shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Hey Jude (UK Export Dark Green Apple盤) / The Beatles

2016-09-10 | The Beatles
 ビートルズのアナログLPは基本的に UKオリジナル盤があればそれで十分と信じているが、厄介なのは「マジカル・ミステリー・ツアー」や「ヘイ・ジュード」のようにビートルズのキャリアにおいて必要不可欠な楽曲が満載にもかかわらず、UKのオリジナルLPが存在しないタイトルだ。「マジカル・ミステリー・ツアー」の場合はEP2枚組があるからまだ良いが、問題なのはリアルタイムでUK盤が発売されなかった「ヘイ・ジュード」である。
 赤盤青盤に付いていたディスコグラフィーでビートルズに入門したと言っても過言ではない私にとって、このレコードは “アメリカ編集のコンピレーション盤” というよりは「アビー・ロード」と「レット・イット・ビー」の間に位置する “準オリジナル・アルバム” 的な存在として脳内に刷り込まれていたし、実際のところ全10曲中6曲が1968年以降のLP未収録シングル音源ということもあって(しかも大好きな「ペイパーバック・ライター」や「レイン」まで入っとる!!!)、このレコードのUKオリジナル盤が存在しないことが残念でならなかった。
 因みにこの「ヘイ・ジュード」が初めてイギリス国内向けに発売されたのは何と 1979年で、EMIの2ボックス・ロゴ入りパーロフォン・レーベル(PCS-7184)でリリースされたのだが、いくらUK盤でもリリースから10年近くたったレイター・プレス盤なんぞに用はない。あくまでも1970年当時に出たアーリー・プレス盤で鮮度の高い音が聴きたいのだ。
 そういうワケで「ヘイ・ジュード」に関しては長いこと US盤で我慢していたのだが、ある時ビートルズ関連のプライス・ガイドのサイトでこのレコードのイギリス国外輸出専用プレス盤の存在を知り、私のコレクター魂に火がついた。解説によると 1st プレス盤は1970年にリリースされたEMI1ボックス・ロゴのシルバー・パーロフォン・レーベル(P-CPCS 106)で、極少数しかプレスされなかった鬼レア・アイテムのため空恐ろしい額のプレミアが付いているとのこと。実際にpopsikeで調べてみると1年に1枚出るか出ないかのスーパーウルトラ稀少盤で、落札価格は何と£900~£1,650!!! いくら何でもレコード1枚に30万円だなんてハッキリ言って狂気の沙汰だ(>_<)
 2ndプレス盤は1stと同じ1970年にプレスされたダーク・グリーン・アップル・レーベル(CPCS 106)で、特徴としては ①センター・レーベルの曲名表記に2ヶ所の誤植(「Paper Back Writer」と「Revolutions」)がある、②「Old Brown Shoe」の著作権会社名がSingsong Music になっている、③センター・レーベル左中段の "An EMI Recording" 33 1/3 Mfd in UK の行間隔が狭い、の3点が挙げられる。又、同じダーク・グリーン・アップルでも71~72年あたりのプレスになると「Paper Back」のミスはそのままで「Revolutions」の方だけが「Revolution」に修正された “2ndプレスのレイター・イシュー盤” も存在する。ビートルズに限らずこの手の “ミススペリング盤” って結構よく見かけるのだが、チェック体制は一体どーなっているのかと思ってしまう。それともレコード会社の人間は英語が苦手なんか???
 3rd プレス盤は1973年にプレスされたライト・グリーン・アップル・レーベルで、①曲名表記ミスは両方とも修正済みで、②Singsong Music も Harrisongs に訂正され、③レーベル左側の "An EMI..." の行間隔は広い。この薄林檎レーベル盤はイーベイで掃いて捨てるほど出品されており、全く食指が動かない。私のターゲットはズバリ、ダーク・グリーン・アップルのアーリー・プレス盤だ。
 このレコードはイーベイでは大体£150~£200ぐらいで落札されているのだが、貧乏コレクターの私としては何とか諭吉さん1人でカタをつけたい。こういう時は何回アウトビッドされようがドッシリ構えて気長にチャンスを待つに限る。良いブツを出来るだけ安く買うことこそがオークションの醍醐味だ。結局2ヶ月間で6連敗を喫した後の7度目の正直で、アメリカのコレクターから念願のダーク・グリーン・アップル盤を $57でゲット! 送料を入れても約8,000円だなんてめちゃくちゃラッキーというしかない(^o^)丿 
 盤質表記は "a very conservative VG+. Super Nice Copy!!!" とあったのだが、届いたのは期待を遥かに上回るピッカピカのNM盤。更に驚いたのは同じレコード・ジャケットが2つも送られてきたことで、もちろんどちらも美麗コーティングを施された本物のUKオリジナルだ。何かワカランけど、とにかくめっちゃエエ買い物をしたことだけは確かなようだ(^.^)
 音質はとにかく素晴らしいの一言で、CMのキャッチコピーではないが、まさに “コクがあるのにキレがある” という感じ。中でも一番ビックリしたのが「ジョンとヨーコのバラード」で聴けるポールのベースで、まるで弦の太さが一回りも二回りも太くなったかのような凄い音がアルテック・ヴァレンシアの30cmウーファーから飛び出してくる。「レディ・マドンナ」のピアノのアタック音は鮮烈そのものでこの曲の疾走感アップに大きく貢献しているし、「ヘイ・ジュード」の聴く者を包み込む雄大なスケール感も圧巻の一言(≧▽≦)  モノラル派の私でさえも思わず唸ってしまうような素晴らしいステレオ・ミックスだ。海外のサイトでこのレコードを “Superb Audio!!!” と評してあるのを見たことがあるが、大いに納得(^o^)丿 US盤を始めとして「ヘイ・ジュード」のアルバムは何種類も持っているが、この UK盤の濃密でゴージャスなサウンドは唯一無比だと思う。