2021年01月17日プレイリスト「牛で棚からひとつかみ」
1. ヘロン / 山下達郎 "コージー" "オーパス" '98
2. THE LONELY BULL / HERB ALPERT & THE TIJUANA BRASS '65
3. MILKCOW BLUES BOOGIE / ELVIS PRESLEY '55
4. 論寒牛男 / 大瀧詠一 "ナイアガラ・ムーン" '75
5. FUNKY BULL PART 1 / DYKE & THE BLAZERS '68
6. CALLING ALL COWS / ELVIN BISHOP "JUKE JOINT JUMP" '75
7. MIDNIGHT COWBOY / JOHN BARRY "OST" '69
8. BEEF / 奥田民生 "29" '95
9. 深南部牛追歌 / 布谷文夫 "悲しき夏バテ" '73
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■内容の一部を抜粋
・近況
2021年になって初めてのスタジオ収録だそうだ。また緊急事態宣言が11都府県に発令されたが、もうテレワークはしないとのこと。テレワークだと朝の6時、7時まで普通にやってるので、なるべくスタジオで最小限の人数で録るとか。スタジオでは人からもらった抗菌のものを加湿器に入れて噴霧しているという。
・牛で棚からひとつかみ
今週は丑年にちなんで「牛で棚からひとつかみ」。牛と一口に言っても英語ではCOW(雌牛、乳牛)、BULL(去勢してない雄牛)、OX(去勢した雄牛)といろいろある。あとはCALF(仔牛)、CATTLE(人間に飼われてる牛の総称)。オールディーズ・ソングの中から牛にちなんだものを聴く。
・ヘロン
こういう時代なので辛気くさい曲は嫌なので一曲目は「ヘロン」と達郎さん。
・THE LONELY BULL
まずは達郎さんの世代ではお馴染みの曲で、ハーブ・アルパートのデビュー・ヒット・シングル「THE LONELY BULL」。邦題は「悲しき闘牛」。ハーブ・アルパートがティファナ・ブラスというユニットを作って放ったヒット曲だが、ドラムを叩いてるのはヴェンチャーズ のメル・テイラー。達郎さんの持ってるシングルはボロボロなので、今日はアルバム・ヴァージョン。
・MILKCOW BLUES BOOGIE
牛の歌といって最初に出るのは1934年のブルース・ナンバー、ココモ・アーノルドが作った「MILKCOW BLUES BOOGIE」。オリジナルは割とのんびりとしたヴァージョンだが、この曲を1955年にエルヴィス・プレスリーがサン・レコードでレコーディングした。これが世に名高いロカビリー・ヴァージョン。歌いはじめはゆっくりと行って、途中で止める。「みんな、ちょっと待ってくれ。これじゃあ、オレは感じない。もっとリアルに行こう」とアップ・テンポに変える。ロカビリー、ロックンロールの誕生の一瞬が刻まれている。
曲をかけ終えて。いろいろな人がカヴァーしている「MILKCOW BLUES BOOGIE」。「僕はエアロスミスのMILKCOW BLUES BOOGIEが好きだけど、機会があればまた」と達郎さん。
・論寒牛男
牛といえばカウボーイ。カウボーイといえば大瀧さん。1975年の『NIAGARA MOON』から「論寒牛男」。演奏はキャラメルママ+佐藤博さんという編成。
・FUNKY BULL PART 1
ダイク&ザ・ブレイザーズはニューヨーク出身。オージェイズのバックから独立して、1967年に「FUNKY BROADWAY」というヒット曲を出すが、この曲をウィルソン・ピケットがカヴァーして、ウィルソン・ピケットのほうがヒットしてしまった。1968年の「FUNKY BULL PART 1」。ドラムのパターンはブーガルー。1971年にダイクは銃で打たれて死んでしまう。
・CALLING ALL COWS
カリフォルニア生まれ、オクラホマ、タルサ育ちのエルヴィン・ビショップ。シカゴ大学に行ってポール・バターフィールドと知り合って、大学を中退してギタリストになった変わり種。でもホワイト・ブルース・ギタリストとしては重鎮。1975年のアルバム『JUKE JOINT JUMP』に収められている「CALLING ALL COWS」。
・今後の予定
来週は状況がこんな状態なので適当にいろいろちりばめつつ、こういうときは癒しが必要なので、そのような感じの、ただの「棚からひとつかみ」。
・「牛」の探し方
リスナーから「達郎さんのレコード棚からどうやって牛を探すのですか?」という質問
データ・ベースがあるので「牛」だったら「牛」で検索して、おもしろくなかったら意味がないので、曲をちゃんと聴いて選曲するそうだ。
・MIDNIGHT COWBOY
カウボーイもの。達郎さんの大好きな映画、1969年の『真夜中のカーボーイ』からジョン・バリーのメイン・テーマ「MIDNIGHT COWBOY」。トゥーツ・シルマンスがハーモニカを吹いている。トゥーツ・シルマンスは2016年に亡くなった。
・BEEF
奥田民生さんの1995年のソロ・デビュー・アルバム『29』から「BEEF」。ニューヨーク・レコーディング。「スティーヴ・ジョーダンのドラムが最高にグルーヴしとります」と達郎さん。
・「SPARKLE」のイントロ
リスナーから「SPARKLEのイントロのAメジャー・セブンの最初のカッティングはアップでしょうか、ダウンでしょうか?」という質問。
シンコペーションではじまるのでアップとのこと。
・レコード・スプレー
リスナーから「ある中古レコード屋の店主が絶対にレコード・スプレーは使ってはいかん、盤が傷んで取り返しがつかないことになる、とかなり激しい口調で言ってきました。レコード・スプレーは本当によくないのでしょうか?」という質問。
「あんまり使わないほうがいいですけれど(笑)、でもそんなに激しい口調で言うほどのことでもありません。こういうレコード屋の親父ってそういう人が多いんでね。平均的にいちばんお勧めはですね、レイカという会社で出しておりますバランス・ウォッシャーというのがあります。A液、B液がありまして、A液で汚れを取って、B液で仕上げをするという。CD用もあります。バランス・ウォッシャーの33というのがアナログ用かな、それからCLが確かCD用で。それにビスコという不織布の拭くやつがありまして、それを一緒にお買い上げくださいまして、ちょっと値ははるんですがね、きれいになりますから、いかがでしょうか。ご参考までに。でも絶対じゃないです」と達郎さん。
・深南部牛追歌
達郎さんは「牛」の歌がないので最後は大瀧詠一さんのプロデュースした、1977年の布谷文夫さんのアルバム『悲しき夏バテ』から「深南部牛追歌」。
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〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
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https://www.tfm.co.jp/ssb/
2021年01月24日は、レギュラープログラム「棚からひとつかみ」
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