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ひこばえ農法の探求 続き

2024-06-13 04:02:38 | 楽観農園

 1番田んぼのひこばえの稲刈り後の様子。左側にあるのが学校田。2回目のひこばえを進める。

 色々の条件を比較しながら、ひこばえ農法を探求して行きたい。まだまだ、分らないことだらけだが、いくつか見えてきたことはある。中間段階として、整理しておく。この先ひこばえ農法が完成したときには、間違えだったと言うことになるかも知れないが。


  「ゆがふもち」のひこばえがどんどん大きくなっている。稲刈り後2週間少しでここまで大きく成長している。追肥も入れてない。40㎝角植えで、元気だった稲はひこばえにも勢いがある。この調子なら、それなりに取れそうな気がする。

〇ひこばえについて考えていること
1,満作の稲を作らなければ、しっかりしたひこばえが芽生えることはない。
2,年に3回稲作をするばあい、40㎝角植えぐらいが、作業効率が良さそうだ。
3,追肥をこまめに行う必要があるが、その時期が問題。
4,稲刈り時期をそろえるためには、刈り戻しをやった方が良いのかどうか。
5,土壌が腐敗傾向になりやすいので、出来れば流し水を行う方が良い。
6,品種の選定が重要。ウイルス病の耐性が必要。とよめきはだめだった。
7,うるち米では「台光」が現状ではそこそこである。
8,栽培しやすい台中65号を試食してみて、美味しいものであれば試みたい。
9,コロガシを入れることが、根を切ることになり、良いことかどうかは分らない。
10,藁をそのまま田んぼに戻すよりも、藁を堆肥化して戻す方が良い選択になるだろう。


 ゆがふもちの6月12日のひこばえ。

〇ひこばえ農法の質問
  1. 有機肥料の場合、ひこばえに対する追肥は何時、どうすれば良いか。
  2. ひこばえを連続してやる場合、田んぼの腐植はどのように増やせば良いか。
  3. コロガシで抑草と土壌の活性をするが、ひこばえに問題は無いか。
  4. 石垣島では13枚しか稲に葉がつかないが、どういう原因か。
  5. 石垣島の亜熱帯気候で。気候に適合する日本で手に入るうるち稲品種はあるのか。
  6. 茎の中央から出てくるひこばえと脇から出てくるが、問題にしなくて良いのか。
  7. 石垣島では稲が満作にならないが、満作にならないでもひこばえは可能か。



 一緒にやってきたつもりで居たHさんから、こんなアテモ無いことをしていても無駄だと言われた。大学や研究所でひこばえの研究をしているから、それを捜して学ぶ方が良いと言うことで、農研機構でひこばえを研究されている中野さんを紹介された。

 もし、大学や研究所でひこばえを有機農業で研究しているところが、1カ所でもあるなら教えを請いたいとはおもうが。日本では大規模機械農業は研究されているが、有機農業のまともな稲作の研究など、MOAの国際研究センターぐらいしか研究をしていない。MOAではひこばえの研究はない。

 ひこばえの研究を捜しているつもりだが、ひこばえで1年で3回の収穫をしたところは、のぼたん農園だけである。今年は連続4回の収穫を目指すつもりでいる。飼料米ではなく、食べるためのうるち米をひこばえで作る研究は、日本ではやられていないと思う。



 有機農業と一般の稲作では農法が違う。肥料の与え方でも、病気の対応でも、有機農法でやる場合、雑草対策や病気対策で、問題が色々出てきて難しいところがある。また石垣島では稲が満作にはならない。満作にならない稲ではひこばえは難しいだろう。

 のぼたん農園での体験では、一期作よりも、ひこばえの方が収量が増えることは確かだ。2度経験している。ただし、1期作も収量は低い。40㎝角植えだからだ。普通の植え方に較べて株数が半分以下である。しかし下部は大きく育つ。有機農業で行うひこばえ農法では、一回に多く取らないで、連続収穫する方が良さそうである。

 世界中の研究所も大学も、化学肥料と農薬の農業ばかりだ。世界中に有機農業でひこばえを研究しているところはないと考えるほか無い。そうであれば、自分たちで試行錯誤するほか無い。世界の研究者の農業に対する意識は、現状依存である。この先100年もすれば、有機農業だけになると考えている。

 自給農業にはひこばえ農法が有効だと思うからだ。今年は4回連続収穫を目指している。全く十分に稲が出来ないで歯がゆいのだが、石垣島で満作にイネ作りをするところから、始めるほか無いのだろう。まず品種を見付けることだろう。

 誰かがどこかでひこばえを研究しているのであれば、是非とも教えて貰いたい。分らないところだらけなのだ。私の目的は稲作を始めてから、40年変わったことが無い。「有機農業で行う自給農業の探求」である。石垣島に来てひこばえ農法にとりかかった。理想の自給農業が実現できると思えたからだ。

 自給農業業に最初からこだわったのは、この先日本に残るのは企業的大規模農業と、小さな自給農業だけだと農業を始める前から、考えていたからだ。40年前に考えたその予測通りに変化している。中山間地の農業は大規模機械化が出来ないため放棄され、荒れ地が広がると考えてきた。これも予測通りだった。

 だからこそ自給農業をする人間が、条件の悪い中山間地の農地を維持する必要がある。そうしなければ地方は消滅し、環境の調和が崩れる。採算は合わない農業であるが、自給のために行うのであれば、むしろ中山間地の農地は素晴らしい場所になる。

 そもそも日本の稲作は小さな百姓が、作り上げたものだ。研究者が作ったものではない。日本での稲作の研究者は篤農家と呼ばれた。境川村にもそういう人がいて、誰もが気軽に分からないことは教えて貰っていた。苗作りなど指導に来てくれていた。油川のおじさんはそういう人だった。

 研究者は農業の大規模化や、化学肥料や、農薬は大いに研究しているのだろうが、採算の合わない、小さな自給農業に関しては全く研究などしない。沖縄県には沖縄県に合う品種が必要だろう。所がそんな研究は誰一人やろうともしない。日本の稲作研究はここまで後退したのだ。

 沖縄に合う品種は、沖縄の百姓自身が捜すしかない仕事になっている。何しろ沖縄の奨励品種は東北で出来た寒冷地ようのお米なのだ。調査研究した結果それしかなかったのだ。極めて作りにくく、葉は本来15枚出る品種にもかかわらず、13枚しか出ないのだ。

 どうすれば15枚出る栽培が可能か、まだ分らないところだ。ジルカスでも、県の農研センターでも分らないで済まされている。私は分らないで済ますつもりはない。 ひこばえ農法を誰にでも可能な、再現性のある農業技術にするまでやるつもりだ。出来ると信じている。

 私は微力ではあるが、のぼたん農園で、ひこばえ農業が出来る品種。15枚葉の出る沖縄の気候に適合する品種。有機農業に向いている品種。畝取りが可能な品種を捜そうと考えている。何度も書くが、どこかでひこばえの研究をやっているという人がいるのであれば、是非とも教えて貰いたい。

 のぼたん農園を初めて、まだ2年半である。随分長い年月が過ぎたような気がしている。歳をとると月日の経つのが早くなると言うが、むしろ時間はなかなか過ぎようとしない。一年3回の収穫をしていると、小田原にいる頃よりも1年が3倍に長くなったように感じる。

 のぼたん農園の農業は初めての体験ばかりだ。ドキドキしながら発見を繰り返している。これがおもしろくて仕方がない。もっと時間が欲しい。小田原で有機農業で畝取りを目指したときも同じだった。田んぼに入り浸って、観察し、長い年月をかけて実現した。

 諦めなければ必ず実現できる。今回は田んぼの脇に椅子を用意した。椅子に座って、田んぼを眺めて考えている。長い時間ひこばえの様子を見ていると気づくこともある。稲と話し合うことが一番楽しいし、未来が見えてくるような気になる。のぼたん農園の、下の田んぼに居ます。いつでも誰でも来て下さい。
 
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