一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

Roman Holiday

2012-05-10 18:21:51 | 芸術


     いわずと知れた「ローマの休日」である。
     連休の1日、Holidayらしきものと思って、鎌倉の街に
     出たついでにふらっと寄ってみたのだった。
     雪の下にある川喜多かしこ夫妻の記念館にはミニ映画館
     があり、内外の名画をやっている。
     (有名な映画はすぐいっぱいになる)

     これは20代のときに一度みていて、正直いまさら、と
     いう気がしないでもなかった。
     チケットを買った時点でもまだ迷っていて、何故なのか
     自分の気持ちに問うてみると、若き日にもどって一瞬で  
     もあの青臭い日々がよみがえるかと思うと、いまさら
     ご免!という感じなのだった。

     ところが、やはりみてみないと分からないものである。
     20代にみたときは、ある小国の王女とアメリカの新聞
     記者とのあり得ない恋物語にばかり視点がいって、
     切なさがつよく印象に残っていた。
  
     そして40年以上経った今、まぎれもなくコメディー映画
     であった。それも上質の。
     アン王女の一晩のアバンチュールもコメディーだし、国か
     らの使いから逃げまわるところなんか、それ以外の何もの
     でもない。
     それに最後の王女記者会見も……。
     (互いに素性が分かった後でも、周囲に気づかれないエス
     プリの効いた会話)

     ようやく追跡からのがれて記者の安アパートに帰った2人
     は、ふと惹かれあって…………。
     そのときのセリフがふるっている。

     王女「料理がしたくなったわ」
     記者「(このアパートには)キッチンないよ」
     王女「不便でしょ」
     記者「ままならないのが人生さ」
       …… ……
     記者「引っ越そうか。キッチンのあるところへ」
     王女「そうね」

     引っ越すなんてあり得ないし、アバンチュールもそろそろ
     終わりに近づいていることを知っている2人の会話である。
     
     この場面でこのセリフ。
     「ままならないのが人生さ」
     このセリフのツボにはまるあたり、やはりこちらの年齢の
     せいかも知れないけれど。

     
      

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