ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

幼く美しい怪物と、闇の処刑人

2013年12月12日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 今宵、ウィスキーのロックをやりながら、DVDを鑑賞しました。
 近来稀に見る掘り出し物です。

 かつてこれほど美しい殺人鬼同士の争いを描いた映画があったでしょうか?

 「1800cc」です。



 1800ccとは、人が失血死する血液の量を示しています。

 小さな町で弁護士を営むスミス。

 数年前、妻が不倫の末、別れ話のもつれから不倫相手の家に放火し、相手の家族全員を死なせてしまったことから、スミス家は村八分状態に陥っています。
 有能な夫の弁護のおかげで妻は不起訴となりますが、町の人々はスミス家を呪われた家族として、夫への弁護の依頼も途絶えてしまったのです。

 ある晩、車が故障し、修理を依頼したが、明日の朝にならないと修理が来ないとのことで、痩せた男がスミス家に一夜泊めてほしいと言ってきます。
 一見して上品ななりをした、常識的な男に見えたため、スミス家は男を泊めることに。

 しかし男は、狂信的なキリスト教徒であり、現代米国の司法が裁けない罪人を殺害してまわる、闇の処刑人だったのです。

 外科医でもある男が編み出した完璧な殺害方法は、動脈から血液を抜き、失血死させること。
 この方法は最も苦痛が少なく、単なる快楽殺人鬼ではなく、正義を実行する者として編み出した最良の方法です。

 しかし、スミス家の問題は、不倫を楽しんだ妻にあるのではなく、小動物や小鳥を殺害することを好む娘にあったのです。

 男は一目で少女の昏い目に、殺人への欲求を読み取ります。
 そしてスミス夫妻と少女の兄を殺害した後、少女を自分の後継者に仕立て上げようと試みます。

 じつは母親が放火したのは、娘が不倫相手の家族をめった刺しにして殺害したことを糊塗するため。

 すべての問題は、少女にあったわけです。

 スミスはスタイリッシュな衣装を身にまとい、冷静に、自らが信じる使命=罪人の処刑にいそしみます。
 彼は自分こそが腐った米国社会の唯一の光だと信じています。

 少女はこの狂信的な殺人鬼と対決することになります。

 そして、男が繰り返し少女と自分は同じ目をしており、一緒に使命を全うできると説得するのに対し、たった一言、「わたしは殺すのが好きなだけよ」と言い放ちます。

 幼く美しい怪物である少女と、神の裁きの代理人を自認する闇の処刑人。

 二人はよく似ているようでいて、根本的に異なっていることが判明します。

 少女の手にかかり、まさに殺されようという瞬間にも、男は、少女に対し、「一生涯、私の姿を背負うだろう」と、不気味な予言を残し、死に至ります。

 少女はそれを見届けて、昏い目を隠そうともせず、いずこへともなく消え去るのです。

 美的でスタイリッシュな少女と大人の男の殺人劇という意味では、「イノセント・ガーデン」を彷彿とさせます。



 しかし「イノセント・ガーデン」がいかにも派手な作りなのに対し、「1800cc」は実録的というか、嘘くささが感じられません。

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 この手の映画では嘘くささも魅力の1つですが、嘘くささに頼った作品が多い中「1800cc」の地味な作り込みは、好感が持てます。

 快楽殺人を描いたサイコ野郎の映画は数知れず。

 しかし、幼いモンスターと、立派な中年である闇の処刑人との対決を描いた作品を、他に知りません。

 どこか意味深長な、哲学的香りさえ漂う佳品です。

 是非ご覧ください。



1800cc [DVD]
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今さらながら

2013年12月12日 | 社会・政治

 近頃韓国が、TPP交渉に参加したいとの意思を表明しましたね。

 2国間FTAを重視し、TPPへの参加には消極的でしたが。

 それなのに、何を今さらと思います。

 わが国への対抗意識をむき出しにし、それによって世論の支持を得ている朴大統領らしいと言えば言えるかもしれません。

 それと言うのも、7月にわが国がTPP交渉に参加することになったことが、今回の韓国の決定に大きく関連しているものと思われるからです。

 しかし、米国の90日ルールなどを考えると、実際に交渉のテーブルに着けるのは来春になろうかと思われます。
 その時点ではほとんど交渉は終わっており、後から入った韓国は定められたルールを丸飲みしなければなりません。

 それでは韓国の国益を損なう怖れがあり、結局参加を止める、という漫画みたいなことになりかねません。

 中国にすり寄って小中華として生きていくのかと思っていましたが、考えてみれば、韓国はまがりなりにも米国と軍事同盟を結ぶ自由主義国。
 共産主義の中国と手を組もうというのはそもそも無理があります。

 それが証拠に、中国が突如定めた防空識別圏、韓国のそれと一部重なっており、問題となっています。

 現在の国際状況に鑑みれば、中国ではなく、日米と手を組むしか韓国が繁栄を謳歌する道は無いはずです。

 過去の歴史を振りかざし、わが国を責めて溜飲を下げるのも結構ですが、そんな感情的なやり方で、彼我の力関係を引き比べ、冷徹なパワー・ゲームを繰り広げる国際社会をうまく渡っていくことができるのか、他国ながら心配です。

 過去の経緯はあるにせよ、朝鮮半島はわが国にとって永遠の隣国であり、うまくやっていかなければ、北東アジア情勢は安定し得ないでしょう。

 今さらながらではありますが、わが国は韓国のTPP交渉入りを歓迎しつつ、韓国に有利に、わが国に不利になるような条件はことごとく拒否しなければなりませんね。

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2013年12月12日 | その他

 東国原議員が辞職を表明しました。

 維新の会に石原慎太郎氏を始めとする太陽の党を飲みこんでから、維新の会は変ってしまった、ついては維新の会を辞め、国会議員も辞める、という理屈のようです。

 今後についてはまだ何も語りませんが、報道では、ボコボコ状態の猪瀬都知事が早晩辞職に追い込まれるだろうから、東京都知事選挙に立候補するか、あるいは再び宮崎県知事を目指すのではないか、という憶測が流れています。

 宮崎県知事の時は、県のトップなので、自分の意思が最重要となり、多くの部下を使ってやりたい放題やれたのが、国会議員では単なる一年生議員。

 しかも野党。

 あまりの権力の無さに嫌気がさしたものと思われます。

 お笑い芸人の時も、宮崎県知事の時も、陽のあたる道を歩んできただけに、野党の一年生議員という立場が物足りなかったのかなと思います。

 権力欲というもの、私にはよく分かりません。

 食欲・性欲・睡眠欲は誰もが持つ欲望で、それだけに非常に強いものです。
 3大欲などと言われますね。

 その他に、名誉欲、出世欲、権力欲、金銭欲、自己顕示欲などがあり、さらには創作意欲、研究意欲、社会や他人の役に立ちたいなどの自己実現欲求があろうかと思います。

 これら欲望の全てから解放されれば、人は真実の幸福の中で生きることができるでしょう。
 
 しかしながら、人は強欲なもの。

 3大欲から逃れらる人はまずいませんし、それがなければ命をつなぐことが困難になります。

 せめては3大欲以外の欲望を、無くすことは出来ないにせよ、小さくしたいものです。

 人間、年を取れば諦めることを覚え、大それた欲は持たなくなるものだと思います。

 夢を諦めないで、みたいな浅はかな歌が流行ったりしますが、それを聞くと中高年は非常に白けます。
 色々なことを諦め続けるのが凡人の人生の本質だと思うからです。

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