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照鏡見白髪 張九齢

2017-03-29 06:46:16 | 文学
初唐の詩人 張九齢(673~740) の有名な五言絶句を紹介します。
照鏡見白髪

宿昔青雲志
蹉タ白髪年
誰知明鏡裏
形影自相憐

鏡ニ照ラシテ白髪ヲ見ル

宿昔(しゅくせき)青雲ノ志(こころざし)
蹉タ(さた)タリ 白髪ノ年
誰カ知ラン 明鏡ノ裏(うち)
形影自(みずか)ラ 相憐マントハ


「訳」
 昔は、功名をあげて出世する大志を抱いていたが、失敗してむなしく時は
 過ぎ、白髪の生える年になってしまった。今この明るい鏡の中に、自分と鏡に
 映るもう一人の自分が、お互いにその白髪を憐み合おうとは思いもかけないことであった。


 「鑑賞」
張九齢は七歳で早くも文を書くことを知り、十三歳の時には、その書いた文を広州の刺史(しし、州の長官)の王方慶に見られ、将来大きな仕事をするであろうと感嘆されたそうです。29歳で進士に及第し官界に入りましたが、良い時代も悪い時代もありました。若き日の神童も、老年には、このような詩を賦して慨嘆する時が訪れるのでしょう。この詩は「唐詩選」にも採られています。

 「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
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