ブロードウェイで、ベルサイユ宮殿オペラハウスで、大英博物館で、と国内外で大活躍の宮本亜門さんの講演会に行ってきました。舞台に登場されるや否や、観客にも幾つか問いかける視聴者参加型で先ず亜門氏と一体化。
話はとにかくテンポが速い、聞く人を飽きさせない勘とコツで、完全に亜門ワールドに引き込まれてしまいました。
宮本家のルーツ、両親の特異な出会い、不登校時代、演劇人の時代、演出家への目覚め、世界での活躍など、聴衆の息遣いさえ聞こえない程に宮本さんの世界に入っていました。
サスペンス風な表現には息を飲み、お笑い風にリラックスさせては大爆笑、そして静かに感銘し・・・ととても濃密な1時間30分でした。
ご自分の高校生時代の不登校と引きこもり状態を演出家らしく、劇的に、体を使って、声色を使っての話だから、狭い演台でなく広い舞台を行き来してのトークです。並々ならぬ才能が伺えました。
親や世間のいう『普通』が感受性の強い宮本氏には理解できなくて自分を世間とシャットアウト、部屋に鍵をかけてしまいました。親が言うのはいつも将来のこと、先のことばかりで現在の自分を見てくれません。部屋にあった本、10数枚のレコードを毎日毎日繰り返して聴いていくうちに次第にイマジネーションが広がっていく体験をされたそうです。
ある日の両親のすざましいバトルを見た後で、やっと慶応病院の精神科で治療というよりは話に行くという感じが続いて、ある時気がついたら学校に行っていた・・・、という舞台演劇みたいな内容でした。その閉じこもりがなかったら今の自分はなかったかもしれないという言葉には深い思いがあふれています。
60歳とは思えない身体と頭脳、今を見る眼の若さに元気づけられました。
私も、世間の『普通』に居心地の良さと安心感、安定感を求めていた自分を重ねて、子供たちに辛い思いをさせたことに申し訳なさを痛感しました。今頃わかっても遅いか・・・。
海外で大成功だった作品の凱旋公演『画狂人 北斎』が2019年1月に、オペラ『金閣寺』が2019年2月に予定されているそうです。その一部が映像で流れて観たいと思いましたが、地方までは来ないだろうな・・・。
この日の昼食は、妹と一緒だったので例によってデパ地下の和食レストランで。