1月に入ってジブリ作品「かぐや姫の物語」
の映画をみた。
ゆるやかな音楽とわらべ歌ではじまったが、
最初から「姫の犯した罪と罰」という副題
が気になった。
ある日、翁は竹を取りにいって光る竹から
愛らしい赤ん坊を見つけた。
抱いて帰ると、媼も大喜び。
「でもどうやって育てるの」
あらら不思議、もう年寄りの部類に入る媼
の胸がウ、ウ、ウとうずき乳が出始めた。
(一説には乳母を見つけたという説もあるが)
かぐや姫はたった3ヵ月で美しい娘に成長
した。
その間、翁が竹やぶにいくたびに小判が
ざっくざっく入り、いちやく金持ちになっ
た一家は都に引越すことに。
すると娘の噂を聞きつけた男どもが次々と
現れ、いずれも吾こそは娘の婿にふさわし
いと求婚をはじめた。
嫁になどなる気のないかぐや姫は5人の男
に無理難題を吹きかける。
ここらあたりはご承知だと思うので省くが、
なんと男たちは娘に提示された無理難題を
手にするために一人残らず死んでしまう。
「姫の犯した罪」とは何か。
欲望をむき出しにした男たちを死にやった
ことだろうか。
そうではあるまい。
もう一つ、帝から求婚されていたのです。
入内すれば翁(父)も官位を受けるという
もので、これを拒めばどういうことになる
でしょう。
姫は憂鬱でした。
あかるい秋の夜、もろもろの思いに心囚わ
れ、ぼんやり縁先に立ち……。
姫は何年というものほとんど外出していま
せんでした。家の外には美しい姫を一目
見ようとする輩がうろついているからです。
あまりの気持ちのよさに垣根の萩の花に
ふらふらと近づいたところで、
姫はふと袂をとらえられ、抱きすくめ
られていました。
目の前には人の顔、それも男の顔が迫って
いた。思わず片手で顔を蔽いましたが、
そのときはじめて、自分の胸がはげしく
高鳴っているのに気づいたのです。
その場は目をつむって消えうせるという術
をつかって難なく逃げおおせたのですが、
そう、姫の「罪」とは男女の性愛を(意識
だけでも)知ったことでしょう。
かぐや姫は悟りました。
こんどの満月の晩に月に帰らなければなら
ないことを。
思えば、地上にあった20年ちかい年月の
うち、翁、媼とともに幸せだったのは、
最初の3ヵ月にすぎません。
成人したとたん受難がはじまりました。
かぐや姫はこの世の富や欲望、男女の性愛
といった問題に直面するために人間界に
堕されたにちがいありません。
これこそ、姫の「罰」というのでしょう。
最後のシーン、月から迎えにきて涙を流す
姫。使者のもってきた羽衣をかければ
姫の地上での記憶も失くなってしまうので
す。
音楽とゆったりしたわらべ歌がながれ、
このシーンでは涙が出ました。
観てすぐよりもしばらく経ってからいろ
いろ考えさせられるアニメ映画です。
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