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世界史の見方「わかりやすい」って何でしょう?

確かに世界史、つまり人類の歩みは単純なものではありません。まさに万華鏡のような複雑怪奇な世界です。諸地域にまたがって、政治・経済・教育・社会・文化・芸術・思想・倫理・宗教が入り乱れるのが世界史です。とはいえ、世界史の見方にはいくつかのある定まった切り口があるというのも事実です。

5つの切り口の事例を少しだけあげてみましょう。

①国は共通の敵があってまとまる

 ・16国に分裂していた紀元前4世紀のインドは、ギリシア人の侵入という共通の敵を前にして、マウリヤ朝のときのマガダ国で初めて統一しました。

 ・829年にイングランドがエグバート王のもとに統一し、ロンドンが首都となったのは、デーン人という共通の敵の侵入を受けたからです。

 ・20世紀の外交革命といわれる、1907年の英露協商は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世という共通の敵から、イランでの商売の利益を守るためでした。

②地中からの液体をめぐって争う

 ・第一次英仏百年戦争は、ボルドーを中心とする南西フランスのギュイエンヌ地方のブドウ畑のとりあいが重要な争点でした。

 ・第二次世界大戦の激戦、スターリングラードの戦いはバター油田をめぐるヒトラーとスターリンの戦いでした。

 ・第三次中東戦争でイスラエルがシリアから占領したゴラン高原を返還できない真の理由は、ヘルモン山からくだる露の集まるヨルダン川の水資源を確保するためです。

③ピュシス(自然)とノモス(設計)の二分法で思考する

 ・18世紀のフランスに登場した重農主義は自由放任(ピュシス)主義。これは重商主義統制経済一ノモス)を批判する中から出てきたものです。

 ・アメリカ合衆国の共和党は、自由競争(ピュシス)というアメリカの保守的な価値観を守りたい政党。対して民主党は、リベラルな平等社会を計画的に設計したい(ノモス)政党です。

 ・諸子百家の道家の老子と荘子の思想は無為自然(ピュシス)。中国を初めて統一した秦がとりいれた法家の韓非子は法治主義(ノモス)でした。

④ユダヤ人への対応で国際情勢は決まる

 ・アメリカ合衆国のトルーマン大統領は、選挙に勝利し再選されるために、国際連合に働きかけ、イスラエル共和国の建国に尽力しユダヤ人票をかためて当選しました。

 ・日露戦争に日本が勝利できたのは、ロシアのユダヤ人虐殺(ポグロム)を逃れて移住したアメリカ在住のユダヤ・マネー(財力)が日本の国債を買い、資金援助をしたからです。

 ・17世紀にオランダが世界の覇権を握り、アムステルダムがヨーロッパの金融の中心になったのは、レコンキスタ(国土回復)運動の完成によりスペインを追われたユダヤ人のマネーのおかげでした。

⑤変わらぬ争点はこれだ

 ・3000年前にガザ地区のフィリスティア人の巨人ゴリアテと戦ったダビデと、現在ガザ地区の扱いに苦慮するイスラエル政府に共通する最大の関心事はユダヤ人の人口比率の問題です。

 ・18世紀の清の乾隆帝は、西域(タリム盆地)を征服し、新彊 (新しい領土)と呼んで北京から役人を派遣しました(改土帰流)。現在、中国政府は漢民族を新彊ウイグル自治区に入植させていますが、漢民族とウイグル族の摩擦は日に日に深刻化しています。
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コメント
 
 
 
Unknown (μ)
2011-04-18 20:53:09
この説では、日本の歴史の説明ができない。トポロジーの関係から、グローバルとローカルの動きから、もっと簡単な説を作ってください。あなたなら、できるハズです。そのために、地球のこの時代に来たのでしょう。
 
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