さあ、今日からいよいよイエロー・モンキーのアルバムを大特集だ。まずは彼らがメジャー・デビュー前に拠点としていたライヴハウス、ラ・ママのインディーズ・レーベルである ENGINE からリリースしたアルバム「Bunched Birth」からいってみよう。
私は最初このアルバムの購入を迷っていた。見ての通りジャケットはエグいし、デビュー前のインディーズ盤やし、有名曲は入ってないし、7曲しか入ってないのに結構な値段はするしで二の足を踏んでいたのだ。
しかし、オリジナル・アルバムを全て揃えた後に買ったライヴ盤「SO ALIVE」の最後に隠しトラックとして入っていた「Welcome To My Doghouse」を聴いてそのカッコ良さに痺れた私はその曲のオリジナル・ヴァージョンがこのインディーズ盤に入っていたことを思い出し、慌ててアマゾンでチェック。このアルバムには1991年にリリースされたオリジナル盤と1996年にリリースされた再発盤の2種類があり、オリジナルはプレミアが付いててとてもじゃないが買えないし、再発盤も以前見た時は2,500円ぐらいしていたのだが、たまたまタイミングが良かったのか、送料込みで920円という真っ当な値段で買うことが出来た。
まず目を引くのが左半身が男性で右半身が女性という両性具有のイラスト・ジャケットだ。シルクハットとファーだけを身につけ、不敵な笑みを浮かべたその表情が何とも不気味。しかもその姿を柵の外からギャング団みたいな男達が見ているという実にシュールなもので、アングラな雰囲気に溢れている。
アルバム・タイトルの「Bunched Birth」はよく“集中出産”と訳されているが、それでは何のことやらサッパリ分からない。確かインタビューか何かで吉井さんが “性別も善悪も人間の感情も音楽ジャンルも、それら全てを束ね合わせて一つの塊にしたアルバムの誕生” みたいなことを言っていたように思うが、中々意味深なタイトルだ。
全体の印象としては、アクが強くて下世話、煌びやかで妖しい音世界が繰り広げられるというインディーズ・アルバムのお約束のような感じなのだが、アルバムに漂う独特の空気感は彼らがメジャーになっても基本的には変わっておらず、その “イエロー・モンキーらしさ” を貫き通したまま10年後には東京ドームを満杯にするまでになったのだから凄いとしか言いようがない。
もちろんこのアルバムの時点ではまだまだ “吉井和哉とそのバックバンド” 的な色合いが濃いが、垢抜けない部分はその卓越した音楽センスで十分カバーされているし、バンドの勢いという点では彼らの全アルバム中でも群を抜いているように思う。それにしても吉井さんの声、めっちゃ若々しいなぁ... この鼻にかかったような艶かしいヴォーカルが、アルバムの変態チックな雰囲気(笑)をより強めている。
内容は全7曲30分そこそこのミニ・アルバム的なもので、初期デビッド・ボウイ系のディープで耽美的な①⑤⑦、T.REX 系ノリノリ・グラム・ロック③⑥、そして “これぞイエロー・モンキーのロック!” としか言いようのない②④という構成だ。
で、まずは何はさておきこのアルバムを買うきっかけになった②「Welcome To My Doghouse」である。イエロー・モンキー伝説はまさにこの “犬小屋” から始まったのであり、休止前のドーム公演のラストを飾ったという点でも、彼らにとって “最初で最後の曲” であるこの “犬小屋” は大きな意味を持った1曲と言っていいだろう。
一聴してわかるように初期イエロー・モンキーの攻撃性が一気に爆発したような実にスリリングな演奏で、 “華やかに見える道化師の 黒い見世物小屋へようこそ~♪” と強烈な毒を撒き散らし、 “空は今 何色なの? ここから早く出たいよ~♪” と犬小屋、つまりアンダーグラウンド・シーンからの脱出を狙って吼えまくる。
ギターのプレイも一段とアグレッシヴでディストーションも心なしかギラギラしているように聞こえるし、ゴールデン・イヤリング(←オランダのロック・バンドです...)の「トワイライト・ゾーン」みたいなヒーセのベース・ソロも文句なしにカッコイイ(^o^)丿 うねるようなグルーヴを生み出すアニーの剛腕ドラミングは野性味に溢れているし、吉井さんが叫ぶように繰り返す “ベイベー” という声も情感たっぷりで、聴く者の心にグイグイと食い込んでくる。特にライヴでのテンションの高い演奏は必見で、凄まじいまでのパワーに圧倒される。原始的なエネルギーの爆発... まさにロックンロールの原点を思い出させてくれるような、イエロー・モンキー屈指の名演だ。 (つづく)
WELCOME TO MY DOG HOUSE
私は最初このアルバムの購入を迷っていた。見ての通りジャケットはエグいし、デビュー前のインディーズ盤やし、有名曲は入ってないし、7曲しか入ってないのに結構な値段はするしで二の足を踏んでいたのだ。
しかし、オリジナル・アルバムを全て揃えた後に買ったライヴ盤「SO ALIVE」の最後に隠しトラックとして入っていた「Welcome To My Doghouse」を聴いてそのカッコ良さに痺れた私はその曲のオリジナル・ヴァージョンがこのインディーズ盤に入っていたことを思い出し、慌ててアマゾンでチェック。このアルバムには1991年にリリースされたオリジナル盤と1996年にリリースされた再発盤の2種類があり、オリジナルはプレミアが付いててとてもじゃないが買えないし、再発盤も以前見た時は2,500円ぐらいしていたのだが、たまたまタイミングが良かったのか、送料込みで920円という真っ当な値段で買うことが出来た。
まず目を引くのが左半身が男性で右半身が女性という両性具有のイラスト・ジャケットだ。シルクハットとファーだけを身につけ、不敵な笑みを浮かべたその表情が何とも不気味。しかもその姿を柵の外からギャング団みたいな男達が見ているという実にシュールなもので、アングラな雰囲気に溢れている。
アルバム・タイトルの「Bunched Birth」はよく“集中出産”と訳されているが、それでは何のことやらサッパリ分からない。確かインタビューか何かで吉井さんが “性別も善悪も人間の感情も音楽ジャンルも、それら全てを束ね合わせて一つの塊にしたアルバムの誕生” みたいなことを言っていたように思うが、中々意味深なタイトルだ。
全体の印象としては、アクが強くて下世話、煌びやかで妖しい音世界が繰り広げられるというインディーズ・アルバムのお約束のような感じなのだが、アルバムに漂う独特の空気感は彼らがメジャーになっても基本的には変わっておらず、その “イエロー・モンキーらしさ” を貫き通したまま10年後には東京ドームを満杯にするまでになったのだから凄いとしか言いようがない。
もちろんこのアルバムの時点ではまだまだ “吉井和哉とそのバックバンド” 的な色合いが濃いが、垢抜けない部分はその卓越した音楽センスで十分カバーされているし、バンドの勢いという点では彼らの全アルバム中でも群を抜いているように思う。それにしても吉井さんの声、めっちゃ若々しいなぁ... この鼻にかかったような艶かしいヴォーカルが、アルバムの変態チックな雰囲気(笑)をより強めている。
内容は全7曲30分そこそこのミニ・アルバム的なもので、初期デビッド・ボウイ系のディープで耽美的な①⑤⑦、T.REX 系ノリノリ・グラム・ロック③⑥、そして “これぞイエロー・モンキーのロック!” としか言いようのない②④という構成だ。
で、まずは何はさておきこのアルバムを買うきっかけになった②「Welcome To My Doghouse」である。イエロー・モンキー伝説はまさにこの “犬小屋” から始まったのであり、休止前のドーム公演のラストを飾ったという点でも、彼らにとって “最初で最後の曲” であるこの “犬小屋” は大きな意味を持った1曲と言っていいだろう。
一聴してわかるように初期イエロー・モンキーの攻撃性が一気に爆発したような実にスリリングな演奏で、 “華やかに見える道化師の 黒い見世物小屋へようこそ~♪” と強烈な毒を撒き散らし、 “空は今 何色なの? ここから早く出たいよ~♪” と犬小屋、つまりアンダーグラウンド・シーンからの脱出を狙って吼えまくる。
ギターのプレイも一段とアグレッシヴでディストーションも心なしかギラギラしているように聞こえるし、ゴールデン・イヤリング(←オランダのロック・バンドです...)の「トワイライト・ゾーン」みたいなヒーセのベース・ソロも文句なしにカッコイイ(^o^)丿 うねるようなグルーヴを生み出すアニーの剛腕ドラミングは野性味に溢れているし、吉井さんが叫ぶように繰り返す “ベイベー” という声も情感たっぷりで、聴く者の心にグイグイと食い込んでくる。特にライヴでのテンションの高い演奏は必見で、凄まじいまでのパワーに圧倒される。原始的なエネルギーの爆発... まさにロックンロールの原点を思い出させてくれるような、イエロー・モンキー屈指の名演だ。 (つづく)
WELCOME TO MY DOG HOUSE