山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

思考停止からの脱出

2010-08-26 05:02:47 | 宵宵妄話

旅から戻って、日中灼熱地獄の環境とある種の倦怠感に押しつぶされて、3日ほど思考が停止した感がします。いや、3日といわずもうしばらくはこの状態が続くのかも知れません。しかし何時までもこのような状態でいるわけにも行かず、何とか現状を打破しなければと考えています。

その糸口は、やはり歩きにあるのだと思い、昨日は帰宅後初めていつものコースの一つを早朝5時から2時間ほど歩きに出かけました。守谷市は、大雑把に言えば3つの川(利根川、鬼怒川、小貝川)に囲まれていますが、私の住いからは利根川は少し遠くて(約7km)自転車で回ることが多く、鬼怒川と小貝川が歩きのコースに入っています。昨日は、旅に出発した日と同じ小貝川のコースを歩きました。

早朝5時といえば、北海道では夜が明けてからかなり時間が経っている感じがしますが、関東のこの辺では明るくなり出すのは4時半過ぎてからのようなので、夜明け間もないといった状況です。北海道では、どの地にいても3時半頃になると小鳥たちが目覚めて一しきり鳴き声が姦しいのですが、関東の場合は1時間くらい遅くなっているようです。同じ日本に住んでいるのに、これだけの時間差は生き方に知らず大きな影響を及ぼしているように思いました。

いつものように関東鉄道の踏切を渡って、小さな森の脇を通り、TXの車両基地の脇の道を歩いてゆくのですが、この30分くらいの間にもう顔から汗が滴り落ちてき始めました。家を出るときにはかなり涼しくなってきたなと感じましたが、それはじっとしている時の所感で、人間動き出すと自らの消費するエネルギーの熱が夏の暑さを引っ張り出すようで、たちまち涼しさなどと言う感想は吹き飛んでしまうようです。

TXの車両基地を通過すると間もなく小貝川の堤防に出ます。ここから2kmほど堤防を歩くのですが、この距離と時間がこのコースの歩きの中では最高に好きなのです。緩やかに流れる小貝川は暑さが続く割には水量が多くて、雨は降るところには降っているのだということを示してくれているようです。激流や濁流は心にいい知れぬ不安を覚えさせますが、豊かに水を湛えた、ゆったりとした川の流れは、人の心を同じ様な気分にさせてくれます。川のあるコースが好きなのは、そのようなことによるのでしょうか。

もう一つ小貝川のコースが好きなのは、川の両側に田んぼが広がっているからです。谷和原田んぼと勝手に呼ばせてもらっていますが、今はつくばみらい市となった旧谷和原村は、田んぼと野菜類などの畑が広がる関東平野の代表的な村だったと思います。東京に比較的近い場所なのに村という規模だったのは、開発に浸蝕されない農地が豊かに広がっていたからでした。北海道の美瑛町の丘の風景が絵になるように、谷和原の田んぼも関東平野の一つの田園風景として絵になるような気がするのです。

その谷和原田んぼは、1ヵ月半前の濃緑の輝きは褪せていて、少し黄色くなり始めていました。近くで見るともうしっかりと実が入りだしているようで、頭を下げた稲穂が間もなくやってくる秋の稔りを保証しているようでした。北海道の田んぼとは随分違うなと思いました。北海道の稲はまだ実が入り始めた頃ではないかと思います。北海道の稲は背丈が低くて、稲穂が出ていないと一見それと気づかぬままに見過ごしてしまうことがあります。背丈が低いため、稲藁は使えないのだと聞きました。人間の改造意欲は、稲と言う植物さえも想像外の姿かたちにしてでも最後の実入りを狙って進展してゆくようです。谷和原田んぼは、9月に入ればもう稲刈り(と言ってもコンバインが走るだけですが)が始まることでしょう。

   

谷和原田んぼの広がり。もうすっかり収穫期を間近にしていることがわかる。1ヵ月半の時間は季節の移ろいを確実に表わしている。

堤防の上から僅かに黄色味を帯びて広がる田んぼを見渡しながら、今年の台風はどうなのかなと思ったりしました。これほどの炎暑が続くと、天の狂気は果てしなく荒れ狂って、とんでもない台風などを投げ放つやも知れず、何となく不気味さを覚えます。この豊かな実りが何の煩いもなく黄金の実りにつながってゆくのを祈らずにはいられない気持ちとなりました。

歩きながら様々なことに思いを巡らしました。歩くことは考えることというのは、今では自分の信念となっていますが、やはり思考停止からの脱出には最高の薬のような気がします。汗を流して歩いていても、もはや暑さなどはどうでもいいことのように思え、それよりも今自分は何をすべきなのか、何をしたら良いのか、そちらの方に少し頭が回転を始めてくれたような気がしました。

2時間ほど歩いて、びっしょりの汗となりましたが、歩きの効用は思考停止の楔を開放してくれたようです。明日からは、順次今回の北海道行の様子を報告することにします。

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