新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

大北斎展

2011年04月20日 | 美術館&博物館

Img_3339_2 福岡市博物館のエントランスホールに入ると、あっと意表を突く18m×10.8mの巨大「達磨図」が天井からつりさげて展示されています。

これは拡大したものでなく、北斎が名古屋で120畳大の紙に半日で書き上げたものを実物大復元したもので、名古屋博物館所蔵のものです。

何でも「北斎漫画」のキャンペーンを兼ねたパフォーマンスということでまさに現代に通じる感覚です。

このパフォーマンスを事細かに書いた猿猴庵の「北斎大画即書細図」が展示されており、当日の見物客のにぎわいの様子、藁を束ねた筆を抱え持つ様子、絵のどの部分を書いているのかなど詳細に書かれてとても面白いものでした。この記録を書いた著者のユーモアとセンスがしのばれます。江戸時代の町人は自由闊達だったのですね。

印象に残った展示のエピソードの中から。北斎は名前を初期の「春朗」から晩年の「画狂老人卍」まで30回も変え、90回も引っ越しをし、その弟子も巻物に書かれているほどの200名。

1999年に米国の「ライフ誌」が行った「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人で唯一選ばれたのが北斎で86位。ちなみに1位はエジソン、2位はコロンブス、ダ・ヴィンチ5位、85位ヘレン・ケラー、エリザベス1世88位・・・。印象派への影響、世界中で発行されている北斎の切手、はては小惑星「HOKUSAI」の名前まで、やはり北斎は有名人です。

「大北斎展」にふさわしく、今回の展覧会は初公開、新発見を含む300点が、「版画」「版本」「肉筆」に分類され、さらにその中に北斎の画風ごとに分けられて、言わずもがなのまさに大展覧会です。5月22日(日)までです。

いつものことながら、ふもとに稲妻が光る冨嶽三十六景「 山下白雨」と「北斎漫画」を見るとホッとします。

コメント (12)