JL971便6時25分発 10時着 羽田→石垣線 私が一番好きな飛行機便だ。特に冬の間はこの便に乗ることにしている。10時に石垣に着けば、普通の一日として有効に使えるのもいい。そして、乗るのであれば、必ず右側の窓際の席にしなければならない。








この景色を見たくて、JL971便にのる。冬期の青天であれば、これ以上はないだろう山岳風景に出会うことが出来る。この景色を目に焼き付けて、山の絵を描いている。富士山の絵もそうだ。少し上から見た富士山の姿は特別なものに見える。山の形を見ることの出来る飛行航路だ。
俯瞰で見る山の形に引き込まれる。自分の絵の世界に入り込んでしまう。別段上から見たように、山を写して説明をするという意味ではない。山が自分のものになる感じだ。自分の中に山が入れば、後はどう描こうと自分の山になるわけだ。だから、飛行機から山を見ると言うことは、応えられない面白さだ。
今回は白山と思われる山までかすかに見えたような気がした。すぐに雲に隠れてよく確認までは出来なかった。八ヶ岳が富士山の隣によく見えた。甲斐駒から南アルプスの連山が、光岳まで見事に連なっていた。北アルプスが多分北の剱岳から南の乗鞍岳までつながり、少し離れて、木曽駒に飛んで中央アルプスと思われる山も見えていた。
多分その半分くらいの山には登っている。実際には縦走で通った山と言うことなのだが、もう登ることは出来ないが、こうして上から眺めることは出来る。北岳に登ったのは畠山君と一緒の高校生の時だ。八ヶ岳の縦走はまだ中学1年生の世田谷中学の登山だった。62年も前のことになる訳だ。
この早朝便に乗るためには、6時前に羽田に着かなければならない。蒲田に泊まることにしている。京急蒲田5時19分が始発で、5時29分に羽田に着く。これだと羽田で大分余裕がある。次の5時25分で羽田5時35分なのでこれでも十分時間がある。京急蒲田から10分で羽田に着く。
本当は小田原4時30分発で羽田に5時54分である。これでもなんとか乗れるのだ。しかし、この場合、4時にタクシーを頼まなければならない。3時に起きなければならない。しかもギリギリの出発まで30分しかない。何かあれば乗り遅れる。といいながら、本当のところ蒲田に泊まりたいのだ。
蒲田は今でもなかなか面白い街である。昔はもっと良かったのだが。前の晩に蒲田の飲み屋で飲めるのも、かなりの楽しみである。チープな一時代前のような飲み屋がある。あの場末感はなかなかである。ああいう場所で一人飲む酒は、しみじみ飲んで、酔い潰れる。気分が悪くない。
どうも自分が安物だから、そういう安っぽい所だと落ち着くのだろう。高級ホテルのラウンジとか、気取ったバーとか、高級レストランとか、行ったこともないし、行きたくもない。大嫌いだ。場末ぽい飲み屋で飲んだくれて帰るのが、カプセルイン蒲田である。
カプセルイン蒲田のキャビンタイプは4100円である。なぜかカプセルだと家よりもよく眠れる。もちろん、サウナがあるからだ。乾燥サウナと蒸気サウナのサウナが2つある。どちらも100度はある。そして何より空いている。なぜあんなに充実したサウナが空いているのだろうか。
キャビンタイプだと小さな机があり、パソコンが使える。ルターを借りないとならないのが欠点。ルターの不調があるのだが、使えれば良い。羽田に遅く着いたときも、ここに泊まるのが一番良い。12時5分が羽田からの最終電車である。遅く着く飛行機でも全く問題がない。羽田からすぐ着くので実に便利だ。
羽田にもサウナカプセルがあるのだが、これが案外に不便な上高い。高い分綺麗なのだが、綺麗よりレトロの方が好みだ。第1ターミナルまでの移動が時間によっては案外にやっかい。飛行場内の移動のバス時間が限られている。それくらいなら、蒲田から行けば10分で行けるのでむしろ確実である。まあ場末好みの飲み屋もあるし。
7時頃に富士山のそばを通るのだろう。晴れた日の早朝であれば、見通しがよい。雪のある季節だと、山の形の確認がしやすい。飛行機はどう言う訳か、いくらか飛ぶコースが異なる。富士山の真上かと思うような位置の時もあるし、少し離れた海の上を行くこともある。何故なのだろうか。
4月1日もまたこの便に乗る。なんとか窓側がとれた。雪はまだあるだろう。晴れると良いね。晴れるとね。見る楽しみに勝るものはない。山が見えなくなるまでまた絵を描くことになる。写真を撮りながら、頭の中で絵を描くことになる。写真を見て絵を描くことはないのだが。