shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band [Anniversary Super Deluxe Edition]

2017-06-04 | The Beatles
 「サージェント・ペパーズ」の50周年記念スーパーデラックス・エディションが届いた。4月の初めにアマゾンで予約し、その後は各国盤LPやらポールの来日公演ブートやらで頭が一杯だったので5月の末に発送連絡メールがきた時は “あぁそういえば「ペパーズ」予約してたなぁ...” ぐらいの軽い気持ちだったのだが、実際に届いたアマゾンの段ボールを手にしてビックリ... めちゃくちゃデカくて重いやん...(>_<)  「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」のボックス・セットを彷彿とさせるスーパーヘビー級のパッケージだ。CD4枚+BD+DVDの計6枚組で、毎度のことながらブックレットやら何やらの付属物をゴテゴテ付けて15,000円オーバーというファンの足元を見た姑息なボッタクリ商法には正直ウンザリだが、まぁこればっかりはどうしようもない。
The Beatles – Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band – Anniversary Edition Trailer


 ストーンズの「サタニック・マジェスティーズ」みたいな3Dスリップケースからマスターテープの写真付きボックスを引き抜いて(←日常聴きの邪魔になるこういう面倒くさい作りはハッキリ言って大嫌い。無意味な所に金をかけずにその分値段を下げろよと思ってしまう...)中を見るとポスターやらブックレットやらハードカヴァーの豪華本やらが入っている。LPジャケットを模したゲートフォールド・カヴァーの中に薄っぺらい紙ジャケを差し込むようになっていて肝心のCDやBDはその中に収められているが、実用性無視の取り出しにくい作りなので紙ジャケ6枚を引き抜いてCD棚・DVD棚に並べている。
 CDはディスク1が「サージェント・ペパーズ」のニュー・ステレオ・ミックス、ディスク2と3が収録曲の未発表アーリー・テイク、そしてディスク4がニュー・モノラル・ミックスということで、イの一番にターンテーブルに乗せるのは当然ディスク1の最新リミックスだ。プレイボタンを押すと例の観衆のざわめきのSEに続いてヘヴィーなギターが唸りを上げるのだが、これがもうめちゃくちゃパワフルな音でビックリ(゜o゜)  ポールのベースがゴツゴツした岩のような引き締まった音で音楽の根底を支え、ユンケルでも飲んでパワーアップしたかのようなリンゴのダイナミックなドラミングの一打一打がズシリ、ズシリとまるで軍隊の行進のように響く。音像がまるで万華鏡のように3次元的にパァ~ッと広がって眼前に屹立するのだからまたらない(≧▽≦)  とても50年前の録音とは思えない瑞々しいサウンドである。冒頭の空耳 “ポールのアホ!” もめっちゃクリアーに聞こえて思わず笑ってしまう(^.^)
 ビートルズのリミックスと言えば賛否両論喧しかった「イエロー・サブマリン・ソングトラック」が思い浮かぶが、この2017リミックスはハッキリ言って次元が違う。ジャイルズ・マーティンへのインタビューによると、今回のリミックスは “ビートルズが渾身の力を込めて制作したモノ・ヴァージョンをステレオにする作業” であり、そのせいかヴォーカルが中央寄りに移されて各楽器の定位もオリジナル・ステレオ・ミックスとは変えられているのだが、最新のテクノロジーを駆使して「ペパーズ」の根底に脈打つ熱いライヴ感を見事に表現しているところが何よりも素晴らしい。音の細部まで徹底的に磨き上げ、丹念に作り込んだ今回のニュー・リミックス... 音圧が高くブライト&クリアーなサウンドで聴く “スリー・ディメンション” な「ペパーズ」は圧巻だ。とにかく可能な限りの大音量で音の洪水の中に身を投げ出すようにして聴くと、その凄さが実感できると思う。
 ディスク2と3の未発表アーリー・テイクは結構興味深いものが多く、 “へぇ~、この曲って元々こんな感じやったんか...” という驚きや発見が多々あったが、この手の未発表テイクはあくまでも interesting な音源であって所詮は未完成品。私的には決して日常聴きするようなものではない。というか、ディスク1の衝撃が大きすぎてどうしてもそっちばっかり聴いてしまうというのが正直なところだ。
 ディスク4のニュー・モノラル・ミックスは、ディスク1の直後に聴くと幻滅するので要注意(笑)  私はそれをやってしまって “何じゃいこの味気ないサウンドは...” 状態に陥ったので日を改めて、2009モノ・ミックスと同時再生してプリアンプのスイッチを切り替えながら聴き比べを敢行してみたが、ウチのシステムでは2017ミックスの方が少しクリアーかなという程度で、普通に聴く分にはその違いはほとんど分からないレベルだった。興味本位でUKモノラル1stプレス盤も聴いてみたが、やっぱりアナログの音は全然違いますな(^.^)  ということで私の「ペパーズ」は今後、モノラルはUKオリジナル盤、ステレオはこのセットのディスク1がスタンダードになりそうだ。
 BDに収録のハイレゾ音源に関しては再生環境がないので何とも言えない。まぁそのうち5.1chサラウンドにハマる時が来るかもしれないのでそれまでのお楽しみに取っておくとしよう。「メイキング・オブ・サージェント・ペパーズ」に関しては、ブートDVD-Rで持ってはいたものの、やはりオフィシャルのクリアーな音と映像は別格だ。内容については以前このブログで取り上げたのでここには書かないが、故ジョージ・マーティンが「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」(テイク1)を流しながらジョンの “シュガー・プラム・フェアリー♪” というカウントに聴き入る時に見せる何とも言えない優しげな表情が最高に好きだ。
 イギリスでは今回の「サージェント・ペパーズ」が1週間で37,000セットを売り上げてチャート1位になり、“50年ぶりのチャート1位返り咲き”という新記録を打ち立てたという。いやはやまったくもう、ビートルズのアーティスト・パワーは凄いとしか言いようがない。この勢いに乗って来年あたり「ホワイト・アルバム・ボックス」出してくれへんかなぁ... というか、ジャイルズには是非とも偉大なる父親の衣鉢を継いでもらって「リヴォルヴァー」や「ラバー・ソウル」といった他のアルバムもどんどんリミックスしてほしいものだ。
【行列】ビートルズファン