shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Foreigner 4

2009-04-09 | Rock & Pops (80's)
 英米混成バンド、フォリナーは“元スプーキー・トゥースのミック・ジョーンズ(ギター)と元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルド(キーボード)が結成したスーパーグループ”という華々しい前宣伝で77年にデビューした。しかし当時の私はまだ「宮殿」を聴いたこともなければスプーキー・トゥースなんて名前も知らなかったので、音楽雑誌でデカデカと取り上げられていても「それがナンボのもんじゃい!」ぐらいの認識しかなかった。
 そんなある日のこと、ラジオから彼らのセカンド・シングル「コールド・アズ・アイス」が聞こえてきて、あのイントロで連打されるキーボードに耳が吸いついた。曲そのものはブリティッシュ特有の翳りのあるストレートなロックながら、リード・ヴォーカルのルー・グラムのイキの良い声といい、ツボを心得た見事なコーラス・ハーモニーといい、メロディアスでありながらドラマティックな曲構成といい、他のバンドとは激しく一線を画すカッコ良いサウンドがすっかり気に入ってしまった。
 翌78年、セカンド・アルバム「ダブル・ヴィジョン」が出た時はすぐに輸入盤屋へ買いに走ったのを覚えているが、爽快なアメリカン・ハードロック「ホット・ブラッディド」、70’sブリティッシュ・ロックの薫りが横溢するタイトル曲「ダブル・ヴィジョン」や「ブルー・モーニング・ブルー・デイ」と英米混成バンドの面目躍如といえる素晴らしい出来だった。
 79年にはサード・アルバム「ヘッド・ゲームズ」をリリース、女の子が男性用便器に腰掛けてる悪趣味なジャケット(仲間内では“トイレット・ギャル”って呼んでた...)とは裏腹に、何か吹っ切れたようなストレートアヘッドなロックンロールが痛快だったが、このアルバムを境に彼らは“大時代的なブリティッシュ・ロック”と決別、今にして思えばそのことがイアン・マクドナルドとアル・グリーンウッドの脱退を暗示していた。
 デビュー以降年1作のペースでどんどん新作を出し続け、ミリオン・ヒットを連発していたフォリナーが2年間スタジオに籠り、来るべき80年代に向けて練りに練って作り上げた最高傑作がこの「4」である。クレジットを見ると全10曲中6曲がミックとルーの共作で残りの4曲がミックの単独作ということで、明らかにミック・ジョーンズ主導の“ポップな王道ロック”の究極の姿がここにある。
 アルバムはルーのシャウトがかっこ良いノリノリのロックンロール①「ナイト・ライフ」で幕を開ける。続く②「ジュークボックス・ヒーロー」もハードなロックンロールで、口の悪い連中は“産業ロック”と揶揄するが、私に言わせれば“キャッチーなメロディーをハードロックのイディオムで表現したカッコ良い演奏”だと思う。ミックお得意のキーボードを多用したポップ・ロック③「ブレイク・イット・アップ」に続く④「ウェイティング・フォー・ア・ガール・ライク・ユー」は全米チャート10週連続2位という珍記録(ずーっとオリビアの「フィジカル」に抑えられていた...)を打ち立てたことで有名だが、エアプレイの比重の大きいラジオ&レコーズ誌では逆にオリビアを抑えて(放送禁止になった州もいくつかあったし...)6週連続1位になったことでも分かるように、ラジオ受けしそうな必殺の名バラッド。私も当時アホみたいに聴きまくった覚えがある(笑) ただ、これで味をしめたミックがこの後シカゴみたいなバラッド路線に軸足をシフトしちゃったのが残念。⑥「アージェント」はエレクトロ・ポップ風の摩訶不思議なイントロが耳に残るユニークな曲で、ヒップな間奏のサックス・ソロもルーのテンションの高いヴォーカルも◎。シングル曲以外にもどこか懐かしい響きを持ったサビのメロディーが印象的な⑧「ウーマン・イン・ブラック」、いかにもフォリナーな泣きのメロディーがたまらない⑨「ガール・オン・ザ・ムーン」と、絵に描いたような名曲名演がズラリと並ぶ。フォリナーのアルバムは基本的に全部好きだが、どれか1枚となればやはりこの「4」をベストに挙げたい。

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