shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

春のトルコ盤祭り

2021-04-04 | The Beatles
 この前いつものようにB-SELSに遊びに行った時のこと、Sさんが “これ聴いてみて下さい。” と1枚のレコードをターンテーブルに乗せられた。 “どこの国の盤ですか?” と伺うと、いたずらっぽく笑いながら “当ててみて下さい。” と仰る。レコードはポール&ウイングスの「London Town」で、レーベルはごく普通の“ベージュに赤EMI ”のデザインだ。私は耳に全神経を集中した。
 スピーカーから流れ出てきたタイトル曲のA①「London Town」は中低域の分厚い腰の据わったサウンド。ステレオでありながら音像定位はやや中央寄りで、ちょうどルディ・ヴァン・ゲルダーがリマスターしたブルーノートのCDみたいな音作りである。
 わざわざ訊いてくるぐらいやからきっと珍しい国の盤に違いない... と考えた私が最近のB-SELSの南米志向を考慮に入れて “コロンビア盤!” と答えるとニコニコしながら “違います。” と仰る。小学校の時から地理が大の苦手な私はありったけの知識を振り絞って “ボリビア!” “エクアドル!” “パラグアイ!” “キューバ!” と頭に浮かんだ国名を次々と挙げていくが、Sさんはもう楽しくって仕方がないという様子で首を横に振られる。“ひょっとして南米とちゃうんですか?” と聞くと“ちゃいます。” とのこと。
 南米の次に直感的に頭に浮かんだロックンロール辺境の地は中東方面だ。早速 “エジプト!” “レバノン!” “イラン!”とまたまた思いついた国をテキトーに挙げていくが、相変わらず鬼の首を取ったようなSさんスマイルで “ちゃいます。” とのお答え。“そういえば昔ヤフオクで「Abbey Road」のイラン盤が33万円で落札されてたのを見たことがあります。ジャケットにデカデカと「Abby Road」って書いてある誤字脱字盤(?)で、あんなブートみたいなレコードに33万も出すなんてアホとちゃいますか。私やったらそんな盤いらんですわ!” などとしょーもないダジャレを言いながら必死で世界地図を思い浮かべる私。
 そして私が9番目に答えた “トルコ!” でSさんが “正解です!” と首を縦に振られてようやく国当てゲームが終了(笑) “へぇ~トルコ盤にまで手ぇ出しはったんですか...” と感心する私に “中々音良いでしょ? でもね、盤の状態があまり良くないのが残念なんです。これのキレイな盤を聴いてみたいんですけどねぇ...” とSさん。確かにヨーロッパ盤とも南米盤とも違うユニークな音作りだ。特にA②「Cafe On The Left Bank」やA⑧「I’ve Had Enough」なんかはキレッキレだしA③「I’m Carrying」のようなスローな曲も力強く響く。その質実剛健なサウンドに興味を持った私は “他のトルコ盤も聴いてみたいな...” と思いながら B-SELS を後にした。ウルグアイが一段落したと思ったら今度はトルコにハマるのか...(笑)
 家に帰って早速eBayで検索してみたがカセットやシングル盤がメインで、肝心のLPはというと1枚物に再編集したアンオフィシャルの「赤盤」「青盤」がちらほら。そしてトランク・カヴァーのジャケに「Yesterday And Today」というタイトルながら “A面にメンバーのソロ6曲、B面にビートルズの曲7曲” という選曲の珍盤(←My Sweet Lord / Mull Of Kintyre / Girl’s School / Imagine / Oh Yoko / No.9 Dreamっていう摩訶不思議な選曲のA面も凄いけど、B面の Dr. Robert / Hello Goodbye / Yesterday / What Goes On / Day Tripper / The Ballad Of John And Yoko / Act Naturally っていう支離滅裂な選曲には言葉を失う... 笑)が1枚出ていたが、いくら物好きな私でもさすがにこんな怪しげな盤に$180も出そうとは思わない。
 eBayはダメそうなので今度はDiscogsで「London Town」を手始めにポールのソロを1枚ずつトルコ盤で検索していくとラッキーなことに「London Town」(€15)と「Wild Life」(€30)の2枚がヒット。更に本家ビートルズの「Let It Be」(€45)も同じトルコのセラーが出していて、盤質表記はすべて VG+ だが “Very nice copy” という但し書きが付いていたのでそれを信じて購入を決定。3枚買っても送料が€12なんてめっちゃお得だ。
 トルコ盤なんてこれまで全く眼中になかったのだが、B-SELS で聴かせていただいたあの音を他のタイトルでも聴けるかもしれないと思うと居ても立ってもいられない。現時点では一体どのタイトルが出ているのかさえわからないが、ウルグアイ盤蒐集に続いてまたまた “道なき道” を行くのも面白そうだ。スタートレックのオープニング・ナレーション風に言うと “トルコ盤... それは最後のフロンティア...” という感じ。オーダーしてから2週間してついにトルコから待望のレコードが届いた。 (つづく)
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