shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

美しき人生 / ジョージ・ハリスン

2011-11-29 | George・Ringo
 月日の経つのは早いもので、ジョージが亡くなって今日でちょうど10年になる。厳密には日本時間で11月30日の早朝だったのだが、その2年前に暴漢に襲われて重傷を負いながらも「オール・シングス・マスト・パス」のリマスターを完成させ、さぁこれからという矢先だっただけに、58才という余りにも早すぎる元ビートルの死、しかもコバルト放射線治療で脳腫瘍と闘うという壮絶な闘病生活の末の死ということもあって、ジョンの時とは又違った意味で大きなショックを受けたのを覚えている。
 そんなジョージの10周忌に合わせるかのように、彼の生涯を綴ったドキュメンタリー映画「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」が制作された。監督はマーティン・スコセッシ、3時間30分という大作だ。私は映画には疎いので、この人に関してはマイケル・ジャクソンの「バッド」のビデオを制作したということぐらいしか知らなかったが、色々調べてみるとザ・バンドの「ラスト・ワルツ」やストーンズの「シャイン・ア・ライト」なんかも手掛けた中々の音楽通らしい。オリビア・ハリスンを始めポールやリンゴも絶賛したというこの映画、日本では2週間限定で劇場公開中なのだが、来月23日に DVD が発売されるということもあり、アマゾンで予約を済ませた私はクリスマスのお楽しみに取っておくことにした。 “以下の商品は12/25以降のお届けになる場合があります” という但し書きがちょっと気になるけど、とにかく今からクリスマスが待ちきれない。
 同映画の公式サイトで予告編を見ていて一つ気付いたのは “人生” という言葉が頻繁に出てくるということ。どうやらよくある “ロック・スターの伝記” 的な作品ではなく、物質的な豊かさよりも精神的な充足感を追い求めたジョージ・ハリスンという一人の人間の生き様を描いた映画のようだ。そこで頭に浮かんだのが “美しき人生” という言葉... 「オール・シングス・マスト・パス」からの第2弾シングルとしてヒットした「What Is Life」(←イギリスでは「マイ・スウィート・ロード」のB面だったが...)の邦題である。
 リビー姫のカヴァーでも有名なこの曲、「マイ・スウィート・ロード」の陰に隠れがちだが私的にはジョージのソロ作品中でも三指に入るくらいの超愛聴曲。どちらかというと哀しげな曲調のものが多い70年代前半の彼の作品の中で、この曲は異色と言えるぐらいポジティヴなエネルギーに満ち溢れたノリの良いストレートな作品に仕上がっている。何と言ってもスペクター・マジックによってパワーアップされたジョージの溌剌とした歌声が圧巻だし、イントロでジョージの弾くファズ・ギターに印象的なリフが寄り添うように重なっていき、やがて一気に爆発するような感じで炸裂する “ウォール・オブ・サウンド” の快感は筆舌に尽くし難い。タンバリンの入り方なんかも絶妙だ。いやぁ~スペクター先生、ホンマにエエ仕事してはりますなぁ...(^.^)
 この曲の歌詞は非常にシンプルで高校生程度の英語力があれば簡単に理解できるものだが、シンプル・イズ・ベストとはよくぞ言ったもので、ストレートに心に訴えかけてくるフレーズが心に響く。特に “君の愛が無い人生に何の意味があるのだろう? 君が傍にいないなら僕の存在理由は一体何なんだろう?” というサビのラインで顕著なように、男女間の恋愛感情にとどまらず、広く普遍的な愛、つまり家族・友人など自分にとって大切な人への愛情・思いやりの大切さについて歌われており、明るい曲調とも相まって、聴いてて心がホンワカ暖かくなってくるのだ。ポップ・ソングはやはりこうでなくてはいけない。
 今夜はこの曲の入った「オール・シングス・マスト・パス」のリマスター CD を大音響で聴きながらジョージに思いを馳せるとしよう。

『ジョージ・ハリスンLiving in the Material World』予告

What Is Life - George Harrison - (@alvar0rtega)

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2 コメント

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「美しき人生」だって!? (蟷螂の斧)
2015-03-12 19:41:43
良い邦題じゃないですかここのところshiotch7さんと話題にしている邦題センスを疑うものが多いのですが、この「美しき人生」は良い邦題です

もちろん僕はこの曲が好きです。高1の時、同じ部活動の先輩の家に遊びに行ってこの曲を初めて聞きましたいい曲だと思いましたよ

>イギリスでは「マイ・スウィート・ロード」のB面だったが...

何と言う勿体無い事を・・・イギリスさん

全米では10位いやいやアメリカさん全米1位レベルの曲ですよ

1991年。僕はジョージの名古屋公演に行きましたコンサートが始まる前。会場の外にいたらリハーサル中らしくて「美しき人生」のイントロのギターが聞こえました。嬉しかったです
コンサートの帰りは友達と彼女(元カノになってしまった・・・)の運転手になってしまいましたが・・・
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勿体ないですよねー (shiotch7)
2015-03-13 22:29:54
蟷螂の斧さん、こんばんは。
この邦題は良いです。
東芝にもマトモな人間いたんですね(笑)

>何と言う勿体無い事を...

いやー、ホンマに勿体ないですよね、
こんな名曲がB面だなんて!
でも買う方からしたら大ラッキーです。
このUKシングル盤も勢いで買っちゃったんですが
音、めちゃくちゃ良かったです。
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