shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ラヴ・ユア・スペル・イズ・エヴリウェア / カーティス・フラー

2010-12-10 | Standard Songs
 先月の G3 定例会に plinco さんがカーティス・フラーの名盤「ブルース・エット」の別テイク集「ブルース・エット Vol. 2」を持参された。「ブルース・エット」といえば星の数ほどあるジャズ・アルバムの中でも一番好きなスーパー・ウルトラ愛聴盤だ。「2」と聞いて私は最初1993年に出た「ブルース・エット・パート2」という棺桶に片足を突っ込んだようなヨレヨレ演奏の再録音リメイク集と勘違いしたのだが(←同じようなジャケットで Vol.2 と Part 2 って紛らわしすぎる...)、 plinco さんの説明で50年代録音の未発表別テイク集と分かって大喜び(^o^)丿 こういうボツ・テイクというのはミスがあったりソロがイマイチだったりと何らかの欠陥があるのが普通だが、この盤には本テイクと比べても何ら遜色のないヴァージョンが並んでいる。中でも我が愛聴曲「ラヴ・ユア・スペル・イズ・エヴリウェア」におけるトミフラのメロディアスなソロが絶品で、本テイクと甲乙付け難い出来栄えだ。
 この曲は元々1929年の映画「トレスパッサー」の中で主演のグロリア・スワンソンが歌ったものがオリジナルで、その後ペギー・リーやテディ・キング、ヘレン・フォレストといった王道女性シンガーらが取り上げているが、極めつけはやはりゴルソン・ハーモニーが冴えわたるカーティス・フラーのヴァージョンだと思う。ということで今日はこの曲の愛聴ヴァージョンをご紹介;

①Curtis Fuller
 「ブルース・エット」は1曲目に置かれた大名曲「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」にばかり目が行ってしまいがちだが、B面ラス前に置かれたこの曲こそ “隠れ名曲” の最たるものだろう。素材である原曲の魅力をこれ以上ないぐらいに引き出した見事なアレンジと絶妙なテンポ設定に脱帽だ。トミー・フラナガンの歌心溢れるソロ(4:00~5:35あたり)は何度聴いても心が洗われるようで、 “名盤の影にトミフラあり” とはよくぞ言ったものだと思う。ジミー・ギャリソンの轟音ベースもタマランなぁ... (≧▽≦)
カーティス・フラー


②Kenny Burrell
 ジャズ・ギターで哀愁の名曲を弾かせたらケニー・バレルの右に出る者はいない。この演奏はなぜか録音当時にはリリースされずに埋もれていたもので(←もったいない!)、「フリーダム」というバレルの未発表音源集の中にこの曲を見つけた時は大コーフンしたものだ。渋~いギターの音色といい、グルーヴィーなノリといい、やっぱりバレルは最高やね!
Kenny Burrell - Love, your spell is everywhere


③Alex Kallao
 アレックス・カラオはアート・テイタムの流れを汲む盲目のピアニスト。このデビュー盤でもミルト・ヒントンの堅実なベースとドン・ラモンドの瀟洒なブラッシュをバックに粋なプレイを聞かせてくれる。音楽とは関係ないけど、もう1枚のリーダー作である Baton 盤のジャケットのグラサン姿を見るたびに「スパイダーマン2」に出てきた敵役オクタビアス博士を思い出してしまうのは私だけ?
アレックス・カラオ


④Jaye P. Morgan
 この曲のヴォーカル・ヴァージョンで好きなのが、張りのあるパンチの効いた歌声で堂々たる歌いっぷりのジェイ. P. モーガン。説得力溢れるヴォーカルで聴き手をグイグイ引き込むパワーはさすがの一言。お色気ムンムンの悩殺ジャケットとは裏腹に、バックのマリオン・エヴァンス・オーケストラの好演もキラリと光る正統派女性ヴォーカルだ。
ジェイP.モーガン


⑤Platters
 「オンリー・ユー」で有名なプラターズがこの曲をカヴァーしていると知った時はビックリしたが、よくよく考えてみると彼らは「スモーク・ゲッツ・イン・ユア・アイズ」を始め数々のスタンダード・ナンバーも取り上げている。美しいコーラス・ハーモニーをバックに哀愁のメロディーをソウルフルに歌い上げた名唱だ。
The Platters Paul Roby - Love, your magic spell is...

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2 コメント

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Unknown (Sam)
2010-12-15 22:23:50
That song sung by The Platters is beautiful! I just listened to it twice!
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Soulful (shiotch7)
2010-12-16 21:34:34
Hi Sam,
I was very glad when I found this version by the Platters.
Very soulful, isn't it?
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