■健軍窯・近重治太郎先生御作

　　　　　　　　　　

　私が茶道肥後古流を勉強していた時代、健軍窯の窯元であり肥後古流の教授であられた近重治太郎先生御作の平茶碗を手に入れることができた。
違う社中の男性諸氏との交流が「お茶」ならぬ「おちゃけ（酒）」で深まったことが、15年ほどお稽古を続けることができた。
社中は違えど、お茶会などで先生にもいろいろお教えいただいた。
御茶碗は数点持っていたが、地震の折割れたものもあり、2021：2：25■願望を書いた通りだが、高麗手・三島手とはいかなかったが、懐かしい近重先生の御作を手に入れるまで3年経過してしまった。
御抹茶と新しい茶せんを購入して、お薄を一服楽しみたいと思う。

■井門宗中覚書（2）志方半兵衛のこと‐１

　志方半兵衛については、「宇土支藩初代・行孝公」で触れたが「志方半兵衛御暇申上候故、願之通御暇被下候得共、不届之子細在之ニ付、
行孝公ヨリ身上御構被成、熊本江被召出候事も不被為成、御扶持方被下一生埋レ罷在候也」とあるが、この井門宗中覚書によると、その一
端をうかがい知ることができる。
志方家にとっては不幸な結果となった。しかしながら、志方家が本藩にあって大きく枝葉を広げていることは周知のことである。

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一、宮松様御事宇土へ御所替之儀被仰出相済候時分、志方半兵衛事御暇申上候覚語（悟）ニテ長岡勘解由・丹羽亀之允迄申込、此段　肥後
　　守様被聞召上色々御留被成候得共、達テ御暇之儀申上候。肥後守様御意ニハ、段々半兵衛申所被聞召候。三斎様御代ヨリ御奉公、其上大
　　阪御陳之刻茂首尾能御取立之者之事ニ候得は、他国へ被遣候事惜ク被思召候。先ッ他規矩ヘハ被遣間敷候条、従　肥後守様五拾人扶持被
　　下置高瀬ニ召置候。其内段々御仕置共被仰付候由ニ而、牧猪之助為御使江戸へ被差越八代之御仕置之様子、并長岡河内（村上景則）浪人
　　　被仰付候一巻、志方半兵衛ハ何とそ宮松よりもにくみも在之候や、同は肥後守様江被召仕度被思召候。然共にくみも在之者ヲ可被召出ニ
　　テハ無之候間、有之侭ニ申上候様ニと、猪之助を以被仰出候。其外之御用共一々奉得其意候。御用之儀不残堀田加州（正盛）様江文三郎
　　参上、右之次第可申上旨　御意ニテ、福知主膳、沖津弥五右衛門、文三郎三人江御書被成下候。此御請ニ不残奉得其意候。半兵衛儀ハ
　　宮松ニ對シ段々不届之儀御座候得共、兎角可申上無御座候。御意次第ニ候。然共有之侭可申上旨被仰出候ニ付、右之通申上候、と猪之助
　　迄右之御請を申上候。右翌戌ノ年（正保三丙戌年）之春　肥後守様御参勤之上、於上屋敷長岡勘解由小屋へ佐方源右衛門、文三郎両人共ニ
　　参上、勘解由ヲ以被仰出候趣ハ、志方半兵衛儀先年御尋候得は、帯刀（宮松）大キニにくみ在之様ニ申候ハ如何様之事ニ候や。三斎様已
　　来御代之者之事ニ候得は他国江被遣候義ハ惜敷被思召、帯刀へ帰参之儀色々被仰聞候へ共承引不仕候。然上ハ　肥後守様江被　召出度被思
　　召候条、半兵衛不届帯刀にくみえ所存之侭ニ申上候様ニとの御意ニテ、又勘解由自分として被申候ハ、半兵衛今度御暇申上候。段々有馬
　　已来中務殿江不足之一々我等能承置、いかにも至極之義とも、然上は其方とも江ケ様ニ被入御念被仰出ニ不及儀候。定而御尤至極と御請可
　　申上外ハ存之間敷候。然共又各分別モ有之事ニ御座候ハ申上候様ニと被申候。源右衛門・文三郎右段々承、其内文三郎罷出申候は、被仰
　　出之義茂源右衛門差置私之罷出御請申上候段、遠慮ニ奉存候得共、此一巻ニ付テハ源右衛門義曽テ前後不存事ニ候得は、御請可申上様も
　　御座間敷候。然上ハ乍推参私御請可仕ト奉存候。サレトモ於此義は心侭ニ難申上候事共御座候恐ヲ御免被遊候は、具ニ申上度候。此段如
　　何可有やと申候得は、勘解由被申候は、左様之所ニ毛頭遠慮仕候而は埒之不明事ニ候。有之侭ニ申上候得、との義ニ御座候。扨申上候ハ、
　　半兵衛一巻帯刀ニ對シ大ニ不届千万之義、従帯刀幼少ニ而左様之所不仕候とても、具ニ被聞召候ハ　肥後守様御意迄茂無御座各様ヨリ曲事
　　　　ニ被仰付候ハ而不叶者ニ而候。侍之依怙を違、幼少の主人ヲ後ニ仕、果候中務遺言ヲ反故ニ致、手前之立身を可仕覚悟之所は、城之さま
　　をくゝり申同前之儀ニ存候。其子細ハ、中務被果候刻、佐方与左衛門、志方半兵衛、福知主膳、此三人世忰宮松事随分精ヲ出取立候様ニ
　　ひとへに此所頼被申候との事、此義文三郎早々罷下聞候ハテ不叶事ニ候得共、　公儀江被差上候御遺物之儀ニ付、私儀即時ニ罷下候儀難成
　　候ニ付、早飛脚ヲ以遺言之荒増右三人処江申遣候處、同意ニ何茂謹而奉得其意候との事ニ而、与三衛門手跡ニ而一通差越候。其後罷下候刻与
　　三衛門宅ニ而両人江、右之段々最前書状ニ申遣候へ共、弥以為念直ニ申渡候、と申聞せ候得は両人共ニ奉畏候。其内半兵衛儀は近年御前之
　　段茂如何可有御座やと氣遣奉存候所、与左衛門、主膳同前ニ宮松様江奉公申上候様ニとの事如何様共奉得其意候と申。サテ与左衛門義は
　　猶以少モ違背仕間敷との返答仕候。江戸へ参比首尾　肥後守様江具ニ申上候。然所八代ヨリ宇土へ所替被　仰付、帯刀儀手セばにも被罷
　　成候付、時節柄、其上遺言申渡候ハ私ニ而御座候得は、若輩者何ヲカ申候と心得候哉や、中務江之不足有之ニおゐてハ最前遺言之段書中ニ
　　　而申遣、又直ニ申渡候時は無別心奉畏、至只今違背之覚悟、帯刀手前ハ捨候而茂　肥後守様江申上候ハ心侭ニ可被　仰出と奉存候所ニ、い
　　かに帯刀幼少ニ而茂不覚悟難忘事ニテ、遺言申渡候私身ニ罷成候而は如何可有之や。　肥後守様御意之無御座者ニ而御座候は何之遠慮御座候
　　而助置可申候や、此段々私申上候所毛頭御不審、無御心元義も御座候ハ、半兵衛義被召寄私罷出、勘解由前ニテ右段々之首尾半兵衛ニ申聞
　　せ、乍此上半兵衛利分之儀ニ相極り候は、其座ヲ罷立不申如何様之曲事ニも被仰付御尤欤。半兵衛非分ニ罷成候ハ帯刀にくみの場ニも不参、
　　尤私子規之申分ニも曾而不非事、　肥後守様被仰付次第之儀奉存候。然は是非御穿鑿之被仰付能茂無御座候。