shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Psycho Therapy / Skid Row

2010-12-14 | Ramones
 私にとっての80年代後半は殆どハードロック一色で、来る日も来る日もデフ・レパード、モトリー・クルー、AC/DC、ヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、シンデレラ、ガンズ・アンド・ローゼズ、エアロスミス、ポイズン、ラットといったバンドのアルバムをガンガン聴きまくっていた。彼らに共通するのは分かりやすいメロディーを持った “良い曲” をノリの良いハードロックという形態で提示したことで、この手の音楽が大好きな私にとってはまさに “我が世の春” という感じだった。そんな中、 “ボン・ジョヴィの弟分” という肩書きでセンセーショナルなデビューを飾ったのがこのスキッド・ロウだった。
 ボン・ジョヴィのリッチー・サンボラは彼らのことを “エアロスミスのロックンロールにジューダス・プリーストのへヴィーさを加えたバンド” と表現したが、まさに言い得て妙である。しかし残念なことに私はジューダス・プリーストやアイアン・メイデンといったいわゆるクラシック・メタル系のサウンドが大の苦手で、ヴォーカリストのセバスチャン・バックの声もイマイチ私の好みには合わなかったし、鼻歌で歌えるような楽しいメロディーの曲(←ロックでもジャズでもコレが私にとって一番大事!)も皆無だったので、彼らのデビュー・アルバムは私の心には響かなかった。
 やがて90年代に入り、映画「レスラー」の主人公が嘆いたようにニルヴァーナの出現で80年代ハードロックのブームが去り、それに取って代わるようにして陰々滅々たるグランジ / オルタナ・ロックが台頭してきた。こんな鬱陶しい音楽聴けるか!と思った私はその時点でコンテンポラリーな洋楽ロックとキッパリ決別してジャズを聴き始めたので、それ以降スキッド・ロウの名前を耳にすることもなくなった。
 それから十数年の月日が流れ、ラモーンズ関係のカヴァーを漁っていた私はその中に偶然スキッド・ロウの名前を発見、しかも何と我が愛聴曲「サイコ・セラピー」をカヴァーしているというのだからコレはもうエライコッチャである。 “あの曲をセバスチャン・バックが一体どう歌うっちゅーねん?” と訝しく思った私が早速 YouTube でチェックしてみると驚いたことに歌っているのはベーシストのレイチェルだ。演奏もバリバリの疾走系ロックンロールでめちゃくちゃカッコ良く、イメージしていたヘヴィメタ・サウンドとは全然違う。私はすぐにこの曲が入っているミニ・アルバム「B-サイド・アワセルヴズ」を購入、ヤフオクで150円だった。
 このCDはメンバーそれぞれがお気に入りの曲を持ち寄ったという5曲入りのカヴァー・アルバムで、ラモーンズ以外はジューダス・プリースト、キッス、ラッシュ、そしてジミヘンの曲を取り上げているが、やはりこの「サイコ・セラピー」が曲も演奏もダントツに素晴らしく、ジャージー・メタルとNYパンクの邂逅が生んだアグレッシヴなヴァージョンに仕上がっている。
 又、この曲のプロモ・ビデオもスピード感に満ちた映像処理が曲想とバッチリ合っており、見ていて思わず引き込まれてしまう。 CJ を思わせる “ロン毛ぐるぐる回し” もあるし、ラモーンズ・ファンにとっては必見やなぁ…と思っていると、何とジョーイ・ラモーンがエレベーター・ボーイ役で出演しているではないか!友情出演みたいなノリで出たらしいが、カヴァー・ヴァージョンのビデオに本家が出てるっていうのが面白い。
 この曲は80年代に入って徐々にパワー・ポップ色を強めつつあったラモーンズがもう一度パンクの原点に返り、彼らより速く演奏する奴らなんていないということをハッキリと示すために作ったものだという。そういう意味で、ヘヴィメタ・バンドのスキッズがリスペクトを込めてパンキッシュにプレイしたこの「サイコ・セラピー」は最高のカヴァーだと思う。

skid row - Psycho Therapy

この記事についてブログを書く
« A列車で行こう / 美空ひばり | トップ | アニメイヤ ~ジブリ・ソング... »