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こころの除染という虚構 42

こころの除染という虚構

42

 6月10日、午後7時30分、小国ふれあいセンターに於いて、

『東京電力福島第一原発事故に関する伊達市による説明会』が開催された。

住民側出席者は上小国、下小国行政区長、班長。上小国、下小国区民会長・副会長。

 

市執行部の出席者は仁志田市長、鴫原貞男副市長、佐藤孝之市民生活部長、佐藤芳明産業部長、

進行は、菅野正俊霊山総合支所長。

市民生活部長の概況説明の後、市長は対応方針をこう説明した。

 

 国から霊山町が3か所、年間積算線量推定値が20ミリシーベルトを超える地域だと、指摘された。先に石田宝司沢が20シーベルトを超えると発表されたが、計画的避難地域にはしないと国から言われたので、市独自で計画的避難区域に準じた扱いにして行こうと考えた。

 

石田宝司沢での経験が、伊達市の『原型』となっていた。市長は全員が村を離れることになった飯舘村を引き合いに出し、「ここでの生活を望む人。ここでの生活しか生計を営めない人も多数いる」とした上で、市の『方針』を明示した。

 

 伊達市としては、国から計画的避難区域の指定の打診があっても断り、皆さんのいろんな事情をお聞きしながら、市としてできる限りのことをして行きたい。

 みなさんの中には国の指定を求めるお考えも在るかもしれませんけれども、市としましては、国と同じようにやって行く考えでありますので、上小国地区に対しては、石田坂ノ上地区と同じく、自主避難の支援(市営住宅への入居、日赤からの家電6点セットなど)をして行くつもりである。

 

 説明会を行い、住民の意見を聞いて対応を考えるという段取りではなく、すでに出ている市の結論を当該住民の代表に向けて明らかにした会だった。

市長の説明を受けて意見交換が始まる。住民のトップバッターとなったのは、上小国区民会長の菅野康男だ。

Q(上小国菅野康男さん)(中略)やはり、自主的避難というか、石田地区のような形でやって貰えば、我々としても安心できる。学校については、校庭の表土を剥いだが、学校の周辺を除染しないと心配である。

 A(市長)やはり、全員が強制的避難をしなくてはというのは、いろんな事情を抱えているわけで、ほんとうに困る。それぞれの事情に応じて、計画的避難地域と同じ様な対応をしていきたい。その意味では御賛同いただいてありがたい。

 

最初からまるで「シャンシャン」、お手盛り会の様相を呈する流れだった。

市長は質問に応える形で、「除染」についてとくとく続ける。

 

 結果としては、伊達市内全部を除染していくことが必要である。放射能レベルを下げなくては、避難している人達も戻って来れない。

 セシウムの半減期、放射能が半分になるのは、30年。ほぼゼロになるのは、300年後。伊達市としてはしかるべき専門の先生の助言を受けながら、除染に取り組むことを目指している。

 

専門の先生とは、現在の原子力規制委員会委員長田中俊一で、この時点ですでに伊達市中枢部に入り込んでいた。

除染についての詳細は後に譲るが、市長の除染についての鼻息が相当に荒いことが、避難を巡る説明会でもあっても窺(うかが)える。続く

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