山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

孫、初めて頭を下げる

2015-04-23 04:45:43 | 宵宵妄話

 ハイハイを卒業した孫に次に期待しているのは、ことばの世界にいつ参加してくれるか、ということです。今のところ、毎日やって来ると、大体同じようなパターンで引き戸の開閉や、引き出しを開けての丼お椀(壊される心配があるので扱うのはプラスチック製に限定)を取り出すなど、遊びの研究に余念がないのですが、この頃はそれに加えて、玄関に向かって歩き、自分の靴を掴んだりしています。これは外へ出たいという合図なのか、それとも自分の靴に何らかの愛着を覚え出したのか、なかなか判断の難しいところです。

 で、ことばの方ですが、時々「ナイ、ナイ。ナイ、ナイ」などと言いながら歩き回っているのですが、ネガティブに「無い、無い」と言っているわけでもなさそうですので、まだ考えを伝えることばにはなっていないようです。最初に覚えることばといえば、「ママ」というのが世界共通のようですが、さて、我が孫君は世界標準から始めるのでしょうか、それとも「ジジ」からか?これ又楽しみの一つです。

 ところで、一昨日倅に抱かれて2階から降りて来た孫が、倅の「こんばんは」という誘いのことばにつられて、ヒョコンと頭を下げたのにはびっくりしました。先日嫁御が、「おはようございます」の挨拶(動作)ができるんだよね、などと言っていたので、へえ、とは思っていたのですが、それを見たことは無く、やって来た時はいつもニコリかニヤリかの挨拶しかせず、あとは調査・探究に専念しているだけですので、頭を下げるというこの反応には驚きました。

 母親から毎々「おはようございます」や「こんばんは」の挨拶の言葉を教わっている内に、ことばよりも先に頭を下げるという動作、しぐさを覚えたのでしょう。その姿を見たのは、一瞬のことで、一度きりだったので、まだまだしっかり身にはついていないのでしょうが、言葉より先にしぐさを覚えるというのは、やはり、なるほどなあと思ったのでした。ことばがなくてもコミュニケーションはできるというのを示してくれたのでした。

 若い頃に、いっとき脳の発達について興味を持ったことがあり、いろいろ調べたり考えたりしたことがありました。孫を見ていると、今、そのおさらいをさせられている感じがします。生まれたばかりの動物たちの脳は、本能と言われるものの働きで無意識的に生きてゆく力を持っているわけですが、人間は更に高度に発達する脳を持っており、本能に加えてたくさんのイメージを取り込み、やがてことばを獲得し、それを活用して論理的にものを考える力を備えてゆくようになるわけです。

 我が孫は、只今イメージの取り込みに大忙しといったところなのでしょう。ここでイメージというのは、一般的に使われている映像や想像とかいう様なものではなく、人が五感を通して脳に刻み込む、その置かれた環境における全てのもの(=情報)を指しています。引き戸を開閉する動作の中には、彼の眼に映る全ての世界、聞えてくる音、手に触る感触、部屋の臭い、見守っている母親やジジババの視線や姿など、それらの全てがイメージであり、これを脳に刻み込んでいるのだと思います。同じようなことを何度も繰り返すのは、そのイメージが納得行くまでは何度でもチャレンジするという衝動のもたらすものではないかと思うのです。

 ところで、「こんばんは」の投げことばに対してヒョコンと頭を下げる「しぐさ」が何を意味するかといえば、それは「ことば」よりも先に、「しぐさ」の方を身につけたという証になるわけです。これは、ことばを獲得するためのかなり高度な学習をしたことになるのだと思います。つまり、このようなしぐさができるようになると、ことばの獲得開始も間近になるのだと思うのです。

 理屈っぽいジサマは、このようなややこしいことを考えながら孫の一挙手一投足を見守っているのですが、ふと思ったのは、我が孫君は、この先の人生で、いったいどれほど頭を下げることになるのだろうか、ということでした。挨拶はともかくとして、頭を下げるという動作は、「ゴメンナサイ」にもつながるものであり、己の誤りを素直に認めるためには、それは必要不可欠の動作ではありますが、社会人となってから先は、TVなどで良く見かける頭を下げる人たちの仲間には入って欲しくないなと思いました。

身を立てるという意味では大いに偉くなって欲しいと思いますが、ゴメンナサイを内包するような仕事は、できる限りして欲しくないと思うわけです。しかし、世の中はきれいごとばかりで成り立っているわけでもなく、時には潔くゴメンナサイをする必要もあると思いますが、ゴメンナサイに慣れてしまう様な人間には断じてなっては欲しくない、などと思ったりしたのでした。 ジジバカの話でした。

コメント
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