千葉市稲毛区の「ゆかりの家・いなげ」の庭に白雲木という木があり、5月に見頃を迎えました。清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の実弟、溥傑氏(1907-1994)の妻、浩(ひろ)さんゆかりの花です(写真下)。 浩さん(1914-1987)は嵯峨侯爵家の令嬢で、1937年に政略により愛新覚羅溥傑氏と結婚し、この「ゆかりの家」で半年ほど暮らしました。白雲木は、浩さんの結婚祝に貞明皇后(大正天皇の皇后)から贈られた種がルーツ。嵯峨浩さんの横浜の実家で育てられ、孫木の苗が「ゆかりの家」の裏庭に植えられました。「ゆかりの家」は、王族が住むような広い屋敷ではありません。小さな山水の庭のある簡素な平屋の家でしたが、ここで新婚の日々を過ごされた半年が、お二人にとって、生涯もっとも穏やかな日々であったということです。浩さんご夫妻は、太平洋戦争に翻弄されました。中国東北部で終戦を迎え、朝鮮、日本、北京と転居を余儀なくされましたので、浩さんは「流転の王妃」とも言われています。
こちら向き白雲木の垂れ咲けば何か言ひたき様にも見えて 家族作
こちら向き白雲木の垂れ咲けば何か言ひたき様にも見えて 家族作