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涼州詞 王之渙

2017-03-20 06:28:51 | 文学
涼州は中国甘粛省武威県にあり、河西回廊最大の都市でした。ここから西に行き酒泉・敦煌などを経て陽関、玉門関を越えると、その西は西域諸国の世界です。涼州詞は辺境の厳しさや遠征の苦しさを主題にした詞です。
有名な王之渙(おうしかん)の七言絶句を紹介します。

黄河遠上白雲間
一片孤城万仞山
羌笛何須怨楊柳
春光不度玉門関

黄河遠ク上ル 白雲ノ間
一片ノ孤城 万仞ノ山
羌笛(きょうてき)何ゾ須(もち)イン 楊柳ヲ怨ムヲ
春光度(わた)ラズ玉門関

「訳」
 黄河を遠くさかのぼって、はるか上流の白雲のたなびくあたり、そそりたつ山に、ポツンと砦がたっている。羌族(きょうぞく)の笛の音は「折楊柳」の曲を悲しげにかなでているが、そんな別れの曲を吹くことはないぞ。なぜなら、ここ西の果ての玉門関までは、春の光がやって来ないのだから。


ここ西の果て玉門関までは春の光がやって来ないという結句に
荒涼とした風景がしみじみと連想されます。

 石川忠久 「NHK漢詩紀行」 日本放送出版協会
コメント
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