山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

時々「近況報告」:62年という時間

2021-10-01 04:12:01 | 宵宵妄話

9月は、コロナ禍の中、閉ざされた世界の中で、窮屈な日々を送ったのだが、自分だけは結構忙しく楽しい日々を送った。そのことをホンの少し書いてみたい。

自分は高校を卒業してから、早や62年が経っている。往時18歳だった少年は、今は80歳の老爺となっている。誰でも生きてさえいれば、そうなっているのは当たり前のことに過ぎない。

ところが我々が少し当り前ではないのは、高校卒業時の我がクラスは、それから今までの62年間、今回のコロナ禍で2回の集まりを失った以外は、毎年新年時にクラス会を欠かしたことがないのである。このような事は広い世間には稀にはある事かも知れない。しかし、我々のクラスが少しばかり違うのは、新年会ばかりではなく、経年の節目に文集を発行していることがある。第1号は、勿論卒業時であり、それから30年経った年に往時のクラス担任だった先生からその第1号の復刻版が送られて来たのである。多くの仲間はそのようなことを忘れていたのだったが、これを機に先生の求心力発揮は強固なものとなり、それまで有志だけだった新年会の集まりは、俄然目覚めたように多くの参加者の特別の集まりとなった。それ以降恩師を囲んで毎年20名近くが出席するようになった。そればかりでなく、時々卒業時の文集に続いて、記念文集を発行するようになった。今まで7号まで発行しており、恩師が亡くなられた後でも集まりは絶えず続いており、今回は傘寿を記念してもう一度文集を作ろうということになったのである。第8号なのだが、年齢を考えると、恐らくこれが最後の文集となるに違いない。

それで、その発行を任せられたのが自分なのである。この企画は一昨年前の新年会の集まりの際に誰かが言い出し、少なからずの賛同があり、その実務作業が自分に回って来たという次第。それから何度も原稿提出の催促をして、2年がかりでようやく発行が可能な分量となり、先月末の最終締め切りを経てこれからその製作作業に取り掛かることになっているのである。

文集を作ることなどさほど難しいことではない。作業は多少面倒くさい嫌いはあるけど、何が難しいといって、原稿を集めることほど難しいことはない。原稿が集まらなければ、発行は不可能なのだ。傘寿という歳回りでは、普段ものを書くということなど殆どないであろうから、使命感は覚えていても、いざとなると苦痛を覚えるほどのものであろう。それを乗り越えて、ようやく十数編が集まった。当初は集まらない原稿に文句や恨みをぶつける心境だったが、2年の間にようやく発行が可能となって来ると、心境が変わり、よくぞ出してくれたと、感謝の気持ちとなるのは不思議だ。

さて、そのようなことでこれから少しばかり発行作業で忙しくなるのだが、実はコロナ禍の下、なかなか原稿が届かないのを待ちわびて退屈なので、ヒマつぶしを兼ねて思いついたことがあり、それが第1号の復刻版を作るということだったのである。というのは、30年前に恩師から送られて来た第1号の卒業記念文集の復刻版は、ガリ版の手書きで用紙もわら半紙だったため、改めて読んでみると紙は劣化し、印刷も所々掠れて判別できない箇所がかなりあったのである。どうせヒマなのだから、第8号を作る前にこの第1号のリライト版を作成して、2冊合わせて皆に送りつけてやろうと考えたのである。

それで、9月に入ってその作業に取り掛かり、10日ほどで完成させた。この間、第1号を改めて精読することになり、ほぼ全員の作文が載っているそれを読みながら、格別な楽しい思いを味わったのだった。80歳の老人が62年前のあの頃を思い出して、にやにや笑っている姿は、少し不気味なのかもしれない。とにかく10日程の間は、書斎に籠って二ヤケ顔を続けていたのだから、知らない人が見れば、頭がおかしくなったのではと見るに違いない。

それまでは、62年前の若者たちが何を考えて卒業を迎えようとしていたのかなど考えても見なかった。卒業時のその頃も、殆ど皆の作文など本気で読んではいなかったと思う。それがはっきり自覚できるほど新鮮な感じで皆の作文を読んだのだった。現在どうなっているかを知っているメンバーも多いので、それを思うと、これはもう二ヤケ顔となるのは当然なのである。いやぁ、楽しかった。62年生きて来ていて良かったなとしみじみ思ったのだった。

出来上がったリライト版は、第8号の完成を待って机の脇に積まれている。これと2冊を送りつけたら、(送るのではなく、送りつけるというお仕着せがましい心がある)皆はさぞかし驚くのではないか。改めて62年前に思いを寄せ、現在との落差に何かしらの感興を覚えるのではないか。そう思うと、発行作業の面倒くささなど吹き飛んでしまう。独り占めの味わいだった。とにかく今月中には、第8号を作り上げ、皆に送り届けようと考えている現在である。コロナの感染もようやく下火になりだす兆候が見えて来たようだ。来年は新年会が可能だろうか?今は、それを心待ちしている。

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