yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

ガロア

2010-06-11 06:21:25 | 科学
ガロア(1811~1832)はフランスの天才的な数学者で、10代で一生の業績となる数学の
理論をほぼ完成しましたが、惜しいことに決闘の傷が元で、21歳の若さで他界しました。
 ご承知の通り、一次方程式はax=b の形ですが、この解は、x=―b/a です。また、二次
方程式 ax2+bx+c=0 の解も、バビロニア王朝の時代(紀元前2000~1100年)から既に知られていました。ところが三次方程式の解は、それから約3000年も経った1545年になって、ようやくイタリアのカルダノの「大いなる技法」という本の中で発表されました。続いてカルダノの弟子のフェラーリ(1522~1565)が四次方程式の解の公式を発表しました。三次、四次方程式の解が続いて発見されたので、この調子ならば五次も六次も直ぐに解けると期待されました。ところが予想に反して100年経ってもそれらは発見されませんでした。そしてなんと約300年後の1824年、ノルウェーの天才アーベル(1802~1829)は論文を発表し、その中で五次以上の方程式の解の代数公式は存在しないことを、他の人に先駆けて証明してしまいました。
ところでガロアもこの難題に挑みましたが、その課程でガロア群と呼ばれる群論を展開しました。そして五次以上の方程式でも、方程式の係数から成り立っているガロア群において、特定の条件が満たされれば、代数的に解ける場合がある事を示すことが出来ました。この証明はアーベルの証明を上回るもので、より一般性が高いと評価されています。
 群論は数学の一分野です。二つの数字群の間の関係を対称性や直交性、結合法則や恒等変換・逆変換といった概念で統合して考察する分野です。アインシュタインの相対性理論、ハイゼンベルクの量子力学、リーマンのリーマン幾何学など現代物理学の発展に大きく寄与した学問です。こうした群論の基礎となる概念を20歳前に想起したガロアの天才的頭脳には驚かされます。

                    中村亨 「ガロアの群論」 講談社
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