの脅威といえます。

1.6トンは尋常ではありません。人的被害の確率がUARSの1/3200より高い
1/2000であることも十分納得できます。

それにしても、なぜ大量のデブリが燃え尽きずに落下するのでしょうか?

それは本体が積んでいる観測機器の構造と素材に関係しています。

ROSATはX線観測衛星なので大きな望遠鏡を積んでいます。

口径は約1.1m、長さは約4mもあります。手前のワイド・フィールドカメラは直径が70cm、
長さは1.2mです。いずれも観測制度を高めるためにヒート・シールドしてあります。

そのため中のミラーが燃え尽きずに落ちてくると考えられています。
さらに望遠鏡本体の素材が炭素性複合素材で出来ているそうです。完璧です!

なんと空からカーボン製の巨大望遠鏡が燃え尽きずに降ってくるというわけです。

この衛星はすでに運用を終えており、落下地点を制御するための装置
(スラスター等の姿勢制御装置)は持っていません。そのため落下時期は
太陽の活動状況と衛星の姿勢によって変わるので全く予測できないそうです。

落下地点はある程度予測できるそうですが、避ける術はありません。
海洋に落ちることを願うばかりです。今後の情報を待ちましょう。

UARSまもなく落下

2011年09月24日 | 宇宙開発
NASAの発表によるとUARSの落下は少し遅れて…、
日本時間の24日、午前11時から午後4時の間になるそうです。

この遅れは太陽活動の状況と衛星の姿勢変化によるものだそうです。

気になる落下地点ですが、上記時間中に衛星が通過するエリアは
陸地ではカナダ、アフリカ、オーストラリア。海洋では太平洋、大西洋、インド洋
だそうです。現在の衛星の高度は約150km程度…、まもなくです。

UARS(上層大気観測衛星)

2011年09月24日 | 宇宙開発
UARS(上層大気観測衛星)がまもなく大気圏に再突入する見込みです。

Satellite tracking expert Ted Molczanさんの計算によると、
大気圏突入の時間は日本時間の24日午前3時~午前9時の間(下図)

と予測されていましたが、最新情報によると、24日午前9時~午後1時(JST)
の間に大気圏に突入するそうです。さらに遅れる可能性もあるそうです。

そーなると、落下地点は上図よりさらに西側となり…、大気圏突入地点は
北米・中米付近→ヨーロッパまたは北アフリカ→南太平洋と予想されます。

UARSは無人の人工衛星としてはかなり大きいモノです。

大きさは大型バスサイズ…、これほど大きい人工衛星が落下するのは、
過去30年間で最大だそうです。(注:ミールは有人ステーションなので除く)

UARSの上空通過を一度だけ見たことがありますが
ISS以外ではダントツで明るい衛星です。

仙台上空を通過するUARS

2010.7.12 20:08:50 NIKON D50 f32mm F4.5 ISO800 8sec



2010.7.12 20:09:09 NIKON D50 f32mm F4.5 ISO800 8sec



2010.7.12 20:09:28 NIKON D50 f18mm F4.0 ISO800 8sec

撮影時の様子はこちら→ブログ

ソーラー電力セイル実証計画

2011年02月05日 | 宇宙開発
ソーラー電力セイルによる世界初の木星&トロヤ群小惑星探査計画…

その具体的な計画が2005年3月のISASニュースに載っていました。

ハイブリッド推進宇宙船

推進力はイカロスで実証されたソーラー電力セイルとはやぶさで実証された
高性能イオンエンジンによる世界初のハイブリッド推進、

その探査機本体の構造は下図のとおり

木星フライバイの時に木星オービターを分離し、木星周回軌道に投入、
周回軌道上でプローブを木星大気へ突入させ、木星極域の大気観測実施。
探査機本体はフライバイ後、L4へ向かいトロヤ群小惑星の探査実施。

この計画は7つの「世界初」を目指す,まさに新世紀を先駆ける画期的なミッションだそうです。
(1) 世界初の太陽電池を動力源とする木星以遠に到達する外惑星探査機であること
(2) 世界初の木星オービター,フライバイ複合機であること
(3) 世界最高性能のイオンエンジンで推進すること
(4) 世界初の光子セイルハイブリッド推進で航行すること
(5) 世界初の黄道面ダスト外からの背景放射観測を行うこと
(6) 世界初のトロヤ群小惑星探査を行うこと
(7) 世界初の編隊飛行による木星磁気圏観測を行うこと

2011年発の軌道計画も載っていました。

これによると
2011年5月7日地球をリフトオフ
2012年9月27日地球による1stスイングバイを実施
2014年10月27日2回目の地球スイングバイで惑星間航行へ出発、
電力ソーラーセイル展開、ハイブリッド推進開始(初速9.14km/s)
2017年3月27日木星到着(到達速度59km/s)

〈参考資料〉
11.18 km/s (40,248 km/h) 第二宇宙速度(地球の脱出速度)
16.7 km/s (60,120 km/h) 第三宇宙速度(太陽系の脱出速度)
70.22 km/s (252,792 km/h) ヘリオスB(最も速い人工物)
17km/s (60,120 km/h) (ボイジャー1号)

詳しいことはISASニュースに載っています。
ソーラー電力セイル実証計画について(2005年3月 ISASニュース)(
10cmのキューブサットから50mのソーラー電力セイルへ(2005年6月 ISASニュース)(

(補足説明)
ここまでの計画がすでに立てられていたことに驚きを感じました。
この分野では間違いなく世界のトップであり、NASAの10年先を進んでいると思います。

こんなことを言うと「多額の金を使う宇宙開発に何の意味があるの?」と言う声が
聞こえてきそうですが、宇宙開発の意義について次のようにありました。

(2005年3月 ISASニュース)より
「技術開発で頂点に立つことが,逆にすそ野を広げて,世界を牽引する
新しい技術を創生していく型の産業育成への転換技術力をもたらし,
経済効果を産むことにつながると考えられます。」

まったくそのとおりだと思います。これは資源を持たない日本の生きる道の一つだと
思います。宇宙開発は日本にとって国益に直結するものであり、今後さらにその傾向が
高まるビジネスだと思います。

はやぶさを成功に導いた川口教授が述べた有名な言葉があります。
「高い塔を立て、そのてっぺんに昇って見ると新たな世界が見えてくる。」
「さらに高い塔(誰も昇ったことのない高さ)を立てると今まで見えなかったものが見えてくる。」

つまり一番高い塔を建てることが重要なのである。二番では意味が無いのだ。

残念ながら2011年5月7日リフトオフは実現しませんが、近い将来、ぜひこの計画を
成功させてほしいですね。

関連ISASニュース
ソーラー電力セイルによる工学実証機構想(2004年1月 ISASニュース)(
2種類のソーラーセイル展開実験 クローバー型と扇子型(2004年8月 ISASニュース)(
観測ロケットS-310-34号機打上げ後記(2004年9月月 ISASニュース)(




世界初!クローバー型ソーラーセイル

2011年02月03日 | 宇宙開発
ソーラーセイルの向こうに見える美しい地球…、きれいな写真です。

今、地球の周りを回っているNanoSail-Dが撮影した写真でしょうか?

答えはNOです。NanoSail-Dはカメラを積んでいません。ではイカロスでしょうか?

それも違います。イカロスは遠く地球から離れたところで帆を展開しました。

これは史上初めて宇宙でソーラーセイルの展開に成功した実験機から撮影したものです。
打ち上げた国は、そう日本です。撮影されたのは2004年8月9日のことでした。

内之浦発射場から打ちあがるS-310-34号機

2004年8月9日午後5時15分モーター点火!

このロケットには2種類の展開方式及び展開形状の大型薄膜を搭載していました。

一つがクローバー型、もう一つは扇形。よく見るとクローバー型の展開方法が
イカロスとほぼ同じですね~、というより原型がすでにできていたんですね。

その薄膜を高真空、無重量になる高度約120km以上で順次展開。

展開挙動及び展開後の形状を搭載されたカメラで撮影し地上に伝送する計画。

発射後100秒に高度122kmでクローバー型のセイルを展開

その120秒後にクローバー型セイルを分離!

この瞬間、宇宙空間でソーラーセイルを展開するという偉業をNASAに先駆ける
こと6年、みごとに成し遂げました。なんとすばらしき日本の宇宙開発!

次いで発射230秒後に高度169km で扇子型セイルの展開を開始、
発射約400秒後に海上に落下。この間、展開途中や展開後の様子を、
ロケットに搭載した角速度計や搭載カメラ等各種センサで計測・撮像し、
2台のテレメータ送信機で計測データを地上へ伝送しました。

くわしいことはISASトピックスに載っています。
太陽帆船用の薄膜帆を宇宙で展開(
S-310-34号機で大型薄膜の展開実験(8月9日予定)(

トピックスの最後に
「この30歳代の人々を中心とするミッションが、この日美しく開いたクローバー型
セイルが象徴するように、文字通り大きく花開くことが期待されます。」
と締めくくられているとおりに、このスタッフがイカロスを成功に導きました。

クローバー型ソーラーセイルは弾道軌道なので宇宙空間を航行することは
出来ませんでしたが、宇宙空間でセイルを展開した世界初の実験機となりました。

このクローバー型セイルとイカロスの先にあるのは…

そうです。木星およびトロヤ群小惑星の探査です。

2010年代後半に計画されているこの探査では、イカロスで実証されたソーラー電力セイルと
はやぶさで実証された高性能イオンエンジンが搭載され、直径50m級の膜面による
光子加速と組み合わせた推進力で、木星に向かって航行します。

考えただけでワクワクします。

その時にはイカロスのように分離カメラを積んで、

このような写真をぜひ送ってほしいですね!

Watch Out for Solar Sail Flares

2011年02月02日 | 宇宙開発
NanoSail-Dの撮影報告がSpaceWeather.comに寄せられているようです。(

私も見たいなあ~、写真に撮りたいな~、と思っているあなたに朗報です。
science@NASAにNanoSail-Dを見るためのコツが載っていました。
さあ、皆さんもアメージングな瞬間の目撃者となりましょう!

「Watch Out for Solar Sail Flares 」February 1, 2011

穏やかで静かな夜。遠方の飛行機が地平線で静かに瞬く時、頭上では
幾千もの星が音もなくきらめいている。まったく音のない世界…、
針を落とした音も聞こえるのでは、と思えるほどの静かな夜。

ふと見上げた空を横切る一筋の光、目をこらさないと見えないほどの
わずかな光が数秒後には、まるで超新星のごとく明るくなり、
全天のどの星よりも明るい光を放つ星となる。

その瞬間、足元に自分の影ができていることに気づく人はいないだろう、
だが、静寂を破ったのは自分の歓声だということに誰もが気づくことだろう。

「こんなことが実際に起きることはあるのでしょうか?」

「ありますよ! もしあなたが外にいるとき、頭上をNanoSail-Dが飛んだら
本当にこのような体験ができるかもしれません。」ディーン・アルホーンは言います。
「太陽光がソーラーセイルの帆に反射したとき、このような現象が実際に起こると
私たちは考えています。」

すでに多くの人がイリジウムフレアを見ています。そのいくつかは昼間の空でも
目撃されています。NanoSail-Dはイリジウムフレアよりも明るくなる可能性があります。

「NanoSail-Dの帆はイリジウム・アンテナの6倍の面積があります・」アルは指摘します。
「さらに、NanoSail-Dはイリジウム・サテライトより低い軌道を航行しています。」
これが意味するところは、イリジウムよりはるかに明るいフラッシュが起きる可能性がある
ということです。

最良の条件の時、NanoSail-Dは理論上、金星の100倍の明るさになると考えられます。
(等級では2.5~5等級の増加となる)このことから街明かりのある都市でもはっきり
見えるだろうと予想されています。

「しかし、フレアが起きる前はかなり暗いと考えられます。」衛星追跡スペシャリストのテッドは
言います。

「多分双眼鏡を使っても見えないでしょう。もちろんフレアの最中は肉眼で見えます。それは
このNanoSail-Dの形状の特異性にあります。エッジ・オンの時はかすかな光しか放ちません。
フェイス・オンの時はどの星にも負けない輝きを見せるはずです。」

多くのウエブサイトでNanoSail-Dのフライバイ予報を見ることが出来ます。これらのサイトでは
いつNanoSail-Dが頭上を飛ぶかを教えてくれますが、いつフレアが起きるかは教えてくれ
ません。

なぜなら、NanoSail-Dがいつ輝きを増すかは予測不可能だからです。

観察者は公表されているスターチャート()を活用してください。星図で予測された位置を
7x50の双眼鏡で見ることで可能性が高まります。

意外に思うかもしれませんが、もっとも明るいフレアはNanoSail-Dが地平線の
近くにあるときに起きるかもしれません。

Vesa Vauhkonen さん撮影 Rautalampi, Finland Jan. 30, 2011

もっともミッションが開始されたばかりの現在では空のどの位置にあってもフレアが
起きる可能性があります。

しかしミッションの後半になるとエアロダイナミクス効果で帆は洋上を航海する帆船
のように進行方向を向くことが予想されます。そうなると地平線に近い位置でフレアが
起きる可能性が高くなります。

「本当に見ることは出来るのでしょうか?」

「可能性はあります。予報をチェックして外に出て空を見上げてください。」アルは言います。
「あなたは大声で叫ぶ価値がある〈何か〉を見ることができるかもしれません。」

NANOSAIL-D PHOTO CONTEST

2011年01月29日 | 宇宙開発
NASAが12月11日に帆の展開に失敗したと発表した()「NanoSail-D」が
突如復活して帆をみごとに展開したようです。

失敗発表から一ヶ月…、NanoSail-Dに何が起こったのか? 
その詳細がscience@NASAにありました。

「Solar Sail Stunner 」 January 24, 2011
起死回生ともいえる復活劇で、NanoSail-Dは650km上空で新素材の帆を
展開し、地球を周回する世界初のソーラー・セイル宇宙船となりました。

「私たちは、太陽の帆を張って宇宙の大海原を航海することができました。」
マーシャル・フライト・センターのNanoSail-D実験責任者ディーン・アルホーンは言います。
「この成功は我々にとって重要な意味を持ちます。」

NanoSail-Dは約1ヶ月半ほどマザーシップであるFASTSATの中にとどまっていました。
FASTSATは2010年11月にNanoSail-Dと5つの実験衛星を搭載して打ち上げられま
した。その後、パン焼き機ほどの大きさのプローブが放出されるはずでしたが、予定の
時間を過ぎても、帆は展開されませんでした。

「NanoSail-DはFASTSATから脱出することができませんでした。」アルホーンは言います。
「それは悲劇でした。我々はいまだソーラーセイル・プロジェクトの長いトラブルから抜け出せないで
います。」(注:NanoSail-D1号機は2008年に打ち上げれたがロケットの不調で爆破された)

何週間も過ぎたとき、チームメンバーは希望を捨て始めました。NanoSail-Dは頑としてFASTSATから離れようとしませんでした。任務は始まる前に、終わっているように思えました。

ところが、運命の日といえる1月17日がやってきました。技術者はいまだに
その原因を解明していませんが、NanoSail-Dは自分で宇宙へ飛び出したのです。

アルはその時のことをこう述べています。「私は自分の目を信じることができませんでした。
制御室に入ってスクリーンのテレメトリーを見ると、なんと私たちの宇宙船が自由に宇宙を飛び回っていたのです!」

チームは、NanoSail-Dのラジオビーコンを取得するために専門家のアラン・シーグとスタン・シムズに協力を依頼しました。

「タイミングは良くありませんでした。」シーグは言います。「NanoSail-Dはちょうどハンツビルの上を通過した後でした。信号を聴く最初のチャンスをものにすることは残念ながらできませんでした。」

中部標準時で午後5時になる直前のことでした。、彼らはついに微弱信号を捕えました。 宇宙船が頭上に高く昇ったとき、信号はますます強くなりました。オペレーターは最初のパケット信号を解読し確信しました。

NanoSail-Dは健在です。

しかし、まだ最大の任務が遂行されていません。NanoSail-Dに帆の展開のコマンドを送ることです。それは1月20日午後9時(CST)に実行されました。

パネルを閉じていたワイヤーがオンボードタイマーの作動で切られ、さらにブームを押さえていたワイヤーが切られると、ポリマー・シートの薄膜でできた帆が数秒とかからぬ時間でみごとに展開しました。

その大きさは10平方メートルもあります。

太陽光で航行する宇宙船は今までに1つしかありません。日本のイカロスです。イカロスは惑星間空間でソーラーセイルを展開し、それを使って2010年に金星のフライバイを成功させました。

イカロスは太陽光の圧力を第一推進力として現在も宇宙を航行しています。この成功を受けて、JAXAは将来的に木星へのソーラーセイルを目指しています。

NanoSail-Dはホームである地球に戻るため地球周回上にとどまります。「私たちの任務はソーラーセイルが地球周回上にあるスペース・デブリを除去する道具となり得るかを探ることにあります。」アルホーンが説明します。「我々の惑星を周回し続け、やがて大気のヘリまで来るとエアロダイナミック・ブレーキが働き、減速して大気圏へと突入します。」

事実、NanoSail-Dは70日から120日過ぎに、1つの流れ星となって地球へ帰ってきます。

NanoSail-Dは低軌道のクリーンアップに一役買うことになるかもしれません。ひょっとするとドラッグセイルは将来の人工衛星のスタンダードになっているかもしれません。衛星のミッションが終了した時に帆を展開することで、衛星はやがて大気へと引きずり込まれ、地上に到達する前に燃え尽きることでしょう。

これは今後の宇宙開発において軌道上のデブリの増加を防ぐ働きがあります。

アルホーン・チームは今後、NanoSail-Dの軌道がどのように変化するかを数カ月にわたってモニターする予定です。さらに太陽光が帆にどの程度圧力を与えるか調べたいと考えていますが、大気抵抗の方が太陽光の圧力による変化をはるかに上回るかもしれないので分析は難しいと考えられます。

何が次に起こっても、NanoSail-Dは既に後世に名を残しました:。それは、NanoSail-Dがエレガントで、かつ安価な薄膜を使って地球周回軌道上を航行する史上初のソーラーセイルとなったことです。しかしながら、なぜ突然衛星が放出されたかについては今後分析をする必要があります。

(補足説明)
何とも不思議な話ですが、かくしてNanoSail-Dは地球を周回する世界初のソーラーセイル宇宙船と
なりました。そのNanoSail-Dをターゲットとしたフォトコンテストが現在行われています。
詳しくはこちら→NANOSAIL-D PHOTO CONTEST

賞金もあるようですが撮影はかなり難しいと思われます。

大きさはわずかに3m、最大光度は2.7等級ですが、これは正対したときだけ…、
厚さはほとんど無いので、角度によっては反射率がゼロの時も当然あります。
むしろ、正対したときだけ一瞬光る程度と考えた方が正しいかもしれません。

NanoSail-D2
Dimensions: 3 m x 3 m x 0.1 m
Brightness: 4.5 mag (at 1000 km, 50% illuminated)
2.7 mag (at perigee, full illumination)
Orbit: 623.8 x 652.4 km, 97.5min
Inclination: 72.0°

Visible Pass情報は公表されていますので、チャンスを見て挑戦してみることにしましょう。