shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ジョンのUKシングル盤特集④

2016-01-31 | John Lennon
①(Just Like) Starting Over (K79186)
 「ダブル・ファンタジー」の “ネイキッド” なミックスで構成された企画盤「ストリップト・ダウン」に入っているこの曲のヴァージョンは例の鐘の音(←どう考えてもアレは仏壇に線香をあげてるみたいでシャレにならんわ...)の代わりに “This one's for Gene and Eddie and Elvis... and Buddy.” というジョンの語りで始まる。つまりこの曲はジーン・ヴィンセント、エディ・コクラン、エルヴィス・プレスリー、バディ・ホリーらが活躍していた古き良き50年代へのジョン流のオマージュであり、特に歌唱法なんかもうプレスリー丸出しだ(^.^) 私見だが、ディスコやフュージョンといった軽薄な音楽が蔓延した70年代が終わり新たに80年代を迎えるにあたって、ジョンはもう一度50年代のような “心に響く” 音楽に立ち返ろうと言いたかったのではないか。そのためのスターティング・オーヴァー... つまり音楽的な再出発を高らかに宣言したのがこの復帰第1弾シングルなのだろう。それにしてもジョンはホンマにエエ声してるなぁ... (≧▽≦)
 ゲフィン・レコード移籍後のジョンのアナログ・シングルはすべてピクチャー・スリーヴ付きなのだがランオフ部分のマトリクスがイマイチよく読み取れない。45catという専門サイトで調べたら私が買ったのは1stプレスらしく、実際にCDやオリジナルLPよりも押し出しの強いごっつい音が聴けて大満足(^o^)丿 購入価格は£2.99(約500円)だった。
john lennon just like starting over


②Woman (K79195)
 ジョン・レノンのソロ作品には非常に個性が強くてジョンにしか歌いこなせないような曲が少なくないが、この「ウーマン」はスタンダード・ソングと言っても過言ではないくらいの美しいメロディーを持った曲だ。そういう意味ではビートルズのアルバムに入っていても何らおかしくないような、万人ウケする名曲と言えるだろう。ただ、曲想やアレンジがジョンにしては “優しさ”"甘さ” に流れ過ぎではないかというの気がしないでもなかったが、このアナログ・シングル盤を聴いて印象が変わった。バックの女性コーラスは相変わらず甘ったるいが、下の方までズゥ~ンと伸びたベースとドラムの重低音がその甘さをキリリと引き締めて絶妙なバランスを保っているのだ。念のためにCDを引っ張り出してきて聴いてみると耳に馴染んだ平板な音(笑)で、音の厚みはシングル盤の足元にも及ばない。オリジナルLPの音はさすがにCDよりはずっとマシだが端正に整いすぎの感は否めない。大袈裟ではなく、7インチ盤特有の “生々しくて分厚い音” がこの曲の “優しさ” をより引き立てているような感じがする。ビートルズのメンバーのソロ作品をUKシングル盤で揃えようという企画はやり始めた当初は無謀に思えたが(←ポールだけで30枚以上あったし...)、今となっては “やってよかったー\(^o^)/” というのが正直な感想だ。この盤もピクチャー・スリーヴ付きで、購入価格は£3.96(約660円)だった。
JOHN LENNON.,WOMAN


③Nobody Told Me (POSP700)
 1984年に未発表音源集「ミルク・アンド・ハニー」がリリースされると知った時、まだジョンの死のショックから立ち直っていなかった私は複雑な気持ちだった。ジョンの新曲が聴けるという嬉しさの反面、彼の声を聴いただけで当時の辛い思いがよみがえってくるのではないかと怖かったからだ。実際に聴いてみると、亡くなった肉親が生前に遺してくれたメッセージを聞いているような感じで、特にジョンが優しく語りかける「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」なんかはもう泣けて泣けて仕方なかったが、アルバム全体としては(←もちろんジョンのパートしか聴いてないけど...)「ダブル・ファンタジー」よりも快活な感じで躍動感に満ちており、溌剌としたジョンの声が聴けただけで大満足だった。
 だからアルバムからのリード・シングルであるこの「ノーバディ・トールド・ミー」もめちゃくちゃ聴きまくった。出だしの “みんな talk はしてるけど、say a word はしていない” という鋭い一節からして痛快そのものだし、言葉遊びの中に社会風刺をふんだんに盛り込んだ歌詞をシンプルなロック・サウンドに乗せて歌うという、まさにジョン・レノン健在なりといえる1曲だ。特にサビの “Nobody told me there'd be days like these... strange days indeed♪”(こんな時代がやってくるなんて誰も教えてくれなかった... 変な時代だよ、まったく...)のラインが耳にこびり付き、 “そーかそーか、ジョンも70年代後半の空気には違和感を感じてたんやなぁ...” と我が意を得たりという感じだった。
 去年手に入れたこのUKアナログ・シングルはポリドールの青レーベルで、購入価格は£1.99(約330円)だった。
Nobody Told Me - John Lennon