『シンギュラリティの科学と哲学』より 衝撃の未来
学習 学習形態の変化
シンギュラリティによって、「学校」というこれまでの教育機関の枠組みは再構築されます。
幼児教育から初等教育程度の生きるために必要な基本的な知識は、これまでと同じように人間が教える方式が有益であると思われますが、それ以上のある年齢から教えられてきた多<の知識や技能に関する記憶は、脳に直接ダウンロードされるようになるでしょう。
人間は、これまでのように長い教育期間や膨大な学習量から解放されることになります。
●学校教育の中での学習
現在、学校で行われている教育システムの多くは、同年齢で同地域出身(同じ言語を理解する)の未成年者を1つの教室に集め、1人ないしは2、3人程度の教師が授業を行うという一斉授業の形式をとっています。
一斉授業とは、テキストに載っている事柄を原則一人の教師が教える、という形式です。この学習形式が、生徒(学習者)にとって、どの程度効率的に行われているのかを疑問視するのは杞憂です。一斉授業という形式が数世紀以上続いていること。世界中の多<の国や地域の公の学校で採用されていること。さらに、一斉授業形式を経験した人たちが、そのような学習形式が無駄なものだったと強く思わないこと。これらが、その理由です。
しかし、同時に個人的な教師に学習を手助けされた経験があれば、できるだけ少ない人数での一斉授業、ま左は教師1人に生徒1人の対面授業が理想的であると思うのではないでしょうか。
少人数での学習が必要な教科は別として、個人の学習能力を高めるには、教師対生徒は1対1が理想的です。現在、幸いにもコンピューターの指数関数的な進化かハードウェアの価格を安価にし、生徒1人にコンピューター1台が割り当てることは可能になっています。優良なソフトウェアを供給することの問題はありますが、生徒1人が自分の進度に合わせて、自分用の学習スケジュールに沿って学習を進めることは可能なのです。
こうなると、学校の学習に関する役割は、生徒のモチベーションの維持、精神的に安定して学習に集中できる環境、人間の関係を考慮して社会性を育む、学習の定着と応用に向かうようになるでしょう。
●オンライン授業
授業を録画したコンテンツが、動画サイトなどにアップロードされていて、無料で誰でも見られるようになっています。
ハーバード大学、MIT、スタンフォードなどの大学では、誰にでも無料で大学教育を提供する目的で、録画した授業をウェブサイトで配信しています。さらに、視聴するだけではなく、授業に関するテストを受けたり、課題を提出したりできる場合もあります。
ヴァーチャル・リアリティが進めば、世界中から生徒たちがオンラインで仮想教室に集い、授業者から討論形式の授業を受けることが可能になるでしょう。
この仮想教室では、実験・観察や絵画鑑賞などもCGで行うことができます。物理実験では、無重量での物体の運動実験や火山火口での化学実験などもできます。
●脳へのダウンロード
脳とコンピューターが直結されれば、コンピューターから脳への知識データのダウンロードが可能になります。
知識獲得のための学習は、原則不要になるでしょう。知りたいことがあれば、脳からコンピューターにリクエストが送られ、最適化された検索結果がダウンロードされるのですから。
外国語を勉強しなくても、話したいと思うフレーズを頭に思い浮かべるだけで、脳と直結しているコンピューターから翻訳された外国語データがダウンロードされ、中枢神経に渡されます。学習したことがない外国語であっても、ネイティブと変わらず、滑らかに話せるようになるでしょう。
●脳の増幅
遺伝子工学とナノテクノロジーが発展すれば、脳の機能を人工的に増幅することもできます。
フラッシュ暗算や記憶力で常人を超えた結果を出す人がいます。ボードゲームのチャンピオンもそうです。このような人は、トレーニングを積むことで、暗算や記憶、洞察力を鍛えています。
“脳を鍛える”ことの意味が工学的にわかれば、工学的な手法でその能力を引き上げることができます。
特に創造性に関する分野は、AIであっても簡単には獲得できないのではないかと思われています。芸術分野の創造性を発揮する脳の分野を増強することで、これまでにはない芸術を生み出すアーチストが出てくることも考えられます。
戦争 戦闘ロボット
アメリカ統合指令本部のアルファ計画によると、2025年にはロボット化のかなり進んだ戦闘が想定されています。
この戦闘ロボット(TAO)は、AIの頭脳を持ち、任務内容によっては完全に自律した戦闘を行います。
戦闘において知的兵器を使用することは、味方兵士の犠牲を減らすことになります。それは、戦争にかかる予算を減らし、効率よく戦闘を行うのに、ポットなどの機械兵器が有効だ、という考えに基づいています。
●軍事装備
ハウス・アメリカーナと呼ばれ左アメリカの軍事戦略は、リーマンショック以後、効率を重視する方向へ転換を図っています。IOT技術によるインテリジェントな部隊を編成しようとしています。
装備改革として打ち出したフューチャー・コンバット・システム(FCS)は、無人偵察ヘリコプターや無人偵察車両などが収集した敵の情報を兵士のヘルメットのディスプレイに表示します。ところが、開発の遅れから予算削減にさらされ、打右切りが決定しました。代わって、高エネルギー思考兵器の搭載も計画されていた戦闘車両(GCV)の開発に移行しましたが、これも2014年には中止されています。
ボストン・ダイナミクス社が開発した4足歩行ロボットの「BigDod」を改良したラバ型ロボットは、軍の荷物や燃料を運ぶことを想定しています。なお、同社はGoogleに買収された後、ソフトバンクに買収されました。
●無人兵器
各国の軍では人的被害を少なくする研究・開発が活発です。国民である兵士が被害を受けなくなる無人兵器の購入や開発に充てるなら予算は通りやすいと考えられます。
アメリカをはじめ、イギリスやイタリアなどの空軍で使われているプレデターやリーパーは、遠隔操作によって操縦されます。
強固で頑健な装備を持たない簡単な自律型ロボットでも、非常に多くの数が集まり、それらがひとまとまりになって行動することで、大きな攻撃力を発揮するという「群れ」(ボイド)の研究も進んでいます。
クレイグ・レイノルズは、衝突回避、整列、接近の3つのルールだけで群れ行動をすることを見つけました。これを応用したボイド型ロボットは、複雑で高度なAIを必要としません。このため、比較的、安価に製造することができるとされています。
●ナノウェポン
ナノテクノロジーは、兵器にも応用されるでしょう。ナノサイズの自律型ロボットは、見つかりにくいため大量のスパイを送り込むことができます。
ナノウェポンに自己複製力を持たせることができれば、戦闘能力は爆発的に拡大します。ただしこれは諸刃の剣となり、人類存亡の危機を招く恐れもあります。
高度な製能力を持ったナノウェポンを掃討するには、相手もナノウェポンを持たなければならなくなり、そうなれば戦争はこれまでとはまったく異なった次元の戦いに入ることになります。
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