山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

「我が意を得たり」の話

2014-02-04 00:38:53 | 宵宵妄話

 昨日(2/2)見るともなくTVを見ていたら、どこの局なのか気にもしなかったけど、アルツハイマー病について放映していた。例のごとく、芸人やタレントの連中が出ていて、オチャラカなのか真面目なのか判らない内容の進行ぶりだった。お笑い芸人などをメンバーに構成されるこの手の番組には、時代遅れのカタブツ老人には、どうも感心できない気持ちを拭い得ない。アルツハイマー病などのテーマは、つまらぬお笑い付きで見たり考えたりすることではなかろうと思うからである。

しかし、妙に暗く深刻な顔だけで見るのでは、息が詰まってしまい、考えたいことも考えられないだろうという、TV局側の思いやりで、こうなっているのかもしれない。だとすると、今ごろのTV局番組制作者は、あまりにも思いやりが多過ぎる様な気もする。この世がお笑い芸人ばかりで演出されるようになってしまったら、人が生きるために最も大切な、「悲しみを解る心」が置き去りにされてしまうような気がして、心配なのである。

お笑い芸人の個々人の、他者を笑わそうとする努力の凄まじさは、70年以上も人間をやっていれば、よくよく理解できるのだけど、姑息な笑いづくりはほどほどにして、思い出してもほのぼのと笑みが浮かんでくるような質の高い笑いをもっともっと創出し、提供して欲しいと思っている。当世のお笑い芸人の中に、そのような本物の笑いの芸の披歴をあまり見たことがない。(これはお門違いの愚痴になってしまった)

というわけで、いつものように本題から脱線してしまったけど、そのアルツハイマー病については、番組の中ではタレント・芸人さん達も笑わそうという意識の裏で、ちょっぴり不安を抱えたようなムードが流れているのが感じとられた。それはそうだろう、この世で最も恐ろしい病といえば、それはアルツハイマー病に決まっているからである。自分はそう思っている。認知症とも言われるこの病は、生きながらにして人間を人間の世界から離別させ、個人としても、社会の中でも、自力では生きられない一介の動物にしてしまうのである。癌や心臓疾患など死亡率の高い病も幾つかあって恐れられているけど、アルツハイマー病の怖さは、死への恐怖ではなく、人間として生きられなくなる恐怖であることが決定的な違いなのだ。これは、ある意味では死以上に辛く、厳しく、悲しいことではないか。自分はそう思っている。

アルツハイマー病の原因は、脳の萎縮によるという説明があるけど、ではなぜ脳は萎縮するのかという説明は曖昧だ。脳科学者などという方がいて、あれこれと語っているけど、科学の世界では、現象の追求が殆どで、脳が生み出している心の働きの世界の本質に触れる説明はあまり聞いたことがない。脳の部位の役割が何かは理解できても、それらの個々の働きを総合した「心の働き」については、依然謎に包まれており、恐らくこれは永遠に謎なのではないかと思う。

しかし、自分のような世代になると、この恐ろしい病に対して何の備えもしないというわけにはゆかない。それで、自分なりに認知症対策といったものを心掛けている。というと、大げさになるけど、自分的には実はそれは老計と死計の実践ということになるのである。「死計は老計の中にあり」であり、「老計=死計」というのが自分の信念となっている。そして、今はその目的を「PPK=ピン・ピン・コロリ」とし、老計の実践に取り組んでいる。

その実践の主柱は「活き活きと生きる」ということにある。そのための最重要手段が「くるま旅くらし」であり、そこで拾った出会いの宝物をエッセーにして残すというのが、我が老計の基本構造なのだ。さて、ここまでは理屈めいていて、そんなことはお前さんの勝手ごとじゃないの、ということになると思う。だから、あまり参考にはならないと思う。問題は、毎日何をどうやっているのかということであろう。それが、これから少し自慢げに紹介したい内容なのだ。

そのTV番組の中で、アルツハイマー病の予防に触れた一幕があった。それが、我が意を得たり!というものだった。勿論、そこで紹介された予防法を実践していれば、決して病に取り付かれることは無いという保証など何もないわけで、ま、厳しく言えば気休めということになると思う。しかし、そもそも健康法などというものの類は、知識だけでは何の役にも立たず、実践あって初めて成果につながるのである。「医者の不養生」とか、「紺屋(こうや)の白袴」では、己自身の健康は確保できないのだ。自ら実践しなければダメなのである。実践とは継続であり、行い続けるということも大事なことなのだ。自分はそう思っている。

さて、そこで紹介された内容なのだが、アルツハイマー(≒認知症)予防の有効項目として掲げられたのは、次の4項目だった。

①運動習慣

②知的活動

③昼寝

④飲酒

全部、今自分が心して実践していることばかりである。まさに、我が意を得たり!だった。少し自慢げに説明してみたい。

この4項目は、本当に只今実践中なのである。先ず①だけど、これは糖尿病君のおかげで、もう20年以上に渡って毎年間500万歩程度の歩きを実践している。特に昨年からは三浦雄一郎氏のエベレスト登頂の刺激を受けて、歩行鍛錬の他に筑波山登山も開始しており、TV番組の中で話された事例の運動量などは、自分的にはチャンチャラ可笑しいほどなのだ。それくらい運動習慣は身についている。

②は何といってもこのブログの存在とそれから旅のエッセーやその他のもの書き仕事への取り組みである。ものを書くには、調べるという作業が不可欠で、併せて考えるという仕事もおろそかにはできない。従って、頭を使いっ放しの時間が結構多いのである。数理的な思考の時間は皆無に等しいけど、それ以外の分野では、頭を使っている方ではないかと自分では思っている。

③の昼寝だが、よくぞまあこれを4項目に入れて下さったと、感動するくらいのものだ。というのも、本格的に意識して昼寝を始めたのは、古希を過ぎてからなのだ。還暦少し前の現役の終わりが近づく少し前あたりから、仕事のメインの時間を昼夜逆転させて、朝の2時頃(=実際は深夜)にすることにし、夕刻18時頃からの早寝を実践するように生活習慣を変えて来たのだが、引退後は日中の仕事が自在にできるようになったので、昼寝をすることが幾らでもできるようになった。それでも古希頃までは、昼寝をすることに多少の罪悪感のようなものがあって、よほど疲れた時以外は寝床にもぐるようなことはしなかった。しかし、古希を過ぎてからは、身体の方が午睡を求めている様な気がして、いつの間にかそれに素直に従ってしまい、現在では日に2~3時間の午睡は当然の日課となっている。まさかこんなことが認知症の予防に役立つなどとは思わなかった。しかし、考えてみれば、身体を休めると一緒に頭を休めるというのは、理に叶っているように思う。本当は、生命体としては、現役の時でもそうすべきなのかもしれない。けれども、社会慣習がそれを許さないようになっており、引退してようやくそのしがらみから解放されたということなのかもしれない。昼寝をすると活力が増すのは厳然たる事実である。

④の飲酒は、常に過飲に問題を抱えていた。つまり、飲めばいいなどというレベルではなく、飲み過ぎということなのだ。糖尿病君に取り付かれて彼と仲良くなったのも、その要因は過飲と過食にある。それにも拘らず飲む方は糖尿君がどんなに諫めても、抜本的に断つということを考えたことは無い。それは自分の一つの信念であり、酒のない人生などこの世にあってはならないと思いこんでいるからなのだ。しかし、古希を過ぎてからは、もはや「過」というレベルには至らなくなってきている。TV番組の中では、医師の方がその量をワインなら3杯といっておられたけど、それに比べれば今でも少し多いのかもしれない。だけど、アルコールの純粋量からすれば、ワイン3杯に比べてそれほど違わないレベルの飲量になって来ていると思う。「酒は百薬の長」というのは、いたずらに長生きするためのものではなく、活き活きとした人生を全うするために酒が良薬の最上位なのだという意味なのであり、酒も飲まずに暗い萎びた毎日を送るなんて、自分的にはお気の毒の極みのようにしか思えない。これからも酒は我が終生の友である。

ということで、偶々放映の内容が己の現在の暮らし様と一致しただけのことなのだが、これが恐ろしい認知症を防ぐに役立っているという医師の方々の説明には、つい嬉しくなってしまって、思い上がりの記事となった次第である。

老後(※このことばは嫌いなので使いたくないのだが、意外と多く使われているので、ここでは使うことにした)をどう生きるかというテーマは、同世代の人たちにとって最大の関心事ではないかと思う。古希を過ぎれば、どんなに元気な人でも己の老いというものを実感し、今現在の生き方に不安を抱くのではないか。お釈迦様のおっしゃる人生不可避の出来事は「生・病・老・死」だけど、その不安の最大のものが、認知症ではないかと自分は思っている。なぜならば、認知症は、生きながらにしてその人から「生」を奪い、同時に一気に「老・死」を与える恐るべき病だからである。今回は妙な自慢話のようなことになってしまったけど、同世代諸氏には、知識としての認知症の怖さを自覚するだけではなく、それを防ぐための何らかの実践行為の継続をアピールしたい。高齢者が活き活きと生きられる社会は、一人ひとりの高齢者の行動(=生き方)が作り出すものであり、それは現実には、自分自身が作り出さなければ生まれないものなのだ。

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