shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

アニメイヤ ~ジブリ・ソングス~ / メイヤ

2010-12-17 | TV, 映画, サントラ etc
 数ヶ月ほど前だったか、クレモンティーヌが日本のアニソンをボッサ風にアレンジして歌った CD 「アニメンティーヌ」という盤をこのブログで取り上げた。頬に渦巻きマークを付けた三浦友和のCMで有名になったアレである。ところがリリースからまだ4ヶ月しか経っていないというのに販売元のソニーはあろうことかその盤に「ゲゲゲの鬼太郎」、「元祖天才バカボンの春」、「バカボン・メドレー(サントリーCMフル・ヴァージョン)」という新曲3曲を追加、「アニメンティーヌ・プラス」として新装発売したのだ。アホか!旧ヴァージョンを買ったファンの気持ちを逆撫でするような姑息な売り方だ。しかも悔しいことにアマゾンで試聴してみると「ゲゲゲ...」の出来が良さそうなんである。コレはもうレンタルするしかない。こんなことしとったら益々 CD が売れへんようになるのがアホバカ・レコード会社には分からんのかな?
 今回の一件で私は益々ソニーが嫌いになったが、ひとつだけ収穫があった。アマゾンで「アニメンティーヌ・プラス」を調べた時に、例の “この商品を買った人はこんな商品も買っています” 欄に何気なく目をやると、そこにたまたま載っていたのがこの「アニメイヤ~ジブリ・ソングス~」だったのだ。これまで何度も書いてきたように私は “ジブリ” に目がない。で、早速試聴してみるとコレが中々エエのである。よくよく見るとレコード会社も発売日も「アニメンティーヌ」と同じだ。多分2枚とも “ヨーロッパのオシャレ系女性シンガーに日本のアニソンを歌わせ、アルバム・タイトルに「アニメ」の3文字を入れて一般のファンにも広くアピールする” という企画だったのだろう。
 私はクレモンティーヌのことはよく知っていたが、このアルバムのメイヤという歌手は名前すら知らなかった。ウィキペディアで調べてみるとスウェーデンのストックホルム出身のシンガーで、90年代にはかなり人気があったらしい。彼女の歌声はちょっと甘~い感じの癒し系で、ジブリ・ワールドとの相性は抜群。この「アニメイヤ」ではそんな彼女の持ち味を活かした巧みなアレンジがなされており、原曲の良さを損なうことなくちょっとオシャレに生まれ変わったジブリ・ナンバーの数々を楽しめる。
 まずは何といっても①「となりのトトロ」である。メイヤの柔らかい歌声が愛らしいメロディーとバッチリ合っていてほのぼのとした雰囲気を醸し出しているところが素晴らしい。耳に馴染んだあの旋律に乗せて歌われる英語詞も実に新鮮で、 “Now begins a new adventure for you(素敵な冒険始まる)~♪” から “And you’ll be with Totoro, Totoro ♪” へと続くサビの部分なんかもう最高だ。トトロ・マニアの私としてはこの1曲だけでも “買い” である。
 ユーミンの名曲④「ルージュの伝言」(魔女の宅急便)もめちゃくちゃ気に入った。ウキウキワクワクするような60's風アレンジで、レトロな雰囲気溢れるヨーロピアン・ポップスになっている。この曲の英語詞はトトロのような逐語的な訳ではなく(←曲によって訳者が違います...)原曲の大意を汲んで新たに書かれた意訳調なのだが、それが又実に巧くメロディーに乗っかっているのである。特に “Maybe you'll grow up when you go home and read the mirror, I've left a lipstick message there, my darling~♪” のラインなんかお見事!と言いたくなるような名訳だ。私はビートルズを始めとする洋楽ポップスの歌詞とその対訳を見ながら独学で英語を覚えたので、この「ルージュ」のオリジナル日本語詞との比較は中々面白かった。
 大胆なアレンジで驚かされたのが⑧「風の谷のナウシカ」だ。バーシアの「クルージング・フォー・ブルージング」を想わせるようなオシャレなサウンドで、バリバリのヨーロピアン・ポップスになっているのにビックリ(゜o゜) “ナウシカァ~♪” のパートがなければジブリ・ナンバーだとは気付かない人も多いだろう。コアなジブリ・ファンの中では賛否両論分かれそうなトラックだが私はもちろん気に入って聴いている。こんなオシャレなナウシカがあっても良いではないか。
 そういう意味では③「もののけ姫」も必聴だ。日本人の心の琴線にビンビン触れるマイナー調の原曲の魅力を存分に引き出しながら様々な楽器を大量投入してコンテンポラリーな哀調ポップスに仕上げたアレンジは見事と言う他ない。特にアコギの使い方なんて絶妙だし、隠し味的に使われているコンガが生み出すグルーヴ感もたまらない。
 スロー・バラッド系では⑤「テルーの唄」(ゲド戦記)が最高だ。無伴奏で歌い始めるところなんかもう背筋がゾクゾクするほどの素晴らしさで、オリジナルの持っていた “儚さ” とは又違った魅力が溢れている。曲を慈しむように歌うメイヤの透明感溢れる歌声が心に染み入ってきてジーンときてしまうのだ。心が洗われるような名唱というのはこういうのを言うのだろう。この盤は BGM というか、ながら聴きに最適なのだが、この⑤だけは思わず手を止めて聴き入ってしまう。
 聴き入ってしまうといえば⑩「いつも何度でも」(千と千尋の神隠し)も甲乙付け難い出来栄えだ。心なしか他のトラックよりもメイヤがのびのびと歌っているように聞こえるのだが、ひょっとしたらこの曲が彼女にとっての “ジブリ・フェイヴァリット・ソング” なのかもしれない。アレンジャーも心得たもので、あれこれと策を弄さず彼女の歌声の最大限引き出すような “シンプル・イズ・ベスト” を地でいくヴァージョンに仕上げている。それにしてもジブリの音楽ってホンマにレベル高いなぁ...(≧▽≦)
 ②「Arrietty's Song」はこのアルバムとほぼ同時期に封切られたジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」の主題歌でアコーディオンをフィーチャーしたケルト/アイリッシュ調のナンバーだが、私はまだ映画を見ていないので(←早よ DVD レンタル始まらへんかな...)何とも言えない。⑦「崖の上のポニョ」はクレモンティーヌも歌っていたが、メイヤの歌う “ポーニョ ポニョ♪” もキュートで中々面白い。⑨「カントリー・ロード」(耳をすませば)は唯一日本語で歌っているが、コレはまぁご愛嬌といった感じだ。
 北欧の癒し系女性シンガーが名曲揃いのジブリを歌ったこの「アニメイヤ」、日本人ならどこかで耳にしているはずのジブリ・ナンバーを英語のポップスとして聞けるこのアルバムはオシャレなカフェなんかで流せばぴったりハマりそうな1枚だ。

Meja ★☆★ Tonari no Totoro ★☆★ ANIMEJA ★☆★


Meja ★☆★ Rouge No Dengon ★☆★ ANIMEJA ★☆★ Kiki's Delivery Service ★☆★


Meja ★☆★ Therru No Uta ★☆★ ANIMEJA ★☆★


Meja ★☆★ Itsumo Nando de mo ★☆★ ANIMEJA ★☆★

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2 コメント

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ジブリ (みながわ)
2010-12-18 21:41:53
shiotchさん、こんばんは。
クレモンティーヌも良かったですが、メイヤも
いいですね。
さらにこの前の「ジブリティック・パンク・カヴァーズ」も合わせていろいろ聞き比べて楽しませてもらいました。
ジブリ作品はなぜかカバーしたくなる魅力があるのでしょうか。(まあ売れるというのもあるでしょうけど)(笑)
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一流ブランド (shiotch7)
2010-12-19 11:52:53
みながわさん、こんにちは♪
ジブリお気に召して何よりです。
ビートルズ、昭和歌謡、そしてジブリ...趣味合いますね(笑)
ジブリ・カヴァーが多い一番の理由は
仰る通り “売れる” からでしょうね。
“ビートルズ・カヴァー” と同じく
確立された一流ブランドみたいなモンやと思います。
カヴァー作品ってオリジナルがメジャーじゃないと
誰も見向きもしませんからね。
それと、原曲のクオリティが高いので
良い食材を手にしたシェフのように
アレンジャーも腕のふるい甲斐があるのではないでしょうか?
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