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ソーラー電力セイル実証計画

2011年02月05日 | 宇宙開発
ソーラー電力セイルによる世界初の木星&トロヤ群小惑星探査計画…

その具体的な計画が2005年3月のISASニュースに載っていました。

ハイブリッド推進宇宙船

推進力はイカロスで実証されたソーラー電力セイルとはやぶさで実証された
高性能イオンエンジンによる世界初のハイブリッド推進、

その探査機本体の構造は下図のとおり

木星フライバイの時に木星オービターを分離し、木星周回軌道に投入、
周回軌道上でプローブを木星大気へ突入させ、木星極域の大気観測実施。
探査機本体はフライバイ後、L4へ向かいトロヤ群小惑星の探査実施。

この計画は7つの「世界初」を目指す,まさに新世紀を先駆ける画期的なミッションだそうです。
(1) 世界初の太陽電池を動力源とする木星以遠に到達する外惑星探査機であること
(2) 世界初の木星オービター,フライバイ複合機であること
(3) 世界最高性能のイオンエンジンで推進すること
(4) 世界初の光子セイルハイブリッド推進で航行すること
(5) 世界初の黄道面ダスト外からの背景放射観測を行うこと
(6) 世界初のトロヤ群小惑星探査を行うこと
(7) 世界初の編隊飛行による木星磁気圏観測を行うこと

2011年発の軌道計画も載っていました。

これによると
2011年5月7日地球をリフトオフ
2012年9月27日地球による1stスイングバイを実施
2014年10月27日2回目の地球スイングバイで惑星間航行へ出発、
電力ソーラーセイル展開、ハイブリッド推進開始(初速9.14km/s)
2017年3月27日木星到着(到達速度59km/s)

〈参考資料〉
11.18 km/s (40,248 km/h) 第二宇宙速度(地球の脱出速度)
16.7 km/s (60,120 km/h) 第三宇宙速度(太陽系の脱出速度)
70.22 km/s (252,792 km/h) ヘリオスB(最も速い人工物)
17km/s (60,120 km/h) (ボイジャー1号)

詳しいことはISASニュースに載っています。
ソーラー電力セイル実証計画について(2005年3月 ISASニュース)(
10cmのキューブサットから50mのソーラー電力セイルへ(2005年6月 ISASニュース)(

(補足説明)
ここまでの計画がすでに立てられていたことに驚きを感じました。
この分野では間違いなく世界のトップであり、NASAの10年先を進んでいると思います。

こんなことを言うと「多額の金を使う宇宙開発に何の意味があるの?」と言う声が
聞こえてきそうですが、宇宙開発の意義について次のようにありました。

(2005年3月 ISASニュース)より
「技術開発で頂点に立つことが,逆にすそ野を広げて,世界を牽引する
新しい技術を創生していく型の産業育成への転換技術力をもたらし,
経済効果を産むことにつながると考えられます。」

まったくそのとおりだと思います。これは資源を持たない日本の生きる道の一つだと
思います。宇宙開発は日本にとって国益に直結するものであり、今後さらにその傾向が
高まるビジネスだと思います。

はやぶさを成功に導いた川口教授が述べた有名な言葉があります。
「高い塔を立て、そのてっぺんに昇って見ると新たな世界が見えてくる。」
「さらに高い塔(誰も昇ったことのない高さ)を立てると今まで見えなかったものが見えてくる。」

つまり一番高い塔を建てることが重要なのである。二番では意味が無いのだ。

残念ながら2011年5月7日リフトオフは実現しませんが、近い将来、ぜひこの計画を
成功させてほしいですね。

関連ISASニュース
ソーラー電力セイルによる工学実証機構想(2004年1月 ISASニュース)(
2種類のソーラーセイル展開実験 クローバー型と扇子型(2004年8月 ISASニュース)(
観測ロケットS-310-34号機打上げ後記(2004年9月月 ISASニュース)(




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