ひろせ明子の市議日記

無所属・無会派。
市議として日常で見たこと・感じたことを綴っています。

放射能に関する請願・賛成討論

2011年10月08日 | 原発
9月議会に向けて、放射能から子供たちを守ってほしいとの内容の請願が提出されました。
(私は、紹介議員として名を連ねました。)
委員審査では「趣旨採択」でしたが、私は請願そのものの採択をすべきだとの討論を行いました。
(採決の結果は、趣旨採択が賛成多数をしめました。)

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以下は、請願賛成討論です。

請願賛成討論

3月11日、人類史上かってない大惨事が起きました。
福島原発事故です。マグニチュード9.0の巨大地震により、フクシマ原発のすべての発電所が停電し、原子炉の冷却装置が動かなくなってしまいました。その結果、原子炉内の冷却が不可能となり、高温・空焚き状態となり、一号機は水素爆発に至りました。その後、3号機、4号機と次々に水素爆発が起こました。原子炉からは、ヨウ素、セシウム、プルトニウム、ストロンチウムなどが放出されていきました。3か月後の発表ですが、初期段階でメルトダウンも起きていました。1号機については、炉心の大半が溶けてしまうメルトスルーも起きたことを国際原子力機構(IAEA)への報告書の中で認めています。核燃料が原子炉建屋の外部に漏れてしまうメルトアウトの危険性も心配されていて、事態の収束、つまり原子炉の冷温停止は全く見えていません。
最近では、放射性物質で汚染された各地のゴミの処理問題も大きな社会問題となってきています。
日本人は、日々被ばくの危険にさらされ、生体実験をさせられているといっても過言ではない状況です。

こういう状況の中で、子供たちの被ばくを最小限に止めるために、浦安市民有志の方から安全対策への積極的な取り組みを求める請願が出されました。8月26日です。
内容は、
●子供の年間被ばく線量限度を1ミリシーベル以下として対応してほしいというものです。これは、内部被ばく外部被ばくの合算数値です。
そのために、きめ細かい測定を行い、年間被ばく量を超えた場合は、除染を行うことを訴えています。
●また、内部被ばくを抑えるために、食品の測定を求めています。そのために、食品の放射能測定機器を浦安市が持つことを訴えています。
弁当持参が自由な雰囲気の中で選択できる給食現場の実現も望んでいます。
●今回の事故だけでなく、浜岡原発や東海原発で同じことが起きる危険性が皆無でないので、原発への防災対策を講じ、また、原子力防災マニュアルの作成・配布を希望され、保育園、幼稚園小中学校へは簡易放射能測定器の設置を要望されています。

これらの要望は、6月議会9月議会に何人もの議員が一般質問でも取り上げてきたことでもありますが、市側の対応はどれも大変消極的なものでした。

空気中の放射線線量を減らすための除染については、浦安市の見解は、国の基準が示されてないから対応していません。

給食食材料の安全性については、「飲料水や食べ物に含まれる放射性物質については、原子力安全委員会が設定した指標に基づいて、厚生労働省において暫定規制値が定められ、これを上回る食品等については食用に供されることのないよう食品衛生法において規制がされ、 これらの規制値を超えるものは流通されないよう取り組みがされております。ですので、現在、市場に流通している農作物等は安全が確認されていると理解して おります。」と細田玲子教育総務部長は説明しましたが、6月議会です、子供たちの口に入る食べ物が暫定基準値内なら安全だという保障はどこにあるのでしょうか
暫定の意味をご理解されていますが?
暫定とは、仮に定めることです、正式決定までのものです。正式決定で、暫定値を下回ることになったら、それまでの数値には安全性がなかったことになるのです。
それまで安全だと言ってきた国への信頼はなくなるし、市への信頼も一瞬ですっ飛んでしまいます。
正式決定はいつになるのですか。市は国に確認していますか。
こんなあいまいなことで子供たちの命や健康を守れるのでしょうか。

この暫定値を決めた政府は、一時フクシマの子ともたちの被ばく量を20ミリシーベルト/年間を決めた政府です。
この20ミリシーベルト/年間とは、レントゲン受診回数でいうと400回/年間に当たるといわれている数値です。
そんな高い数値を子供たちに強いようとした政府が出した暫定数値、いくらその数値以下だから安全だと言っても、それで市民は納得できますか。

そもそも、3月17に以降に決められた現在の暫定値、他国の基準と比較した場合、いかに高いものであるかということを、市は認識されていますか

水の基準値ですが、日本は500ベクレルです(1リットル)。
ご存知のように、ドイツガス水道協会は0.5ベクレル、つまり日本はドイツの1000倍です。
アメリカの法令基準はもっと低く、0.111ベクレルです。
これまでは、370ベクレルを超えるものは日本への輸入はできませんでした。
それが、今では、牛乳、乳製品、肉類は500ベクレル、野菜類は2500ベクレルまで容認されています。
3.11を体験した日本人の体は、放射線に対する抵抗力が強くなったのですか?そんなことはありません。国が商品の流通を優先した結果の数値でしかありません。
被ばくは、限りなくゼロに近づけるに越したことはない、これは当たり前です。少なくても成長期の子供たちにはこの考えは譲ることはできません
だからこそ、今回の請願が出てきたのだと私は理解しています。
国は、暫定という言葉で高い数値を出してきています。体に入る食品の安全値を決めるのに「暫定」なんてあるはずがない、少なくても、子供たちには「暫定数値」などあってはならないはずです。生産者を守るというのであれば、大人が消費すればよいわけです。
未来ある子供たちの口には絶対に高い暫定基準のものを入れてはいけないと考えます。
食品汚染から子供たちを守るための対策に取り組むべきです。


請願は、1ミリシーベルト以下と具体的な数値を出して、市の安全対策を求めています。
これは決して不可能な数字ではありません。
市独自の基準を設けて、除染などの行動を始めている自治体はいくつもあります。浦安市のように、国からの指示を待っていては子供たちの健康は守れないとの認識から、独自の動きが始まっているのです。
なぜ、浦安市は頑なまでに動こうとしないのか、子供の健康を国の基準に頼るのか不思議でなりません。
いつまでもこんなことをしていたら、市民の行政への信頼を失うばかりです。
国がやってくれないことを市がやって初めて「信頼に値する市」になるのです。

3.11が起きる前までは、浦安市は若者が住みたい街ナンバー1にランクされたこともあります。また、行政も若者が住みやすい街となるために、子育て支援にはかなり力を入れてきたはずです。
原発事故以降、子供を持つ若者の大きな悩みは、放射能汚染からいかに子供を守るかです。そうであるならば、放射能汚染から子供たちをどう守るのかを議会としても真剣に取り組む必要があります。
今回の請願に対して、都市経済常任委員会では趣旨採択という形での議決が行われましたが、本会議では趣旨採択ではなく、請願そのものを採択すべきです。
浦安市議会は、未来ある子供たちを放射能汚染から真剣に守ることを考えているのだという意思表示をしっかり行い、中々動こうとしない浦安行政に対して市民の声を議会は受け入れますという意思表示を行って、市に対応を迫ろうではありませんか。各議員の方がたには、どうか趣旨採択には賛成されませんよう訴えたいと思います。

請願の趣旨採択は反対、請願全文採択の為の討論と致します。

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