待合室の人間模様は様々で、悲喜こもごもでもある。
ひとり本を読んでいる人。
自助グループのことで、議論する人。
落着き無くうろうろしては、職員に話し掛ける人。
用も無いのに、入り浸って、誰彼と無く言葉を交わす人。
初診の人をつかまえては、自助グループに誘う人。
少ない仲間内で、他人の悪口で盛り上がっている人。
患者の旦那さんを心配そうに見つめる憔悴した奥さん。
まともに歩けない妹を支えて通院してくる姉と母親。
頻繁に、受付に行っては、待ち時間が長いと、声を荒げる人。
それぞれの姿に、飲んでいた頃の姿が重なって見えてくる。
全ての人に共通して言える事は、自分の事を知ってもらいたい、
気に留めてもらいたい、話を聞いてもらいという事だ。
患者に限らず、誰でもがもつ、本能的なものと思われるが、
この病気の患者においては、最も顕著な傾向でもある。
私自身も、同じではあるが、人それぞれ、その顕れ方が
違うだけである。
とは言いながら、時には不快な気持ちで、そういった姿を見る
事もままある。
是く言う私は、黙ってひたすら待っている事が多い。
何より、病院へは、先生と話をしに来ているのだ。