shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

買物ブギー / 笠置シヅ子

2011-09-19 | 昭和歌謡・シングル盤
 昭和歌謡のシングル盤を集め始めて2ヶ月が経った。最初はヤフオクでコツコツと100円~300円盤を買ってコスパ抜群の音楽生活を楽しんでいたのだが、その一方でオークションに中々出てこない盤や、出品されても法外なプレミアが付いて買えないような盤も存在する。他の事ならともかく、こと音楽に関する限り私はそれで手をこまねいているような性格ではない。
 そこで思いついたのが猟盤ツアーの再開である。レコード探しはネット・オークションで検索・落札する方が圧倒的にラクチンだし、“足を棒にして歩き回って収穫ゼロ” が何回か続いたこともあって、最近はすっかり足が遠のいていたのだが、先月の後半あたりから猟盤に行く機会を虎視眈々と狙っていた。今のご時世、ジャズやロックのオリジナルLPで掘り出し物が見つかる可能性はほとんどゼロに等しいが、比較的ライバルの少ない昭和歌謡のシングル盤なら床に直置きの段ボール箱の中で有象無象盤に紛れて放置されていたりして、ヤフオクでは高値が付いてるブツでも案外安く手に入れられるかもしれないと考えたからだ。
 しかし私は人一倍暑さに弱い。連日35度近い猛暑が続く中を歩き回るなど論外だ。“しゃあない、10月まで待つか...” と諦めかけていた矢先、例の大型台風が奈良を襲った。県の南部は大雨でエライことになっていたが(←次の日にテレビで茶色い津波みたいな土石流の映像を見て愕然としてしまいました...)私の住んでいる北西部はほとんど雨も降らず気温も30度を下回って涼しかったこともあって、ネットで雨雲の状況を分析して大丈夫と判断した私は歌謡曲のシングル盤を置いてそうな店が集まっている日本橋周辺のレコ屋を廻ることにした。
 近鉄難波駅から南下して最初のターゲットであるナカ難波店へ。ビッグピンクの入っていたビルの斜め向かいにある細長い通路みたいなお店である。しかし日曜だというのにシャッターが閉まっている。確かココは年中無休のはず...(>_<) 後で知ったのだが8月いっぱいで閉店したとのことで、良心的な値付けで掘り出し物も多かったので非常に残念だが、いきなり出鼻を挫かれた格好だ。
 気を取り直してその2筋南にあるナカ2号店へと向かう。ここの歌謡曲関係の品揃えはかなり充実しているのだが、結構なプレミアが付いているケースも多く、以前も平山三紀のデビュー・アルバムが4,800円とか奥村チヨの「チヨとあなたの夜」が6,800円とか愕然とさせられたものだが(←どちらもヤフオクで1,000円台で買えました...)、今回の狙いはシングル盤。果たしてどんな盤に出会えるのやらと期待しながら歌謡曲シングル・コーナーに行くと、いきなり壁面に「買物ブギ」と「東京ブギウギ」という服部良一先生の2大クラシックスをカップリングした笠置シヅ子の超強力シングル盤が掛かっているのを発見!
 今現在CDで流通している「買物ブギー」は実は不完全なヴァージョンで、最後のオチの “わしゃつんぼで聞こえまへん♪” の部分が問題だとして言葉狩りにあい、レコード会社の自主規制とやらでその部分だけを不自然にカットして無理やり繋ぎ合わせたイビツなものなのだ。私は YouTube からダウンロードした完璧版(←こんな時代に既にプロモ・ビデオを作ってたとは...)を 320Kbps に変換して聴いているのだが、やはりこの曲はオリジナル・ヴァージョンで所有したい。このレコードは何故かヤフオクでも滅多に出てこない貴重盤なのでコレはラッキーやわと値段を見ると何と2,000円。う~ん、喉から手が出るほど欲しいけど、シングル盤1枚に2,000円というのは自分的にはあり得ない。後ろ髪をひかれる思いで壁に戻して更にエサ箱を物色するが、他にコレと言った収穫も無くテンション下がりまくりで店を出る。
 ナカ2連発が不発に終わったので今度はサウンドパックをハシゴしようと再び北上して道路沿いの通りへと戻る。長いことご無沙汰しているサウンドパックなんさん店だ。しかし行ってみると看板が MINT Record へと変わっている。お店の中は全然変わってないのでのれん分けでもしたのだろうか? ここのシングル盤の在庫もハンパなしに凄いが、商品の値付けが非常に良心的というか、あまりよく分かってないというか、とにかく何でもかんでも300円ベースというのが嬉しい。基本的に金さえ出せばどんな盤でも買えるこのご時世だが、私は安く買ってこそのシングル盤と思っているのでこういうお店の存在はホンマにありがたい。これからも贔屓にさしてもらいますわ(^o^)丿
 入口を入って左奥のシングル盤コーナーで身体をエビのように折り曲げて棚下に置かれた段ボールを漁っていると、何と先ほど2,000円で誇らしげに壁面を飾っていた笠置シヅ子盤を300円で発見! 出来すぎに聞こえるかもしれないが、ウソのようなホントの話なんである。あちらは72年の写真ジャケ、こちらは77年のイラストジャケという違いはあれど、どちらも同じSP原盤を音源とするコロムビア・ミリオン・カップル・シリーズで中身は同じと言って良い。念のためレジで歌詞カードを確認させてもらったところ、やはりカットされる前のオリジナル・ヴァージョンだ。因みに YouTube の映像にある “めくらのおばあさん” のラインがないのだが、この部分は元々音盤化されてなかったのかな?
 それにしてもこの曲は何度聴いても面白い。「おっさん、おっさん、これなんぼ?」「アホかいな!」とコテコテの大阪弁が炸裂、「たいに ひらめに かつおに まぐろに ぶりにさば」「とり貝 赤貝 たこにいか えびに あなごに きすにしゃこ」とまるでラップのような言葉の速射砲でリズミカルに歌いこなすところなんかめちゃくちゃファンキーやし、そんなイケイケ・グルーヴに拍車をかけるようなハンドクラッピングも実に効果的に使われており、コレがホンマに1950年の録音かと唸ってしまう。まさに日本で最初の“和製ラッパー” 笠置シヅ子姐さんの面目躍如たる大傑作ジャイヴ・ナンバーである。
 カップリングされた「東京ブギウギ」は今や押しも押されもせぬ昭和歌謡の大スタンダード・ナンバーで様々な歌手によってカヴァーされており、最近ではビールのCMソングなんかにも使われていたが、やはり本家本元の笠置シヅ子ヴァージョンが圧倒的に素晴らしい。服部先生が仕掛けた躍動感溢れるブギーのリズム(←ジーン・クルーパ楽団の影響を感じます)とシヅ子姐さんの自由奔放な歌いっぷりが見事に融合して誰にも真似の出来ないスインギーな歌世界を構築している。こんな名曲名唱をただ古い録音だからという理由だけで(1947年!) “懐メロ歌謡” の一言で片付けてしまうのはもったいないと思いませんか?

笠置シヅ子 買物ブギ Shizuko KASAGI,1950 高画質


笠置シヅ子 東京ブギウギ

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4 コメント

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Boogie Woogie! (サム)
2011-09-20 19:35:38
私は笠置シヅ子の東京ブギウギを聞いたがあります。好き! I first heard it on a CD called "Rough Guide to the Music of Japan".
I also loved the shopping boogie (買物ブギ). It made me feel like dancing (^_^)
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Osaka-ben dialect (shiotch7)
2011-09-21 20:30:12
Hi Sam,
I'm surprised that you know these songs.
The Shopping Boogie is full of Osaka-ben dialect,
which you might miss.

They have been covered by many singers,
but these original recordings of Shizuko Kasagi are still the GREATEST!
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びっくりしました! (ユミりん)
2011-09-22 20:50:47
歌そのものは知っていましたが東京ブギウギがこんなに激しく踊りまくる曲とはつゆ知らず…歌の魅力倍増で楽しくなりました。映像のポスターや買い物カゴにノスタルジー感じる昭和30年代生まれの私です。
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エエ時代でしたよね~ (shiotch7)
2011-09-23 08:55:29
ユミりんさん、コメントありがとうございます。
私も昭和30年代生まれでユミりんさんと同じく映像に出てくるポスターや買い物カゴを見て喜んでたので
同じように感じられてる方がいらっしゃったと知って何か嬉しいです。
自分はやっぱりあの時代のゆったりマッタリした空気感が一番好きですね。
ユーミンじゃないですが、“あの日にかえりたい”です。
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