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ウクライナ侵攻で考える日本の安全保障

2023-05-22 04:20:34 | Peace Cafe


 ロシアでおかしな事が頻発しているらしい。クレムリン宮殿の真上でドローンが爆発を起した。放火による火災が頻発しているらしい。体制派の著名人にテロ攻撃も続いている。ロシアで反政府活動が起き始めていると考えていいのだろう。ロシア人は辛抱強いと言うが、黙っていればこの戦争が永遠に続くと見え始めたのだろう。

 ウクライナで起きたことは、信じがたいことであった。しかし、軍事侵攻が始まり、1年数ヶ月が経過して、やっとロシアが何故軍事侵攻をしたのかが分かってきた。ウクライナが軍事力の増強を続けていた。それをアメリカとNATOが支援をしていた。

 その支援はだんだん強化され、ウクライナのNATO加盟という話まで出てきた。その実質的な意味は、ウクライナがNATOとアメリカの前線基地の国になると言うことだ。日本がアメリカの前線基地であるのと同じことである。

 このことはウクライナでの内戦状態から分かっていたことだった。軍事侵攻前にも分かっていたことだが、まさか突然軍事侵攻を行い、そのことをロシア国民の8割もが今でも強く支持をするほど、ロシア人の間の共通認識になっているとは、世界中が思えなかったのだ。

 ウクライナ国内では内戦状態が続いていた。その内戦はウクライナ国内に暮らす、ロシア語を話す人々とウクライナ語を話す人々との民族間の争いである。ウクライナがソビエト連邦内の地域であった時代は、両者の間に争いはなかった。

 ウクライナ語を話す人と言っても、ロシア語の教育を受けたソビエト人であったのだが、ソビエト代表として棒高跳びのセルゲイ・ブブカは何度も世界記録を破り、オリンピックなどで活躍をしていた。新体操の選手にはウクライナ出身のソビエト選手が複数いた。

 ウクラライナはロシアの中では温暖で豊かな地域であった。ロシア人の富裕層はクリミヤ半島をリゾートの避寒地として楽しみにしていたのだ。ソビエト時代は、おなじ国家だったので問題は無かったのだが、ソビエト連邦が解体され、分裂していった。

 長年の民族差別を受けていた、ロシア周辺国の人々はロシアの支配を嫌い独立し、NATOとの連携を強めて行く。当然の結果ではあるが、ロシア周辺国も様々な国情があり、多くの場合ソビエト時代に力を持っていた親ロシアも存在する。

 とくにウクライナの場合はロシア語を話すロシア系住民も多く、住民投票をすれば、ロシアに編入されたいと考える人は少なくない。本来であれば、ウクライナが内戦状態になったときに、国連が介入して、選挙監視のもので、所属を問う正しい選挙を行うべきだったのだ。

 しかし、2014年は内戦時下でもあり、ロシアとNATOアメリカの代理戦争の様相を持ったまま、ロシアが実質的に軍事支配をしているクリミヤとセバストボリでソビエトによる一方的な選挙が行われた。その結果大多数がロシア所属を希望したと言うことになる。

 実際の所ロシア所属を希望する人々もクリミヤやでは多数存在した。しかし、この投票をウクライナ政府も、国際機関も認めず、投票自体を拒否した。ここが外交交渉の分かれ目であったのであろう。ウクライナ政府が国民投票を拒否した理由の背景には、投票の結果ロシア帰属を望む人が多いい考えていた側面が明らかにある。それは許すべき事ではないだろうか。

 もし、2014年に平和を願うならば、国際監視団の監視の下、ウクライナ政府も参加して、クリミヤで所属を決める住民投票をやるべきだったのだ。当時の世論調査では41%がロシア所属を希望となっていた。その後内戦が激化しウクライナのヤヌコービチ 政権はウクライナのナショナリズム勢力が暴動で倒されてしまう。

 この時に、ロシア系住民は絶望感を味わったはずだ。ロシアの支援の元にロシア帰属を求めた方が、民族差別を受けないと考えるようになってゆく。だから、クリミヤの住民の大半がロシア帰属を求めたことはあながち、ロシア軍の強制とは言えなかった。それを認めない欧米各国および日本政府の強引な判断が間違ったのだ。

 そのことは2014年時点でこのブログにも書いたことだ。自分たちに不都合なことであっても、あのときにクリミヤのロシア帰属も認めて、内戦を終わらせて、住民の移動を完了させ、ロシアと平和的にロシア系住民の保護と権利を話し合うべきだったのだ。それを出来なかった、ウクライナのナショナリズム政権は判断を間違った。

 出来なかった理由は、NATOおよびアメリカの軍事的支援だ。ウクライナを対ロシアの前線基地にしようと考えていたのだ。その結果起きているのが今の戦争だ。日本が対中国のアメリカの前線基地国家であるのとおなじ状況である。日本が勝手に中国と平和外交を進められないのが岸田政権を見ると分かる。

 尖閣諸島の帰属問題を国際司法裁判所のもとで判断して貰うべき、こうした考え方が出来ないのは、沖縄はアメリカの前線基地として地政学的に重要なものだからだ。対立の火種は残した方が良いとの判断である。クリミヤ国内の民族対立を火種として、アメリカもヨーロッパも残しておこうとした。

 ウクライナ政府は、内戦状態を抱えて、欧米の支援の基に軍事力強化をしてゆく。その強化が進み、ロシア系住民がウクライナナショナリズムに弾圧される。それがプーチンの言うウクライナのナチズムと言うことになる。ロシアとしてはこれ以上時を逃せば、ウクライナがNATOに加盟して、ロシアに対する前線基地が強化されるばかりだと判断せざる得ないところに進んでしまったのだろう。

 こうしたようにロシアのウクライナ軍事侵攻を見てくると、ある程度状況は見えてきたのではないか。この戦争を日本が教訓にするとすれば何があるだろうか。日本政府は軍事力強化を叫んでいる。ウクライナがロシアを攻撃できるような250キロ射程のミサイルを希望しているのとそっくりである。

 与那国島に先制攻撃が出来るミサイル基地の建設を始める。石垣島にも、宮古島にも、沖縄本島にもミサイル基地はある。ゼレンスキー氏と岸田総理は同じことを言っているのだ。より攻撃型の武器が欲しいと叫んでいるのだ。ゼレンスキーは欧米諸国に、岸田総理は日本国民に。

 これが間違った選択である事は、ウクライナ戦争を見れば明確になる。ロシアが、ウクライナへ侵攻したのは、ウクライナが軍事強化をしたからである。ウクライナが軍事力を増強し、ロシアを攻撃できる力が無ければ、ロシアはまさかウクライナ本体まで軍事侵攻はしなかった。沖縄のミサイル基地化が中国の軍事侵攻の呼び水になる可能性が高い。

 軍事力強化が、軍事侵攻を引き起こしたことはあきらかだ。ウクライナが戦争をしないためには、ロシアと平和交渉をして、国民全体で所属を決める投票を行い、それに従い国を分ければ良かったのだ。ナショナリズムがうわずって、ついつい軍事力強化だけに力点を置いたことが間違いだった。

 岸田政権が今おなじ間違いである軍事力強化を始めている。日本が今しなければいけないのは中国との平和交渉である。軍事力強化ではない。ミサイルを突きつける前に、平和の花を届けることだ。中国に対して、まず尖閣を解決しようと話しかけることだ。
 
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