『ピケティ以後』より どこにでもあり、どこにもない 『21世紀の資本』における政治
政治、および政治制度は経済格差を作り出し、育て、維持するにあたり大きく影響する。政治は市場を作り出す。経済格差は民主主義に対し、ピケティが著書で明らかにするよりいささか具体的な多くの理由により脅威を与える。研究によれば、民主主義の約束を実現するには、実は極端な経済格差を減らすための行動が必要らしい。民主主義のために成功する介入を行うためには、経済政策の処方簑だけでなく政治改革についての真剣な考察を必要とする。要するに、経済格差と政治格差はフィードバックループに捕らわれている。この周期を破るには、賢い経済政策思考に加え、政治プロセスヘの賢い改革が必要だ。
政治改革における最も有望なアイデアは、トップの発言を制限するのではなく、トップ以下の発言を増幅することに専念する。伝統的な政治改革活動は、「政治から巨額のお金を放り出す」ことに専念してきた。巨額のお金は他のみんなをかき消してしまうからだ。むしろ改革努力は「政治機会」拡大のコンセプトに専念すべきだ。政治機会は人々やアイデアを上昇させ、各種雑音の中からそれが聞こえるようにしようとする。その闇値が実現して少し上にくると、追加の支出については収穫逓減が起こる。民主主義学者マーク・シュミットがまとめるように「トップでの支出を制限しようとする活動は、他の人々の声が聞かれるようにする改革より、機会に与える影響がおそらくは小さい」。
シュミットが特徴づけたような政治機会は、四つの主要な側面により特徴づけられる。まず、広い支持基盤を持つ候補者や、他に代表されない視点を代表する候補者は、大口献金者の資金がなくても選挙や他の文脈で聞かれる機会を与えられるべきだ。第二に、あらゆる市民には有権者としてだけでなく、献金者、ボランティア、およびオーガナイザーとして、あるいは自分白身の見方を表明することで意味ある参加をする機会を持たせるべきだ。第三に、個人は自分の政治的見解を自由に述べ、雇い主や他の制度機関からの惘喝から保護されるべきだ。最後にシステムは、特に中低所得有権者に影響する問題についてお金だけでなく人々の組織を奨励するように構成されるべきだ。
政治的機会の枠組みの鍵となるのは、それが政治格差の有害な影響を解体するために二つの重要な機能を果たすということだ。まず、それはシステムをもっと公平にする--現在発言できずにいる者たちに発言を与え、富の政治的影響を相殺させるのを助けるのだ。第二に、それは政治プロセスに流動性と創造性を回復させる見通しを与える。候補者たちが新しい紛争の軸で競争せざるを得なくなり、新しい妥協が生じるからだ。
かつての選挙資金の世代は「政治からお金を追い出せ」と述べたが、これとはちがい、政治機会の活動は何をしようとお金は政治に入り込んでくることを認識する。鍵は機会を拡大することで、リソースを持だない者たちに対抗力構築の機会を与えることだ。だから投票権を保護する憲法改正(実はこれは一般的に思われているのとは裏腹に、憲法に書かれていない)は、市民連合判決(これは大企業が選挙に無限の支出をできるようにした)を覆す憲法改正よりもはるかに大きなカを持つ。なぜか? 投票権は積極的な権利だからだ--選挙支出を制限するといった、禁止的で制約的なものではない。だからそれは、政治参加を核とした運動構築の焦点を作り出す。失敗した男女平等憲法修正条項運助のように、投票権修正運動は、今日のきわめて多くのアメリカ人が阻害されている各種の理由に注力することで次第に力を増し、それに伴い投票日同日有権者登録を可能にする政策努力に力を与えて、制限の多い有権者身分証明法を廃止に追いやれるかもしれない。
確かに、選挙改革に注目する努力は、政治格差と経済格差のフィードバックループの逆転を狙う政治改革努力の中で氷山の一角に過ぎない。狙いは政治平等が、ピケティ『21世紀の資本』で描かれた有害な経済格差を解体できるようにするため、対抗政治力を構築することだ。こうした解決策に注力しない限り、ピケティのグローバル資本課税といった有望なュートピア的アイデアは、妄想に留まる可能性が高い。
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