来週土曜日(20日)の熊本史談会で、森鴎外著「興津弥五右衛門の遺書」引用史料の虚構と真実を担当しお話するために、その著の「初稿」「二稿」を精読を始めた。
「二稿」は本を持っているが、「初稿」は「青空文庫」のお世話になっている。
又初稿の典拠となった「翁草」と照らし合わせてみると、翁草自身が細川三斎忠興の三回忌の年月を間違えたりしているが、ほぼほぼ全体の話のつじつまは合っている。
一字一句とはいかないが、精読していると、長編小説ではないのだが時間もくうし、草臥れてしまう。
ただ寛永元年に横田清兵衛を殺害したという「初稿」「二稿」の時代設定が間違っているため、この小説全体の形が虚構となってしまっている。
殺害の原因となった、細川家と伊逹家の入札で争ったという事実は、細川家・伊達家資料で否定されている。
虚構だと思いながら読むと、何とも虚しさを感じてしまうのが正直な感想である。
「真実は小説より奇なり」といえるこの内容を、どう皆さんに判りやすくご説明しようかと考えていると、残り一週間は胃痛ものだが、三四日で声を出しながら精読したいと思う。
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